今こそ「女性が輝く」とき!女性ならではの特徴が世界を救う?

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執筆:杉山 崇(神奈川大学人間科学部/大学院人間科学研究科教授)


近年、社会の表舞台で女性の活躍が目立ちます。

小池百合子さんが東京都知事に当選し、国政では稲田朋美さんが防衛大臣に任命され、その動向が注目されており、野党でも蓮舫議員の言動が注目を浴びています。米国では大統領夫人だったヒラリーさんが今や民主党大統領候補です。中国では蔡英文総統、欧州ではビルジニア・ラッジローマ市長など、政治の世界での「女性」の進出が目立っています。

このような女性の活躍は経済界でも顕著です。政治も経済もこれまでは男性中心に動いていましたが、今や多くの女性が参画し、その実権も持っています。

社会の表舞台で女性が活躍している背景にはなにがあるのでしょうか。詳しくみていきましょう。

女性の活躍は時代の必然??

社会心理学者としての私には、このような女性の活躍は現代社会の状況を考えれば必然に思えます。
現代社会は、人類史上で最も調和を必要としています。なぜなら、現代社会にはフロンティア(未開拓地と未開拓分野)がほとんどないのです。

今や土地も、産業も、技術も、資源も、価値あるものはそのほとんどが利権化されています。


そして、利権ホルダーから価値あるものを分け与えていただくことで私たちの暮らしは成り立っています。「もっと豊かに!もっと優位に!」と今以上に有利なポジションや富を目指すとしたら利権ホルダーから奪い取るしかありません。

しかし、むやみな利権争奪戦の果てに何が起こるかは歴史が証明しています。

フランスの経済学者ピケティによれば、利権をリセットする手段は戦争または革命しかありません。そして、戦争でも革命でも多くの血が流れます。未来への希望である子どもも犠牲になります。現代社会では子どもの血を流すことは誰も望んでいないのです。

女性が優れる「場依存性」と男性が優れる「場独立性」

「一部の利権ホルダーに富とポジションを独占されるのは嫌だ…」「でも血は流したくない…」 こんな時に頼りになるのが女性です。

女性には、男性より優れた特徴がいくつかあります。その一つが「場依存性」です。

これは周りの環境や状況を理解して、場を維持しようとする力です。私たちが暮らしている場は多くの要素で構成されていますが、数々の要素を同時に把握することは意外と難しいことです。

男性は一般的にはこれが得意ではありません。
男性は場の中から目標にしている何かを見出すことは得意です。これは「場独立性」と呼ばれています。「目標を達成する」「課題を解決する」といったミッションに向いた能力です。しかし、場独立性が強いと目標に突き進むあまり場を壊してしまうのです。

「場を壊す」は未開拓地では重要な才能です。未開拓地に開発後の様子を思い浮かべて、そこに突き進んでゆけるのですから。

女性の場依存性で戦争のない社会を

ですが、未開拓地がない現代社会では、行き過ぎた場独立性は社会の安定を脅かす不穏分子にしかなりません。最早、政治も経済も男性に任せすぎると危険なのです。

古代ギリシアの喜劇作家・アリストパネスは「女の平和」という戯曲を表しています。これは戦争に明け暮れる男たちにあきれ果てた女性たちがセックスストライキという実力行使で戦争を止めさせるというものです。

現代社会では、女性たちは現代的な方法で実力行使をしていますが、女性の持つ「場依存性」が戦争のない、そして誰も不幸にならない世の中を作ってくれるでしょう。


もちろん、女性にも稀に場独立性の高い人はいますが、女性が作る世の中がどれだけ平和な世の中になるか、見てみたいものですね。


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<執筆者プロフィール>
杉山 崇(すぎやま たかし)
神奈川大学人間科学部/大学院人間科学研究科教授。心理相談センター所長、教育支
援センター副所長。臨床心理士、一級キャリアコンサルティング技能士、公益社団法
人日本心理学会代議員。
公式サイトはこちら⇒ http://www.sugys-lab.com/