旧野島小学校を活用した「のじまスコーラ」の外観

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12年にオープンし、兵庫県・淡路島の名物観光施設となった「のじまスコーラ」。閉校した野島小学校をリノベート。島産の新鮮野菜サラダバーが人気のカフェやリストランテ、ベーカリー、マルシェなどがそろう複合型施設だ。この施設のプロデュースは、総合人材サービス会社の「パソナグループ」。なぜ人材サービス会社が「のじまスコーラ」を作りヒットさせたのか。今回は「のじまスコーラ」責任者の瀬川康弘さんと、系列施設「クラフトサーカス」の責任者・中村 太さんに話を聞いた。<情報は関西ウォーカー18年4/3発売号より>

【画像を見る】「のじまスコーラ」1階カフェのランチ1,458円は、メイン1品+サラダバーなどが付く

■ “人”を活かす使命から、淡路島で就農支援へ

実は「のじまスコーラ」ができる前の08年、自社で運営・管理する農場「パソナチャレンジファーム」を淡路島にオープンさせている。地方自治体と連携し取り組んでいた農業人材の育成のノウハウを活かし、「独立就農を支援する目的のもと、自社で最長3年間雇用する形で、農業人材育成事業をやろうと。そこで、阪神・淡路大震災の復興支援を行っていた縁から、淡路島の耕作放棄地を活用したいと、この地でスタートしました」(瀬川)。もともと「社会の問題を解決する」が会社の理念。「“人”を活かす」ことを使命と考えるパソナにとって「地方創生」は外すことができないテーマだったのだ。   

■ パソナだから見付けられた島のアピールポイント

「パソナチャレンジファーム」ができたことで、収獲した野菜の保管や直売所、加工所が必要に。適当な場所を探していた時に、野島小学校が閉校になると知った。このロケーションを活かしてなにができるかを考えた結果、パソナ初の地域活性化の拠点として「のじまスコーラ」が生まれたという。この場所の魅力は夕日の美しさや、坂の上から見渡せる海などロケーションのよさ。「でも島の人には海は日常の風景で、夕日も『夕日というか西日!まぶしい!』と言って、魅力とは思っていなかったみたい」(瀬川)。しかし、島外から来た瀬川さんだからこその視点で魅力をアピールし、大いに活かせたことがヒットにつながった。

■ 淡路島の特徴を活かして新店を続々オープン!

島外の人に好評なのが、新鮮野菜が食べ放題のサラダバー。地元農家からも仕入れることで、農家の人にとっても自身での値付けができることや、卸先が増えたこと、また作り続けるモチベーションにもつながり、地元農家との絆も深まっていった。一方地元民に好評なのはベーカリー。焼きたてパンの店が近くにないことや「孫を連れて行ける場所ができた」という声が多かったとか。さらに、町の人の「高齢化で過疎化が進む町の祭りを再び!」という声で、芝生広場を利用して盆踊りを復活。元理科室を利用した料理教室なども地域住民主体で行われるなど、当初の構想を超える要素が増え、見事に地域活性の拠点として育ってきた。

続いて14年にシーサイドテラスがあるカフェ「miele(ミエレ)」が、「のじまスコーラ」近隣にオープン。「海の近くで夕日が楽しめることもあり、クチコミからファンが増えましたね」(瀬川)。16年にはのじまスコーラと合わせて年間24万人が訪れ、開店している間はほぼ満席という人気店に成長した。

16年にオープンした「クラフトサーカス」は、「クリエーターに出会える場所」(中村)としてスタート。最初は1000坪の更地にキッチンカーとクリエーターが集まった青空マーケットだったが、17年3月に現在の建物ができ、飲食、物販をそろえる施設になった。今後はイベントなども増やす予定。「もっと地域の人の魅力や技術を披露する場にしていきたい。“地域密着”という点にまだ伸びしろがある」(中村)。今後が楽しみだ。

