ノロウィルスにかかったら「特効薬はない」「下痢止め剤は絶対厳禁」

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昨年に引き続き、インフルエンザやノロウィルスが猛威を振るっている。年末に9千人ほどだったインフルエンザの感染者は、1月末には12万人まで急増し、ノロウィルスの影響で学校や施設などが閉鎖される始末だ。

インフルエンザは予防接種で事前に対処できるが、頻繁に型が変わるので毎年受ける必要がある。対してノロウィルスに有効な薬はなく、かかっても我慢するしか道はない。うがい、手洗い、消毒など、地道な手段で対抗するしかないのだ。

■毎年新型のインフルエンザ

インフルエンザもノロウィルスも原因はウィルスで、ウィルスは細菌とは違い、自力で増殖できないため、他の生物の細胞に寄生するやっかいな存在だ。体内に侵入したウィルスは、6〜8時間後には100〜1,000倍に、24時間後には百万倍と驚異的なスピードで増殖する。

そしてついには細胞が破壊され、他の細胞へ取りつく。この感染した細胞の周囲が炎症を起こし、発熱や倦怠(けんたい)感などの症状が現れるのだ。

ウィルスがやっかいなのは、構造がとてもシンプルなため簡単に「突然変異」してしまう点だ。そのため、よく耳にするA/B/C型のほかに「新型」が毎年のように現れ、予防のためのワクチンと新型ウィルスのイタチごっこを繰り返している。

予防接種を受けても、型が違えば効き目はないうえに、2週間ほど経たないと効果が出ない。つまり新型が発見されるたびに、早めに予防接種を受けなければ意味がないのである。

ヒト以外の生物に感染したインフルエンザも近年話題になっている。なかでも、もっとも認知されているものは「鳥インフルエンザ」だろう。インフルエンザを発症した鳥に接触することで、感染してしまうのだ。現在、日本で発症した可能性は低いとされ、身近な問題とは考えづらいが、とりあえず鶏肉はよく焼いて食べるようになったのは筆者だけではないはずだ。

■しぶとさが売りのノロウィルス

対してノロウィルスは、残念ながら特効薬もなければ予防接種もない。感染したら、ひたすらおう吐や下痢でウィルスを排出するほかに手段はないのだ。下痢止め剤は絶対厳禁で、体内にウィルスが残ってしまい、かえって悪くなってしまう。

平均1〜2日で終わるのでひたすら耐え忍ぶ、それが回復への近道だ。下痢やおう吐が続くと脱水状態に陥りやすいので、こまめな水分補給と消化の良い食べ物を忘れずに。

ノロウィルスの最重要ポイントは、下痢や吐しゃ物などがあらたな感染源になることだ。これらにはウィルスが大量に含まれており、適切に処理・消毒をしないと床やトイレなどに残ってしまう。まずは飛沫(ひまつ)を吸い込まないよう3m以上離れる。

衣類やタオルに着いたウィルスは洗濯機経由で拡大することもあるので、もったいないがビニールで密封して捨ててしまうのも有効手段だ。また乾燥に強いウィルスなので、放っておくと乾いて空気中に舞い上がり、感染を拡大させてしまうのでなるべく早く消毒しよう。

どうやって消毒すれば良いのか? ノロウィルスはアルコールや酸に強い。このしぶとさに効果があるのが、どの家庭にもある塩素系漂白剤だ。これを水で200倍に薄めるだけで消毒液が完成する。漂白剤は600ml・150円前後だろうか、これ一本で120リットルの消毒液が作れるのだから、惜しまずふんだんに使おう。

自分が感染源にならないよう、つねに心がけるのが重要だ。

■まとめ

インフルエンザは、予防接種を忘れずに

・ノロウィルスに特効薬はない

・飛沫感染を防ぐには、マスクやうがいを忘れずに

・手洗いで接触感染を防ぐ

・消毒にはキッチン漂白剤(塩素系)が有効

なんとも地道だが、これが最良の方法だ。

ちなみに、いつも持ち歩いている携帯電話やスマートフォンは、トイレ並みにキタナいというデータもある。くしゃみやハナ水がついたら、速攻で消毒しよう!

(沼田 有希/ガリレオワークス)