「私だったら思い切って飛び込んでみる」水川あさみに聞いた“仕事と家庭で迷った時の選択軸”

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取材・文:渡邊玲子
撮影:須田卓馬
編集:杉田穂南/マイナビウーマン編集部
ヘアメイク:星野加奈子
スタイリスト:番場直美

Amazon Originalドラマ『モダンラブ・東京〜さまざまな愛の形〜』は、東京の街を舞台に、マッチングアプリでの出会いやセックスレス、国境を越えた愛など、現代ならではの“愛の形”を、映画界の第一線で活躍する監督たちが、6つの実写作品と1つのアニメーションで描くオムニバスドラマ。

第1話「息子の授乳、そしていくつかの不満」で主演を務めるのは、これまでにもさまざまな女性像をリアリティーのある演技で見せてきた水川あさみさんです。今もなお活躍の幅を広げる彼女に、“働く女性”としての思いや仕事との向き合い方についてうかがいました。

■できないことはできないと認めることも大切

――本作は、ニューヨーク・タイムズ紙のコラム「Modern Love」に投稿されたエッセイをもとにした人気ドラマ「モダンラブ」の東京版です。「息子の授乳、そしていくつかの不満」で演じた役柄について、どのように感じられましたか?

私が演じた(高田)真莉という役は、良くも悪くも完璧主義者で、「こうしなければ!」という思いが強すぎるがゆえに、周りの愛に気づけずにいる女性なんです。仕事と子育てを両立させることに一生懸命で、一見すると器用なようでいて、実はすごく不器用な、人間らしい女性だなと感じました。

――働く女性として、真莉に共感する部分も?

子育てに限らず、何かに一生懸命になるとあまり周りの声に耳を傾けられなくなってしまうことって、きっと誰にでもあると思うんです。でも私には「絶対にこれを貫き通したい!」といったような“頑なさ”みたいなものはほとんどないんですよね。

もちろん、時には理不尽なことに諦めたくなる時もありますが、私の性質的には頑張りすぎていっぱいいっぱいになってしまうということ自体、あまりないかもしれません。

――もともとあまり無理をしないタイプということですか?

無理をしないというか、無理をすることが頑張っているわけでは決してないと思うから。自分の限界に近づければ近づけるほど、それを美徳とする人もいるけど、私はそうは思わない。

もちろん何事にも一生懸命取り組むのは当たり前のことなんだけど、できないことはできないと認めることも大切だと思うんです。時に人に頼ったり、相談したりしながら、自分本位にならないことの方が重要だったりすることもあるっていう感じかな。

自分には思いもつかなかった意見とか発想を聞いて、「なるほど!」と驚きや発見があることもあれば、「やっぱりここはこのままでいきたい」と思うこともあるだろうし。自分の気持ちを整理するためにも人の意見を聞くというのは、普段私がよくやることですね。

■夕方からお酒を飲むことが一つのストレス発散法

――真莉と同じように、仕事と家庭を両立するうえで悩みを抱えている人は多いと思います。

今は結婚しても働いている女性もたくさんいて、私もその一人ですけど、仕事と家庭の両立で大事なことは、自分自身がそれをどれだけ楽しめるかということと、周りの理解がどれだけあるかだと思うんですよね。あとは自分自身の発散のさせ方をちゃんと知っておくこと。

――ちなみに水川さんは何でストレス発散されているんですか?

時間がある時は海に浸かりに行ったり、なるべく自然が多いところに行くようにしています。あとはおいしいものや好きなものを食べることですかね。夕方ぐらいからお酒を飲み始めるくらいのことでも自分の機嫌が取れるので、それだけでも十分楽しくなれます。

何をすると自分が喜ぶかとか、何が好きかとか、自分の感覚に日頃から敏感になっておくのはおすすめです。「ストレスがたまったなぁ」「ちょっと疲れてるなぁ」と思った時にそういったことをやると、自分がリセットされてゼロに戻るというか。そんな気がします。

■迷った時は「幸せになる想像ができる方」を選ぶ

――結婚や出産によって、これまで築いてきたキャリアが失われるんじゃないかと不安を抱いている女性に対して、水川さんならどんなアドバイスをされますか?

仕事でも恋愛でも、自分の人生の中で一度あるかないかくらいの大切なご縁が訪れた時、自分が幸せになる想像ができる方を選び取った方がいいなと私は思っています。

これまで築いてきたキャリアが傷つくことを恐れるくらいなら結婚しなくてもいいと私は思うし、逆にキャリアはまたゼロから築き上げればいいじゃんって思うタイプだから、人生を共にしてもいいと思えるようなパートナーが現れたのなら、私だったら思いきって飛び込みます。自分一人で頑張ってきたからこそ、違う誰かと一緒に違う人生を歩むことの面白さを模索する方が、より自分の人生を豊かにできるような気がするので。一つの価値観にとらわれない生き方を選択できたらいいなと思っていますね。

――いろいろな出会いや経験を得て、仕事との向き合い方に変化があったりも……?

年齢とともに自然と求められる役が変わってくるというのもありますけど、なるべくならやったことのない役柄や、見たこともない景色が見えそうな作品選びをしたいなという思いはあります。

とはいえ、どうしても似通った役が来ることもあるので、そういった場合でも、経験値が増えることでそれまでとは違ったアプローチができるようにチャレンジもしていきたいなと思っています。

――では最後に、ドラマを楽しみにしている読者にメッセージをお願いします!

「モダンラブ」をテーマに、ちょっと突飛なものからファンタジーに富んだものまで、さまざまな監督たちが年齢も関係性もバラバラな愛の形を個性豊かな俳優陣で描いているのは、この作品ならではだと思います。

「愛」というテーマは万国共通だけど、国によっても捉え方が違うだろうし、今の自分の気分に合う作品を探す楽しみ方もできます。

私の出演作に関しては、身近な人からの愛に自分は気づけているだろうかと、日常に寄り添う愛を見つめ直す機会になってくれたらいいなと思います。

Amazon Originalドラマ『モダンラブ・東京〜さまざまな愛の形〜』

ニューヨーク・タイムズ紙に掲載されたコラムを基に、愛にまつわるさまざまな物語を描いたAmazon Originalドラマ『モダンラブ』。

2019年にアメリカで制作され世界中で大きな話題を呼んだ同作が、舞台を東京に移して描かれる『モダンラブ・東京〜さまざまな愛の形〜』に、日本を代表するキャストと映画監督陣が集結!

本作で描かれる7つの物語では人の営みを紡いできた“東京”の街を舞台に、マッチングアプリでの出会いやセックスレス、シニアラブや国境を越えた恋など、現代ならではの多様な愛と人々の絆を映画界の第一線で活躍する監督たちが描きます。

配信日:2022年10月21日
話数:全7話(実写6話、アニメーション1話)
キャスト:水川あさみ、前田敦子、榮倉奈々、柄本佑、伊藤蘭、石橋凌、成田凌、夏帆、永作博美、ユースケ・サンタマリア、ナオミ・スコット、池松壮亮、黒木華、窪田正孝 他
ショーランナー:平柳敦子
監督:平柳敦子/廣木隆一/山下敦弘/荻上直子/黒沢清/山田尚子
脚本:平柳敦子/黒沢久子/龍居由佳里/荻上直子/黒沢清
※平柳監督の柳は木辺に夕卩、の柳が正式表記

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