この3店舗で1日2500〜3000人が訪れるようになり、入りきれない人が出てきたことと、新しい客層を求め、17年9月には高級な淡路ビーフを楽しめる「オーシャンテラス」をオープン。日本初というセルフローストスタイルを、淡路島から発信している。新店が続々と人気店に育つ理由について瀬川さんは「飲食店はサイクルが早い。リピーターになってもらうためには“なにか”が必要で、いつも工夫と危機感を持っている」。冬は風が強く閑散期になるという土地柄についても「逆に働いている人のリフレッシュ、店の改装にあてられる期間と考えました。そのため、春にはまた新しい空間や新メニューを楽しんでもらうことができ、リピーターを飽きさせない結果に。年々来店数を増やす理由の大きな一つですね」。

■ 淡路の取り組みをモデルに全国の地域活性化を目指す

 ほかにも、世界17か国のパフォマーが技を披露する「Awaji Art Circus」や50000人以上が参加する「UNDOKAI World Cup」などのイベントも主催。昨年夏には「クレヨンしんちゃん」や「火の鳥」など日本のアニメ・マンガと自然を融合させた日本初の体験型エンターテインメント施設「ニジゲンノモリ」をオープン。さらに、この4月27日(金)には、ハローキティを使った創作オリエンタルレストランの「HELLO KITTY SMILE」がオープン予定と、勢いは止まらない。

パソナによる淡路島の活性化は進むが、夢はまだ先にあるという。「1年に2つも違うジャンルの施設ができるスピードの速さに驚いています。今後もいろいろなジャンルに挑戦し、食だけでなく宿泊など、淡路で数日楽しめるようにしたい」(瀬川)。また雇用促進の面でも「当初はグループ会社の社員などで運営していましたが、今や約500人の従業員が各施設で活躍。島外からアルバイトに、社員にとやって来る人も増えており、移住促進につながっています」働くそれぞれの人が描く未来を応援、実現させることが地方活性につながっていくと言う。「淡路島をモデルに、この動きを全国に広げて、各地を盛り上げられたら」と瀬川さん。地方創生の可能性をかいま見せる、パソナのさまざまな試みから目が離せない。【関西ウォーカー】

パソナグループが手がけた淡路島の5施設は、こちら!

■「のじまスコーラ」 住所:淡路市野島蟇浦843 電話:0799-82-1820 時間:10:30〜21:00(店により異なる) 休み:水曜(祝日の場合営業) 駐車場:80台(無料) アクセス:神戸淡路鳴門自動車道北淡ICより約8

■「miele」 住所:淡路市野島蟇浦785-9 電話:0799-80-2600 時間:10:30〜19:00(LO18:30)  休み:火曜(祝日の場合営業) 座席:96席 駐車場:30台(無料) アクセス:神戸淡路鳴門自動車道北淡ICより約8

■「クラフトサーカス」 住所:淡路市野島平林2-2 電話:0799-82-1855 時間:10:30〜19:00(LO18:30) 休み:木曜(祝日の場合営業) 座席:390席 駐車場:110台(無料)アクセス:神戸淡路鳴門自動車道北淡ICより約11

■「兵庫県立淡路島公園 アニメパーク ニジゲンノモリ」 住所:淡路市楠本2425-2 電話:0799-72-3161 時間:12:00〜22:00、土日祝は10:00〜 休み:なし 料金:ナイトウォーク火の鳥 大人¥3,300ほか 駐車場:約1,300台(一部有料) アクセス:神戸淡路鳴門自動車道淡路ICより約2

■「オーシャンテラス」 住所:淡路市野島蟇浦816 電話:0799-82-1907 時間:2階は10:30〜18:00、11:30〜15:00(LO14:00)、3階は17:00〜21:00(LO20:00) 休み:木曜 席数:282席 駐車場:50台(無料) アクセス:神戸淡路鳴門自動車道北淡ICより約8辧粉慇哨Εーカー・森田周子)