「女子会やめた。」第6回のゲストは、インタビュアーでコラムニストの芳麗(よしれい)さん。

NHK山形放送局のキャスターを経て、24歳の時にライターとして活動開始。aikoさん、椎名林檎さんなど大物アーティストを長期にわたりインタビュー、人気のジャニーズタレントの連載を担当するほか、大物俳優、お笑い芸人、クリエイターまで3000人を超える有名人のインタビューを担当し、このたび新刊『3000人インタビューして気づいた!相手も自分も気持ちよく話せる秘訣』(すばる舎)を上梓しました。

インタビュアーとして、有名人から直々にインタビューの指名を受けることも多い芳麗さんに、コミュニケーションを楽しむ秘訣を伺いました。

会話はサービス精神や“計算”ではない

小沢:コミュニケーションをテーマにした本は「聞き上手になる」というものが多い中、本作タイトルの「自分も気持ちよく話せる秘訣」というフレーズが気になりました。女性誌のライターとしてキャリアをスタートして、恋愛コラムなどを書かれていた芳麗さんが、インタビュアーとして活動を広げたきっかけは何だったんでしょう?

芳麗:単純にインタビューのお仕事を頂いてやってみたら、予想をはるかに超えて楽しかったんですよね。私はもともと、かなり内気な性格だったから、人とうまく会話できなくて。でも、インタビューという形式やツールを使うと、大胆に聞けるし、素直に話せる。「こんなふうに人と話ができるのって楽しいな」という気持ちでやっていて、やっていくうちに面白くなっていきました。私自身が本気で楽しそうだからか、インタビューのお仕事依頼も増えていったのかなと。

小沢:インタビューだと、「会話が止まって気まずくなったらどうしよう?」ということもない。「決められた時間の中で聞きたいことを引き出さなきゃ!」って、自然と前のめりにも気持ちになれますよね。

芳麗:お仕事だけど、お仕事じゃないというか(笑)。インタビューには細やかな計算が必要だけど、会話を楽しむことは、それ以上に大事です。だから、自分が本気で楽しい、面白いと思える質問をして、話を楽しんで聞いています。それが相手の心地よさにもつながると信じて。

「21世紀を生きている人はだいたい同世代」

小沢:多くの有名人にインタビューされていますが、“大物”を前に物怖じすることはなかったんでしょうか?

芳麗:最初はありましたけど、今はないですね。物怖じとか緊張するっていうのは、相手によく思われたいとか、自分をよく見せようとするからですよ。でも、経験上、自分を実物以上によく見せるのは無理だし(笑)。初対面だと相手に好かれこそしなくても、悪く思われることって実はあんまりないんですよ。人として、普通に礼儀をもって接していれば、平気。

小沢:普段、人とお話する時と一緒なんですね。

芳麗:そう思います。それからね、大物は大物たるすばらしい実績や稀有な魅力はあるけれど、一方、普通といえば普通の人間ですよ。その実績や魅力には正しく敬意をはらいたいけれど、あとは、変に構えずに、年齢も気にしないで接します。「21世紀を生きている人はだいたい同世代」くらいに思っています(笑)。だから、5歳にも敬語だし、80歳にも敬語。丁寧に、対等に接する。根底に尊敬を持っていれば、あとは、普通に接して、時に大胆に飛び込んでいく方が相手もおもしろがってがってくれる。

小沢:確かに、大物芸能人ほど、まわりから「話しかけにくい」と思われていることに対して、コンプレックスを持っている場合もありそうですね。

芳麗:そうかも。大げさに持ち上げず、もっと、普通に接してくれって思っているんじゃないかな。その証拠に、本物の大物はかっこつけずに気さくだし、こちらの素直な振る舞いを受け入れてくれます。サザンオールスターズの桑田(佳祐)さんなんて、あんなにすごい曲を作り続けているのに、取材現場には短パンにコンビニ袋を持って、「どうも〜!」って現れた。初対面なのに思わず、「コンビニ帰りですか!」ってツッこんだら、「食べたいのがあってね! このお菓子、美味しいよ。食べる?」って分けてくれました(笑)。でも、その後のインタビューは、率直でディープで! その両面がかっこよすぎてしびれました。

小沢:素敵! 気さくな方なんですね。

芳麗:こちらから「いじる」というか、突っ込んでいくことも話の聞き手には必要な能力だし、ある種のサービス精神だと思います。こちらから先に等身大の自分を差し出せば、相手もリラックスして楽しんでくれますよ。こっちが無駄にカッコつけなければ、相手もカッコつけずにいろんな面を見せてくれるし、本質的な会話ができるはずです。

次回は、12月9日更新です。

(小沢あや)