記憶と現実のあやふやさとは? 「記憶汚染展」仕掛け人の2人にインタビュー

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言語化できない不気味さを生み出す「行方不明展」、モノや社会、空間や概念など恐怖心にフォーカスした「恐怖心展」でヒットを生んだチームの新作「記憶汚染展」が遂に開催。クリエイティブディレクター・頓花聖太郎さん、脚本を手掛けた作家・品田遊さんに詳細を伺いました。

記憶というものは不確かで揺れ動いている

頓花 今回の発想の元は、AI活用の際に出合うハルシネーション(AIが出力するもっともらしい嘘)でした。そのハルシネーションは別の現実では正しい出力なのではないか、そんな思考実験から、マンデラエフェクト(事実とは異なる共有された記憶)に思考が及びました。調べれば調べるほど記憶というものは不確かで揺れ動いていることがわかります。つまり、私たちにとって都合の悪い記憶の改変は、日々自然に起きている。でもそれに気づかない。その状態をあえて「汚染」と例えました。展示を巡ることで、存在していなかった記憶が自分の中に生まれてしまう、しかも来場者同士が共有してしまう。そんな体験を展覧会にできないかと考えたことが出発点です。

品田 私は頓花さんから脚本をオファーされた際、マンデラエフェクトという重要なキーワードを事前に伝えられ、そこから発想を広げました。また記憶とAIという掛け合わせも、現代社会ならではの見せ方を考えるきっかけになったと思います。

頓花 展覧会は全章立てで、第一章はマンデラエフェクトの体験、第二章はハルシネーションの展示、第三章は記憶残骸について紹介します。記憶残骸とは、現実には存在し得ないものが、物体や記録として現れているような展示です。対して第四章は記憶保全として、記憶を失いたくない、語り継ぎたいという切実な思いが込められたものを伝える章に。最終章には記憶汚染を促す展示がお目見えします。

品田 過去作との大きな違いは、本展には来場者の存在が不可欠であること。置かれている展示資料はそこにあるだけでは成立せず、来場者の判断と記憶があって完成します。その意味は、展示を最後までご覧いただければ理解できるかと思います。

頓花 本展では、その日常的な記憶の不確かさを、少しだけ不穏な形で体験してほしいと思っています。

頓花聖太郎

とんか・せいたろう ホラー×テクノロジーをテーマに新しい恐怖体験を作りだす「株式会社闇」代表。「行方不明展」「恐怖心展」などを手がけ、本展では制作物のディレクションを担当。

品田遊(ダ・ヴィンチ・恐山)

しなだ・ゆう 作家。『キリンに雷が落ちてどうする』『名称未設定ファイル』など著書多数。ダ・ヴィンチ・恐山の名で幅広く活動する。「居酒屋のウーロン茶マガジン」も毎日投稿中。

information

記憶汚染展

BEAMギャラリー 東京都渋谷区宇田川町31-2 渋谷BEAM4F 開催中〜9月6日(日)10時〜20時(入館は閉館の60分前まで) 会期中無休 一般2300円ほか ※土・日・祝日、8/10、8/12〜14の入館は日時指定券が必要 https://kiokuosen.com

取材、文・山田貴美子

anan 2507号(2026年8月5日発売)より