有村架純、“やせガマンの美学”を体現した別れ。目黒蓮がよけいに悲劇的に見えた変化とは?/『海のはじまり』
◆夏の背中は最終回のようでもあった
夏は海をひとり引き受ける決心をする。「一番大切にします。ほかの何よりも絶対優先します。がんばります」と言うと朱音(大竹しのぶ)は「当たり前でしょ。そうじゃないと困ります」と淡々。
夏は弥生にがんばれと言われたらから「がんばります」と言っているのかなと思うと、やっぱり甘えているような気もしないではない。
重責を背負い、スローモーションで歩く夏の背中は最終回のようでもあった。このまま、別れて、夏は海と生きていく。という未来に余白を残す最終回のパターン。でも、まだ3話ある。冷めたことを言えば、あと3話分も残っている(最近の連ドラには珍しく12話まであるそうだ)。
それにしても、こんなに海想いになってしまうと、海が成長して彼ができたら夏はどうなっちゃうのだろう。
<文/木俣冬>
【木俣冬】
フリーライター。ドラマ、映画、演劇などエンタメ作品に関するルポルタージュ、インタビュー、レビューなどを執筆。ノベライズも手がける。『ネットと朝ドラ』『みんなの朝ドラ』など著書多数、蜷川幸雄『身体的物語論』の企画構成など。Twitter:@kamitonami