イギリスのLGBT向け雑誌<Attitude>の8月号で、歌手のサム・スミス(25)と、エルトン・ジョン(70)が、自身がゲイであることをカミングアウトした際の体験を語った

サムが初めて周囲に明かしたのは10歳の頃だったそう。

10歳のときにカミングアウトしたんだ。プライマリースクール(イギリスの小学校)から中等学校に上がる頃、9歳か10歳くらいのとき、一番の親友に伝えたんだ。自分の中では、すでに確信があったから。
母に伝えたとき「彼女は僕が3歳の頃から気付いていた」と言っていたよ。父には「本当に確かなのか」と確認された。その歳の頃にはそうだと思っていたんだ。両親はすごく協力的だったよ。

当時、ロンドンでサムが家族と住んでいた地域では「ゲイの男の子に対する偏見があるのでは」と父には彼をすごく心配したそうです。

多分、父は自分が今まで、そういう子供たちがイジメに遭うのを見てきたから、僕のことを心配していたんだと思う。特に16歳から17歳の頃は濃い化粧をして、周りとは違う服装をしていたから、それについて不満は言われなかったけれど、純粋に僕のことを心配していたよ。

ゲイであることでイジメられたことがあるか聞かれると、確かに「最悪な気分にさせられる」ことはあったそう。

「イジメにあったことはない」といつも言ってきた。それは、他の人たちの経験を聞くと自分の体験なんて大したことないと思えたから。でも振り返ると、嫌なこともあった。
僕はラッキーで、すごく良い友達が周りにたくさんいた。でも他の男の子たちに、最悪な気分にさせられることはあったよ。でもそれが怖いと思ったことは一度もない。

エルトン・ジョンは全く違った経験をしてきたそう。時代のこともあり、自分のセクシュアリティを公にするのは不可能に近かったのだとか。

僕もそれくらい若いころに自分がゲイだと知りたかったよ。23歳までセックスをしたことがなかった。50年代に育ち、当時はセックスは触れてはいけないことだった。だから何も知らずに育って、それが本当に最悪だった。

LGBTのコミュニティーの人たちと交流を始めたのは、マネージャーの男性と付き合い始めてからのことだったそう。エルトンはサムに初体験のことを明かした。

初めての相手は自分のマネージャーのジョン・レイドで、同時に彼が初めて会った自分以外のゲイの人間だった。ミサイルのような衝撃で、それからゲイ・カルチャーを受け入れ愛し、人生そのものも好きになったよ。そのことによって、キャリアでもプライベートでも、自分にマイナスになるようなことはなかった。
1976年にカミングアウトすると、いくつかのアメリカのラジオ局は僕のレコードを燃やしたけど、特に僕にとって害にはならなかった。

若い頃から家族や友達にゲイである自分を受け入れられていたサム・スミスと、一方、大人になるまで打ち明けられなかったエルトン・ジョン。2人の知られざる過去により、時代と共にLGBTの人たちへの考えが多くの人たちの中で変化していることが感じ取れますね。