男と女は全く別の生き物だ。それゆえに、スレ違いは生まれるもの。

出会い、デート、交際、そして夫婦に至るまで…この世に男と女がいる限り、スレ違いはいつだって起こりうるのだ。

-果たして、あの時どうすればよかったのだろうか?

できなかった答えあわせを、今ここで。

今週のテーマは「上場を控える男の心を掴み損ねた理由は?」という質問。さて、その答えとは?

▶【Q】はこちら:2022年、婚活市場で一番モテたベンチャー企業社長。デートでその男の心を掴む方法とは…?




「翔吾さん、次はいつ会えますか?」

二度目のデートの帰り道。一緒に食事をしていた花梨が可愛らしい上目遣いで僕に近寄ってきた。

そんな様子を見ながら考える。

― うーん。どうしようかな。

「そうだね…ちょっと忙しくなりそうだから、また連絡するね」

とりあえずその場はふわっとかわし、僕たちはそれぞれ違うタクシーに乗り込んだ。

スタイルが良くて、ちょっとした有名人の花梨。交際するには申し分ないと思うし、何より可愛いと思う。

けれども僕はそれ以上花梨に熱意が湧かず、僕から連絡することはなかった。


A1:初回はむしろアッサリくらいでいい。


花梨と出会ったのは、経営者仲間が住む虎ノ門のタワマンの一室で開催されたホムパだった。

男性たちは同世代で、大体顔見知りだ。

上場を果たした人もいれば、これから控えている人もいる。同じような境遇だからこそ気が合うのだけど、ホムパに来ていたのもいつもつるんでいる顔ぶれだった。

その会で目を引く女性がいた。それが花梨だった。




「家主の知り合い?」

そう声をかけると、花梨の顔がパァッと華やいでいくのがわかった。細い手足に小さい顔。そして顔も、もちろん可愛い。

「それが、家主の方は知らなくて…。正人に呼んでもらったんです」
「そうなんだ!正人の知り合いなんだね。会ったことないよね?」

いつも似たようなメンバーと飲んでいるので、必然的に女性たちも顔見知りが多い。けれど花梨は初めてみる顔だった。

「ないと思います。お名前は何ておっしゃるんですか?」
「あぁ、ごめんごめん。僕翔吾っていいます。名前は?」
「花梨です」
「花梨ちゃん。よろしくね。せっかくだから飲もうよ」

こうして、僕たちは昼下がりから乾杯をした。




この日は合計20人くらいいたかもしれない。

「他の人のところとか、行かなくても大丈夫ですか?」

他の女性たちは大体知っているし、何より花梨が一番可愛い。

「全然大丈夫。いつも会っているメンバーだから」
「皆さん仲良しなんですね」
「そうだね。正人以外に知り合いとかいる?」
「正人さん以外、わからないです」

花梨と話しているのが楽しかったので、友人たちを交えつつ、気がつけばずっと彼女と話していた。

しかもこの日は始まりが早かったので、2軒目へ行く人と、誰かの家へ移動する人がチラホラ出てきた。

花梨も行くのかと思いきや、そそくさとコートを手にしている。

「花梨ちゃん、帰っちゃうの?」
「明日朝が早いんです…。ぜひまた」

初対面から何軒も行って仲良くなるのも良いけれど、「もっと話したい」と思わせるくらいの余韻があったほうが、次につながる確率が高い気もする。

だから僕は、翌日に個別で花梨にLINEを送った。そして食事に行くことにしたのだ。


A2:口が軽い&特筆すべき何かがない…


初デートは最近仲間内で話題の西麻布にある『やきにく 九 西麻布本店』にした。

個室3部屋のみというつくりはもちろんのこと、入店してから出るまでスタッフ以外は人に会わないという、プライバシー重視の特別感がある店だった。




「このお店、すごいですね♡初めて来ました」
「でしょ?ここ個室3部屋しかないし、顔が絶対に割れないからいいんだよね」

そう話しながら何を飲もうかと考えていると、花梨がキョロキョロとしている。

― あ…。洋服のことを気にしているのかな。

「ちなみに、洋服にも匂いがつかない設計だから安心して」
「え〜すごい!」

この反応のときくらいまでは、可愛いなと思っていた。

それに焼肉も豪華で美しく美味しく、満足度はかなり高い。ただ食事が進むにつれて、僕は花梨に対して少しずつ「なんか…」と思うことがあった。




「花梨ちゃんは、何のお仕事をしているの?」
「今は個人で、PR系の仕事をしています」
「共通の知り合いとかいそうだよね」
「実は今日『翔吾さんと食事へ行く』って言ったら、香奈が…。って、香奈ってわかりますか?THE・港区女子!みたいな女の子」
「わかる!少し派手な顔立ちの子だよね?仲良いの?」

― え、僕と食事に行くってこと、言ったの?

香奈は起業家仲間内では有名な子だった。いろいろな噂があるけれど、あまり良い話は聞かない。その子とつながっていることも微妙だし、何より次の発言にびっくりしてしまった。

「そこまで…って感じなのですが…。DMでやり取りしていた時に翔吾さんの話になって。香奈が、よろしくって言っていました」

― 仲良くない子なのに言ったの?口が軽いのかな…。

人のプライベートをベラベラと言いふらしてほしくない。そしてさらに話を進めていくと、花梨のことがよくわかってきた。

「ちなみに翔吾さんって、どういう女性がタイプなんですか?すごくモテそうだなと思って」
「そうだなぁ。自立している子かな。あと明るい子」
「両方とも大事ですよね。でも最近だと、女子アナとか女優さんとか付き合ったりとかはしないんですか?」

― ……要はミーハーなのね。

「僕?いやいや、そんな畏れ多いよ」

たしかに最近僕の周りは何かと騒がしい。言い寄ってくる女性も多いし、いろいろな人と知り合う機会も多い。

でも花梨の友だちに対する価値観とミーハーっぽい感じが、自分とは合わなさそうだなと思ってしまった。

そもそも僕に近づいたのも、きっとどこかで「上場しそうなベンチャー企業の経営者がいる」とか聞いたのだろう。

100歩譲ってそれでもいいとしても、花梨に惹かれるポイントがだんだんと減ってきてしまった。

「花梨ちゃんは?どういう男性がタイプなの?」
「私は誠実で、浮気しない人ですかね。浮気ってなんでするんだろうって思いませんか?」
「浮気かぁ。されたら悲しいよね」

浮気はダメだが、花梨は浮気防止の束縛をしそうなタイプに思えた。

絶対に束縛だけは避けたい。自立していて賢くて、束縛しない人がいい。

「翔吾さんって、最高ですね」
「ありがとう」

可愛いし、一緒に遊ぶならばいいだろう。

焼肉を堪能したあとは、地下にある『THE GOLF TOKYO』へ行ってシミュレーションゴルフをしながら一緒に飲んだ。可愛くて反応の良い花梨とのゴルフは、とても楽しい。

ただ、ものすごく惹かれるポイントもなかった。

顔が可愛い子なんて、この東京にはたくさんいる。だからこそ、特筆して目立つタイプのほうが印象に残る。

例えば自身もバリバリに経営して稼いでいたり、もしくは飛び抜けて美人だったり。はたまた信じられないくらいにウマが合ったり…。

「楽しかった〜!翔吾さん、次もまたお願いします♡」
「うん、もちろん」

そう言いながら、もう一度だけ食事へ行ってみたけれど特に印象が変わらなかったので、僕はフェードアウトすることにした。

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