若桜鉄道の山田社長(右端)

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誰もが使える移動手段として、人々の暮らしを支えている鉄道とバス。とはいえ、両者はどちらかというと“ライバル関係”という印象も強い。だが、そんな交通事業者がタッグを組んだ西日本初の乗り物イベント「鳥取・若桜谷のりものまつり」が、鳥取県の最も関西寄りにある、若桜町で9月24日(土)に開催されることになった。会場では、鉄道とバスはもちろん、さまざまな乗り物に出会える。

【写真を見る】若桜鉄道に保存されているC12 167号機。イベント当日はトロッコ車両を連結して構内を走行

同イベントに参加するのは、当地を走る第三セクター鉄道の若桜鉄道と、鳥取県内のバス事業者である日本交通の日ノ丸自動車の計3社。

もともと、若桜鉄道と日本交通は、鳥取市街と若桜地区を結ぶライバル同士であり、また、日本交通と日ノ丸自動車は大阪〜山陰地区の高速バスの両雄である。そんな3社が共同でイベントを開催する目的は何なのか。若桜鉄道の山田社長に話を聞いてみた。

「若桜エリアは、この5年間で人口が15%も減少している深刻な過疎地域。この地域に再び賑わいを作るためには、我々交通事業者がタッグを組み、公共交通をアピールすることで親しんでもらうことが必要と考えました。また、若桜地区は鳥取県では一番関西に近く、大阪から2時間圏内と日帰り旅行にも最適な地域。この機会に、一人でも多くの人に若桜を訪れていただき、その魅力を知っていただきたいと思っています」

若桜鉄道では、観光の目玉として蒸気機関車(SL)の復活を計画。現在は、蒸気の代わりに空気で動くように整備され、若桜駅の構内を走らせている。2015年4月には、本線での実験走行も行なわれ、全国から鉄道ファンや観光客など1万3000人以上が来訪。その”SLパワー”が実証された。

また、今年4月からは期間限定で、大阪〜若桜間の高速バスのうち、若桜を経由する便が、半額で利用可能。大阪・OCATから片道1600円で訪れることができる。

同イベントでは、若桜鉄道のSLや、日本交通・日ノ丸自動車の路線バスをはじめ、コミュニティバスや昔なつかしいボンネットバス、お年寄りなども乗車しやすいユニバーサルデザインのタクシーなど、さまざまなのりものが集まる。

複数の鉄道、バス会社が共同で乗り物イベントを行なうのは西日本初(若桜鉄道調べ)という。また、日本交通・日ノ丸自動車では史上初という、バス部品の販売会も実施。SLトロッコの乗車体験やキッズコーナー、地元飲食店による屋台ブース、鳥取名物すなば珈琲などもあり、家族みんなで楽しめる。秋の日帰り旅行プランとして、ぜひ訪れてみよう!【関西ウォーカー編集部/伊原 薫】