ミク、ヒカリエにこうりん

渋谷ヒカリエに初音ミクが降臨! クラブイベントさながらのEDM(エレクトロニックダンスミュージック)とともに、巨大なスクリーンと4面のマルチディスプレイに初音ミクの映像が投影された。とあるスクールの卒業制作に由来するこのイベントに見る、「ミクのみらい」とは?

  このイベントは、3月17日(日)〜23日(土)まで行われていたメルセデス・ベンツ ファッション・ウィーク 東京の関連イベント「39LIVE 2013 Spring 〜みくとのかいこう〜」のひとコマ。 “ファッションとテクノロジーの融合” をテーマとした第一部のトークセッションに続き、第二部として行われたたDJ/VJライブの様子である。

 紹介されたのは、専門スクールのデジタルハリウッドが昨年開講して話題となった専科「初音ミク映像専攻」の一期生12名が手がけたもの=つまり卒業制作の映像。ボカロ曲(VOCALOIDを使って制作された楽曲)やEDMを融合させている。

 ところで、いまさら聞けない……という方のために、まずは簡単に、初音ミクとは? ー2007年にクリプトンフューチャメディアからリリースされたVOCALOIDのボーカル音源。その音声にリアリティを与えるビジュアルイメージとして設定された、バーチャルアイドルのキャラクター。これが「初音ミク」。

 イラストレーターのKEI氏が手掛けた、青緑色の髪、くるぶしまであるツインテール、黒いヘッドセット、ノースリーブの襟付きブラウスにネクタイ、ミニスカにサイハイブーツというスタイル。このイメージをベースに、様々なイラストレーターやCGクリエイターが制作した作品が、pixivなどのイラスト投稿サイトなどで数多く公開。そして初音ミクの音源を使用して作られた楽曲と組み合わせられた映像が続々とニコニコ動画などで公開され、その人気は爆発的に拡大していった。


 キャラクター利用について寛容なスタンスを持っていた事から、ユーザーが独自の手法で表現できる機会を与えられた初音ミク。キャラクターやその世界観をユーザ同士が「共有」し、「共感」する事で、誰かが独り占めしない「みんなの初音ミク」という共有感覚を生み出した。インターネットとソーシャルメディアを介して世界中で分かち合い、育てるキャラクターという新しいメディアのあり方=CGM(キャラクター・ジェネレイテッド・メディア)として、いまも成長を続けている。

 「楽曲制作者だけで1万人以上、関連楽曲は10万曲以上、イラスト点数は40万点以上、それらのファンは800万人以上」(IMF国際通貨基金特設サイト)と言われている初音ミク。最近ではコンビニエンスストアとのコラボ製品や、ファッションブランドがモデルとして起用し、コラボレーションアイテムを発表するなど、活躍の幅(!?)を拡げている。いわゆる「オタク」と呼ばれた人々だけのものではなく、「リア充」な人々にもミク人気は波及する傾向だ。

 一般ユーザーからプロフェッショナル、企業などの区別もなく、期待するあり方に柔軟に応えてくれるという、唯一無二の存在。初音ミクの存在と人気は今後も続いて行くだろう。

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