忙しく働く30代女性が、毎日数時間だけできる副業なんてあるの? 

その答えはYES。

働くアラサー女子に、店舗を持たずにネットで洋服を販売する「ファッションEC」を提案するのは、株式会社BUYON 代表の三浦由理(みうら・ゆり)さん。

これまで4回にわたってお伝えしてきたファッションEC開業のノウハウ。最終回は初心者が陥りがちな注意点と成功のコツについて、大切な部分をピックアップしてお届けします。

第1回はこちら:ファッションECの成功を決める「土台作りと目標設定」
第2回はこちら:サイト立ち上げ時の注意ポイント
第3回はこちら:経験ゼロからファッションECを成功させるカギはSNS

注意点1:在庫を過剰に抱えないこと

ネットショップで大きな賭けに出るのは禁物です。たとえ1年目で1ヵ月200万円売ったとしても、自分の目は確かだと勘違いしてはいけません。

私も12年もの長い間、ファッションECを運営してきましたが、カンで大量に在庫を抱えて、ことごとく失敗した経験があります。そこから学んだのは、女子の気持ちは本当に読めないということ。長く携わっている人でさえ予測不能な事態に見舞われることがあるのです。

“これは売れる気がする!”と思ってたくさんの在庫を抱えないこと。少量で展開を早めるのをオススメします。完売した商品の再追加も少量で細かく管理することが大事です。

注意点2:目先の売上に飛びつかないこと

同様に、イレギュラーな商品を仕入れる場合も注意が必要。たとえば、ファッションに関係のないアイテムを試してみたくなって、イレギュラーにカテゴリを作る。そういうときもあるでしょう。

そこで、予想外に好調な売上が出た。翌月も違うジャンルのグッズを増やして売るとします。最初のうちは好調でも、徐々に流行が廃れて売上が落ち、気づくとメインであるファッションのカテゴリがスカスカな状態に……。

目先の売上を追うと、視野が狭くなるだけでなくコンセプトが曖昧になり、最初に決めていたゴールから離れてしまう原因になります。

さらに売上が一気に落ちた時に、元に戻すのはとても大変。イレギュラーな商品を扱うのは悪いことではありませんが、コンセプトに合う商品が主役だということを忘れずに。

注意点3:相手の視点で考える

いい商品なのに売れないのは、情報が一方通行になっている可能性があります。

お客様は商品画像と説明文でしか判断ができません。よさを伝えるには、自分の視点だけではダメ。写真や説明文にうまく「相手の視点」を盛り込むことが大切です。実際に手に取って見られない人たちへ、最大限に伝える努力を惜しまないでください。

大きなネットショップを見て、「写真が多すぎる」と思ったことがあるかもしれません。でも、横からの写真、動いているときの写真、パーツに寄った写真……。判断の決め手は人それぞれ違うので、説明が丁寧すぎて悪いことはないんです。

発信に注意が必要なのは、運営サイトだけでなくSNSも同じ。自分本位にならないようにしましょう。

注意点4:仕入れ値で売値を考えないこと

商品の値段を決めるとき、原価が高いものほど値段を高く設定して売りたくなるもの。でも、客観的な視点で値段を決めることが大事なんです。

たとえば、「原価が5000円だとします。1着の売上につき、1万円の粗利がほしいから、1万5000円で売ろう」。そんな考えは捨ててください。

儲けより、試着しないで服を買うお客様が、いくらだったら財布を開くだろうかと自分なりに考えること。

「このデザインが好きな女子なら、コットンブラウスに8900円は出せないけど、7980円だったら買うかも」と、ターゲットの目線になって値段を決めることが売上につながります。

スケジュールを決めて、毎日コツコツ続けること

うまくいくコツは毎日続けることです。SNSもショップ運営も、コツコツと。ファッションECで一番大事なのは続けることです。毎日の積み重ねが未来への自分につながります。

SNSなどで華やかな生活を演じすぎると、疲れて続けられなくなってしまうので、無理のない程度で“少し素敵”に見せるのがよいと思います

また、女子にありがちなのですが、何事も感覚で決めるのはやめましょう。アパレルはカンよりも、スケジュールが命です。週間、月間、年間のスケジュール管理をしっかりと。

もし100万円で副業を始めるのであれば、運転資金の半分を先行投資する。たとえば、最初の月はサイト制作などで20万円を使い、秋冬までの諸経費も含め30万円以内を春夏の仕入れに回す。もし春夏で失敗しても残りの50万円で再度、秋冬に挑戦できる……というお金に関するスケジュールがひとつ。

そして、もうひとつが、実務の運営スケジュールです。本業とうまく両立するための週間スケジュール、給料日や祝日を見てメルマガの発信日を決める月間スケジュール、商品仕入れのタイミングを間違えないように把握しておく年間スケジュールなどなど。スケジュールを立てることで心に余裕が生まれ、副業でも月50万円の売上を立てることも可能になります。

自分の可能性を否定せず、ひたむきに

最後に、三浦さんのアドバイスを受けて、成功した女性のケースを聞きました。

「私が1からつきっきりでコンサルした女性は、仕入れ原価、運営費、送料などの諸経費を引いて、月に100万円を売ると65万円が手元に残るのですが、本業をしながらも5ヵ月目で1ヵ月220万円の売上を達成するまでになりました。

今回のポイントを参考にみなさんが今から副業をすれば、最低でも月30万円は売り上げられるはず。ブレない目的のもと、運営がきちんとできていれば18万円の利益を残すことができると思います。『プチ起業』に不安もあるかもしれませんが、やると決めたら自分の可能性を否定せずにがんばってみてください。信じる心は、必ず自分を変える源になります」

惜しみなく三浦さんが出してくれたメソッドを参考に、副業の準備を始めてみてはいかがでしょう。本業とは別に収入源が増えることで、未来の選択肢が増えるかもしれませんよ!

(薮田朋子)