旭山動物園・「クジャク舎」で、ディスプレイ中のオスのクジャク/(C)旭川市旭山動物園

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クジャクというと、「どうだ」と言わんばかりにバサリと開いた派手な羽が思い浮かびません? 目玉模様の、セレブな感じのあの羽です。あれは飾り羽と言われるもので、繁殖期の5月から6月ごろがもっとも美しく、その後徐々に抜けて落ちてしまうものなんだそう。

旭山動物園・オスのクジャクだけが持つ飾り羽。エメラルド色で目玉模様がある/(C)旭川市旭山動物園

旭山動物園の「クジャク舎」にいるクジャクたちも、繁殖期まっさかり。朝や夕方、天気のいい日には「ミヤァー、ミヤァー」という大きな鳴き声がどこからともなく聞こえてきます。鳴き声の主はオスのクジャク。キレイな飾り羽もオスだけに見られるもので、鳴いたり羽を広げたりして、メスのハートを射止めようとしているのです。「ディスプレイ」と言われる、求愛行動なんですねぇ。

メスは、「飾り羽の模様にある目玉の数が多いオス」を選ぶと言われているそう。目玉の数が多いほど、「イケてるわー」となるんでしょうかね。クジャクは一夫多妻制なので、そんなイケてるオスがメスを独占することもあるのだとか。

飾り羽の美しい模様は表側だけで、裏側はいたって普通。後ろから見ると分かるんですが、お尻のほうの灰色の毛が尾羽で、この尾羽を持ち上げて飾り羽を広げているんですねぇ。

一方、メスのクジャクはオスのような派手さはありませんが、巣作りや抱卵はすべてメスの役目。ヒナを安全に育てるためには目立たないことの方が重要なんですね。ただ、頭のてっぺんにある「冠羽」はオス・メス共通で生えています。色が、オスとメスとで違うそう。

ちなみに、クジャクは飛べるんです。「クジャクといえば羽を開いて優雅に歩いてる」イメージが強いので「飛ぶんだ!」とちょっと驚いたんですけど、木の枝を移るときや外敵から逃げるときに飛ぶんですって(渡り鳥のように、長距離を飛ぶことはできない)。

旭山動物園のクジャク舎は床から天井まで5メートルほどの高さがあるので、ディスプレイのようすはもちろん、クジャクが飛ぶ姿もじっくり観察してみてください!

【北海道ウォーカー/出村聖子】

※写真提供:旭川市旭山動物園