「3日前にヤマダ電機で…」行動が筒抜けで64歳母が信じた偽刑事。189万を奪われた特殊詐欺の巧妙すぎる手口とは
しかし、警察庁の発表によると、2025年の全国の特殊詐欺認知件数は2万7758件、被害額は過去最悪の1414億2000万円に達し、事件の増加に歯止めがかかっていません。特に警察官や刑事をかたる手口が急増しており、決して他人事ではないのが現状です。
今回は、これまで詐欺とは無縁だったという女性から、実家の母親が巻き込まれてしまった生々しい体験談を聞きました。
実家の母親が特殊詐欺に遭ってしまったと話すのは、坂口真由さん(仮名・38歳/埼玉県在住)。
「まさか本当に、身近でこんなことがおきるとは。本当に怖い事件でした。実は以前から、オレオレ詐欺の電話が来た場合の対応などは、母とよく話していたんですよね。でも、まさか特殊詐欺にあうなんて……」
真由さんの実家は、真由さんが住んでいる街の隣町だそうです。いったい、どんな詐欺事件があったのでしょう。
◆父が他界してから一人で暮らす母
真由さんの実家は、父が10年前に他界し、母が一人で暮らし。
「私が結婚して隣町に引っ越したんです。実家には母を一人残す形にはなりましたが、車で20分の距離だし、64歳の母もまだまだ元気なのでこの距離感にはお互いに満足していたんです」
真由さんは3歳の子どもを連れて、仕事の休みの日に実家に遊びに行っているそう。
「私は仕事が忙しくて、平日は保育園を経由して、家と職場のとんぼがえりです。保育園でもなかなかママ友はできなくて、土日は暇なので、土日のどちらかは母に会いに行っています」
◆母からの電話は涙声。いったい何が
そんな中、事件は突然起こったといいます。
「母が、慌てた様子で少し声を震わせながら電話をかけてきました。涙声になりながら、『真由ちゃん、どうしよう』と……」
真由さんの母が言うには、家電に朝早く電話がかかってきたんだとか。電話は近所の警察署の刑事からだったそう。その刑事は母に、「ヤマダ電機◯◯店で6月22日16時頃クレジットカードを使われましたか?」と聞きます。
刑事の言うとおり、真由さんの母は、3日前の6月22日にヤマダ電機で3歳の孫におもちゃを購入していました。
「母は買い物したことをはっきりと覚えていたため、『はい、使いました』と答えたと言っていました。そうしたら刑事は、『今、手元にそのカードがあったら触らないでいただけますか? そのクレジットカードは不正利用されたようです』と……」
◆2人の刑事が家にくる
そして、「緊急なので、今から15分ほどでご自宅の方に向かいますので、そのカードを封筒に入れて封筒に暗証番号を記載して、待機していてください」そう言って、電話は切れます。
突然のことに気が動転した母は、急いで封筒にカードを入れて暗証番号を書きます。
「その後、電話を切ってから5分もしないで刑事が到着したので、母は驚いたと言っていましたね」
刑事は2人で到着。「もう安心してください」と母に優しく微笑んだそう。刑事は母から封筒を受け取ると、「カード会社で契約の際の印鑑をいただけますか?」と言います。
母が印鑑を持って戻ってくると、印鑑を確認するような仕草。そして、「クレジットカードの指紋を確認したので、私たちから連絡するまで封筒の中を開けないで待機してください」と指示して去っていったんだとか。
◆母からの電話が来たのは2ヶ月後
「その言葉通りに、母は警察からの連絡を待ったんだそうです。私に一言でも言ってくれればいいのに、なぜかその件について2か月間、私は母から何も聞いていませんでした。
私がそのことを知ったのは、クレジットカードの請求額をみた母が、震えながらかけてきた電話だったんです」
なんと、クレジットカード会社から毎月送られてくる請求書の請求額が189万円と、普段では考えられない額だったんだそう。慌てて、刑事から触らないようにと言われた封筒を開けると、まったく見覚えのないカードが入っていました。
「すぐに警察に届けましたが、返金になるか、まだわかりません。警察署で聞いたところ、うちの母のように騙されるのは “特殊詐欺”といって、今はオレオレ詐欺に代わって増えているんだそうです。母には、今度からは些細なことでもすぐに報告、相談するように伝えました」
巧妙な手口に騙されないように、少しでも変化があったらなるべく早く誰かに相談することが大切。日頃からさまざまな被害パターンを想定し、家族で話題にしておくことも効果的でしょう。
<取材・文/maki>

