この街では、誰しもが“コンプレックス”を抱えて生きている。

あなたも身に覚えはないだろうか?

学歴、外見、収入…。どれだけスペックを磨き戦闘力を上げても、どんなに自分を取り繕っても、何かが足りない。「劣っている」と感じてしまう。

…そう、それがコンプレックスだ。

先週は「夫に触れられなくなった」というコンプレックスを抱える女を紹介した。

今週は、「私はおばさんにはならない」と豪語する、小早川絵里(39歳)の例をお届けする。




小早川絵里のコンプレックス:「39歳、まだおばさんとは呼ばせません」


あなた。

あなた今、何歳くらい?20代、それとも30代?

私の話なんて、つまらないわよ。...え?それでも知りたいですって?あなたも変わってるわねぇ...。

私が東京に出てきたのは18歳の時。それからずっと港区在住。

かれこれもう20年も東京にいるなんて、自分でもびっくりするけど…。

今夜はね、昔からの友人に頼まれて、若い後輩女子を連れて『しゃぶしゃぶ九 西麻布 本店』に来ているの。いわゆる、お食事会というやつね。

え?

…私が男性陣からお呼びでないことくらい、わかっていますよ。私はあくまで幹事役。まとめ役です。

まぁでも…22:30の時点でもう目が開かなくなりそうな私と違い、30代前半の後輩女子と、私と同じ年のはずの男性陣は本当に元気そう。

私が2次会にカラオケなんて行ったら、明日は仕事にならないわよ。今夜はお先に失礼します。

哀れ、ですって?

39歳の“オバさん”のくせに、若い女に混じってこんな場所にいるなんて...?

そのセリフ、実際対面で私と会ってから言って欲しいわ。

都内でネイル&睫毛エクステのサロンを計3店舗経営する私の年収、多分あなたの倍以上よ。美容にかけるお金なら、十分にあります。

他人のお世辞を真に受けてるわけじゃないわよ。20年間も港区で生きてきた女が、他人の「若く見えますね」なんて言葉にすがるわけないじゃない。

そんな上っ面の褒め言葉で一喜一憂してる輩はね、力士で言えば小結よ。横綱レベルにメンタルが強くないと、港区で独身のアラフォーなんてやっていられない。

でもね、最先端の美容医療でメンテし尽くした私の肌は、弾力も水分量も20代と同じだと「機械が」太鼓判を押してるの。


港区に生息する、年齢不詳のアラフォー美女・絵里。その生き様とは


まぁ、こんな私にもウブな時代はありましたよ。

18で上京してから10年くらいは、なんだか馬鹿みたいにモテたしね。

“港区女子”なんていう言葉が生まれる前から、ずっと西麻布は私のテリトリーだった。景気に関係なく、お財布持って夜出かけたことなんてなかったわ。

予約の取れない名店、VIPや芸能人御用達の店とかにも数え切れないほど行ったし。あれも不思議なんだけど、きっちり34歳くらいまでは、おじさま達が私を甘やかしてくれたのよね。

ただやっぱり、35歳あたりから少しずつ様子が変わってきたわ。




何が変わったかって、男性たちの態度もそうだけど、一番は同じ年の友人たちよね。

DINKS組、母組、離婚組、独身組とまぁ状況は様々だけど、みんな35歳過ぎたら揃いも揃って「私はもうオバさんだから」って自虐しだすのよ。

若い女の子とか、男性なのかしら?彼らの目を気にして、言われる前に自分からオバさん宣言をし始めるの。あれには参ったわ。

オーバー35は上目遣いとかアヒル口?したらキモいとか、そういう世間の風潮に自分が攻撃されないように、ですって。

あのねぇ、動物の口真似なんて、頼まれたってやらないって言うの。

でも、まるでそれが嗜みのある常識的な女の正解と言わんばかりにみんな、諦めだしたの。諦めたら、そこで試合終了だっていうのに。

けどね、そういう手合いに限って私と同じか、もしくはそれ以上の額を美容に投資してるのよ。

ジムだって週5で通って化粧もバッチリ、全力で老化に抗って臨戦態勢なくせに「私は自分の年齢をわきまえてます」って顔でしましてる。

それで結局、誰かに「全然オバさんじゃないですよ」って言われることで自分を保ってるのよね。

どこまでも他人軸なのよ。

他人なんてのは、勝手なことを言うものなの。その日気分が良けりゃおばさんだと思ってもお世辞を言うし、相手の立場も考えてるでしょ。そんなことも理解できないで年だけ重ねるなんて、私からしたらそれこそ哀れだわ。

え、なによ。

...どうして私が結婚しなかったか、ですって?


男性を選び放題だったはずの絵里が、未だに独身を貫く理由とは...?


なに。その手の質問をするってことは、あなたも「女の幸せは結婚だ」なんて考えてるクチ?

で、できるだけ若いうちに、稼ぎの良い旦那を捕まえておきたいってこと?

あのねぇ。

あなた今、何年だと思ってるの?

平成終わって、令和よ、レ・イ・ワ!

聞けばそこそこのお給料稼げてるし、大学だっていいとこ出てるじゃない。それなのに、私の田舎のおばあちゃんみたいなこと言わないでよ。

まぁ…仰る通りたしかに子どもは可愛いわよね。

私も39歳になって子どもとか小動物が可愛くて仕方ないわ。でも私一人っ子だから、姪っ子もいなくて残念。かなり遠方の親戚の子供にちょっと見当違いな額のプレゼント送ったりしちゃったりもしたこともあるわ。

猫アレルギーだから猫飼えないし。犬は散歩がムリ。

だからってわけじゃないんだけど、最近の密かな楽しみはね。

会社の近隣の保育園児がこう、先生に手を引かれてお散歩してるのを見ることなのよ。

最近じゃその時間に合わせてコーヒー買いに行って、勝手にあの子達が横断歩道を渡るのを見守ったりしてるの。変な話、すごいマイナスイオンが出てる気がするのよ、あの一帯。




行き場のない母性問題、私はそれで満たしてるわよ。

あー、そうね。自分の子どもが欲しいって気持ちもわかる。

この間二人目の子どもを産んだ友人が、やっと宿題が終わった感覚だって言っててね。

...なんとなく分かるのよ、その気持ち。子ども産まないと、やるべき事、なんかやってない気がしちゃうのよね。

ところであなた。結婚して子どもが出来たら仕事はどうするの?

私の周りにもいるわよ。ママなんだけどね、出産後も働きすぎて夫も親も頼れなくて、顎にヒゲが生えたとか言ってる女友達。

キッズラインとタスカジに頼りだしてからだいぶ楽になったとか言ってたけど。運良く授かったところで、仕事と育児の両立って想像以上に難しいの。

子ども2人産んで、高収入の旦那がいて、自分もやり甲斐のある仕事している。そういうママもいるじゃないかって?

自分もそうなりたいって?全部手に入れたい?

...まぁ、あなたも強欲ねぇ。

だけどね、全部のバランスを取ろうとするとホント疲れるわよ。持ってる物の分だけ、責任も悩みも増える。控えめに言って修行。

それでもすべて欲しいって思うあなたの気持ちは、私、否定するつもりは無いけどね。応援するわよ。

なーによ、今更。“おばさん”なんて言って悪かったって?

当然よ。私はね、絶対に負けないもの。諦めないの。

結婚や子どもを免罪符にして安心して、怠けたり言い訳している人たちと一緒にしないで。

私は年齢にも、世間の評価にも迎合しない。

声を大にして言いたいわね。

40歳になったって、私は絶対「おばさん」になんてならないわ。

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