知らない間に誰かが部屋に侵入してる!? ストーカー犯が女性の部屋に入るために使った恐ろしい手口

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【この記事ではストーカーについて具体的な描写があります。フラッシュバック等症状のある方はご留意下さい】

【マンガ】『夜逃げ屋日記3』を最初から読む

『夜逃げ屋日記3』より


自分が留守の間に、アパートの部屋の中に誰かが入り込んでいるかもしれない…。もしそんなストーカーの恐怖に襲われたら、あなたはどうしますか?

DVや虐待から逃げたい人の引っ越しを専門とする業者、通称「夜逃げ屋」で働いている漫画家の宮野シンイチさん(@Chameleon_0219)。宮野さんはその仕事の現場を通して、夜逃げの必要に迫られている人々の体験をマンガに描いています。そんな実録コミック「夜逃げ屋日記」は、SNSでも注目を集めている社会派作品です。

今回はそんな宮野さんが、夜逃げ屋の社長から聞いたストーカー被害のエピソードをご紹介します。

■「夜逃げ屋日記3」あるストーカーの話 より

『夜逃げ屋日記3』より


『夜逃げ屋日記3』より


川上マリさん(仮名)は、自分がいない間に誰かが勝手にアパートの部屋に入っている気がして悩んでいました。帰宅すると部屋のカーテンが開いていたり、下着がなくなっていたり、ある時はベッドから変な匂いがしたり…。周囲の人々や警察相談しても「勘違いでは?」「疲れてるんじゃない?」と真剣に取り合ってもらえません。

『夜逃げ屋日記3』より


川上さんから相談を受けたのは「夜逃げ屋」でした。DVやストーカーからの夜逃げを専門とする引っ越し業者である「夜逃げ屋」の女性社長は、川上さんのアパートを訪れて部屋の鍵などを調べます。しかしドアの鍵には特におかしい様子はありません。

『夜逃げ屋日記3』より


『夜逃げ屋日記3』より


川上さんと社長は同じ敷地にあるアパートの管理人さんの家を訪問して引っ越す予定であることを告げますが、管理人さんは「婚約者はなんて言ってるの?」と不可解なことを言いだします。川上さんには婚約者どころか彼氏もいないのです。

『夜逃げ屋日記3』より


管理人さんによると、川上さんと同じ住所の住民票を持っている「自称彼氏」の男が、「同棲を始めたから予備の鍵を貸して欲しい」と菓子折りを持って挨拶に来たといいます。そのストーカー男性は、住所を偽って住民票を書き換え、管理人さんから部屋の鍵を借りて複製し、ずっと川上さんの部屋に出入りしていたのでした…。

後日、夜逃げ屋の社長とスタッフたちは、ストーカー男性が川上さんの部屋に侵入するところを待ち受けて捕まえます。

『夜逃げ屋日記3』より


取り押さえられた男性を見て川上さんは青ざめました。その男性はよく知っている人でした。以前にストーカー被害について相談もしていた、川上さんの勤務先の店長だったのです……。

この作品には、他にも恐ろしいストーカー犯たちが登場します。知られざるストーカーたちの姿を描き出した著者の宮野シンイチさんに、お話を伺いました。

■著者・宮野シンイチさんインタビュー

──ストーカー被害にあった川上さんのエピソードは、読者として読んでいても気持ちが悪くて怖い話でした。このエピソードを社長から聞かされた時の感想を詳しく教えて下さい。

宮野さん:よくテレビなどで、ストーカーはこんな手を使ってあなたの家に入ります! みたいな注意喚起の動画を目にしますが、さすがにこの住民票を移して同棲を装う手口は聞いたことも見たこともなく、さらに言うなら誰でもできる方法だったので、こんな手があったのか……と恐怖しました。

『夜逃げ屋日記3』より


──作中、依頼者とストーカーが同じ部屋に住んでることになっていたことが判明した場面で「これ以上の詳細は危険なため控えさせていただきます」と詳細を濁されてましたが、これ以上具体的に描くとマネされるような危険なものだったのでしょうか。

宮野さん:ご想像の通り、この手口には作中で描いてない部分があります。もちろん社長から、それについては聞いているんですが、模倣犯が出るのはあまりにも危険ということで、作中では詳細をあえて省きました。夜逃げ屋日記を書く上で難しいところの一つでもあります。

『夜逃げ屋日記3』より


──このようなストーカーへの対策として、賃貸物件の鍵をもうひとつ自分で取り付けて二重ロックにする方法をご紹介されていましたが、他にも読者がすぐにできそうなストーカー対策はありますか? もし他にもアイデアがあれば教えて下さい。

宮野さん:物理的に二重ロックにする以外ですとやはりSNSに個人情報や、個人を特定できる投稿をポンポンあげるのはやめた方が良いと、社長から依頼者さんによく伝えられてます。いつどこで誰が自分の情報を探っているかわからないので、その辺の注意は大事だと思います。

──2015年に取材を理由に夜逃げ屋に就職してからこれまで多くの現場に立ち会ってこられたと思いますが、就職当時から現在までで「夜逃げ屋」の仕事に対する心境や心構えの変化はありますか? もしあれば、それはどんなことでしょうか?

宮野さん:昔はとにかく、どんなことをするのか?何を話すのか?何が起こるのか? そればかりでしたが今はもうとにかく、その場の空気を感じながらではありますが「早くここから逃がしてあげたい」という気持ちで動いています。それでも、スタッフの中で1番動き悪いんですけどね(笑) これからも精一杯頑張ります!

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『夜逃げ屋日記3』より


作中では他にも、小さなGPS発信機を対象者のカバンにこっそり入れるストーカー犯の手口が紹介されています。ストーカー犯たちがどんな手口を使って対象者につきまとうのか、また彼らがどんな言い訳で自分のストーカー行為を正当化しているのか、詳しく知ることも対策のヒントになるでしょう。

もし現在同じような状況で悩んでいる方は、警察や専門業者に相談することも検討してみてください。

取材・文=レタスユキ