30代の若い年代でも、万が一病気になったときのことを考えると医療保険に加入しておいた方がよいのでは、と考える方も少なくはないでしょう。医療保険選びで失敗しないために大事なことは、「どのような時に保障が出るのか・出ないのか」を知っておくことです。

保険の内容は一見難しいように感じますが、一つ一つ保障の内容をみていくと、理解するのはそんなに難しくはありません。

この記事では、医療保険でよくあるトラブルや、医療保険はどのようなときに保障が出るのか・出ないのかについて解説しています。これから医療保険の加入を考えている方などは、ぜひ保障の出る・出ないのパターンを知って、ご自身に合った保険探しをしてみてください。

医療保険の保障を知ることの大切さ

わたしたちの生活は病気やケガ、災害などさまざまなリスクがつきものです。

そのようなリスクの経済的な助けとなるのが、医療保険ですが、保障についてよく知らないと、払われるはずの保険金が支払われていなかったり、実際に入院をしても免責期間によって給付金をもらえなかったり、といった予想外の出来事が起きる可能性もあります。

このようなことが起きないように、医療保険でよくあるトラブルをいくつかみておきましょう。

医療保険の入院給付金でよくあるトラブル

医療保険の入院給付金でよくあるトラブルの一つが、「保険会社の定めた入院日数の条件よりも、実際に入院した日数が少なくて給付金がでなかった」というケースです。

例えば、入院給付金の支払い条件が「継続して5日以上の入院であること」であるのに対し、実際には3泊の入院で済み、給付金を申請をしたが支給されなかったということが起こったとします。

これは、保障内容を把握できていなかった故に起こったトラブルのことがほとんどです。

昨今は、短期入院が増えているため、保険選びの際には、何日間の入院で給付金が支給されるのかをチェックしておくことが大切でしょう。

医療保険の手術給付金でよくあるトラブル

医療保険の手術給付金でよくあるトラブルの一つが、「手術をしたけれど、保障対象外の手術だったため給付金が出なかった」というケースです。

保険商品によって、手術給付金の対象は異なりますが、基本的には公的な医療保険の対象手術は、給付金の対象でもあると思ってよいでしょう。

しかし、美容に関する手術やレーシック治療などは、病気の治療のための手術ではないため、多くの場合は、保障の対象外となっています。

手術後に、給付金が出なかった......という状況にならないように、保険商品を選ぶ際には手術給付金の対象・対象外を必ずチェックすることが大切です。

どんなときに保障が出るのか・出ないのかを知っていればトラブルは防げる

保険選びで失敗してしまう大きな要因となっているのが「保障をよく把握していない」ことです。

実際には、将来にどのような病気になるかは予測がつきませんが、そのような中でも、どのような状況のときにどんな保障を受けたいのか、を考えて保険を選べば、おのずと保障内容が把握できます。

自分に合った保険を選べるように、まずは、ご自身でもどのような保障を希望するのかを明確にしてから、商品探しや、保険の営業担当者と相談をするとよいでしょう。

こんな時には保障は受けられる?

では、実際に5つのケースを例に、医療保険の保障がどのようなときに受けられるのか、または受けられないのかをみていきましょう。

ケース1. 体調不良で検査入院した

例えば、原因不明の腹痛がつづき、検査入院した場合には、医療保険の保障が受けられるのでしょうか。

このようなケースでは、医療保険の保障の対象外となります。

医療保険で給付金が出る入院は、治療のためであることが条件となっていることから、検査入院は保障対象外となってしまうのです。

ケース2. 持病の治療で毎週通院している

30代、40代の方でも持病があり、毎週通院をして治療をしている方もいることでしょう。では、持病の通院の治療費に対しては医療保険の保障は受けられるのでしょうか。

一般的には、医療保険は、入院を要する治療に対して給付金が出ることがほとんどです。

そのため、入院が伴わない持病での通院治療は保障対象外となってしまいます。

ケース3. 盲腸(虫垂炎)で1週間入院した

例えば、盲腸で1週間入院した場合は、医療保険の入院給付金の保障は出るのでしょうか。

1週間という短期間でありますが、原則的には入院給付金は支給されます。

ただし、保険会社によっては、「入院3日目から」「入院5日目から」など、入院期間に条件がもうけられている場合があります。

保険選びの際には、「いつから給付金が出るのか」「何日間まで保障がされるのか」を確認するようにしましょう。

ケース4. 肺炎で入院・退院して、7か月後に再発をして再入院した

同じ病気で、再発をして再入院をした場合には、180日以内であれば、再発後の入院もまとめて1つの入院としてみなされ、その分の給付金を受け取れます。

また、ケース4では、180日を超えているため、一般的には、1回目と別の入院とされることがほとんどです。

これも、保険会社によって条件が異なるので確認するようにしましょう。

なお、1回の入院での給付金の支払い限度日数も、それぞれの保険商品で決まっているので、こちらもチェックしてみてください。

ケース5. うつ病の治療で会社を2年間休んだ

医療保険でよくある疑問の一つが、「うつ病などの精神疾患の治療に対して保障が出るのか」です。

医療保険は、主に、入院給付金・手術給付金・通院給付金が軸となっています。

それぞれに、給付の条件があり、うつ病でもその条件を満たしていれば保障を受けられます。

例えば、入院給付金には以下のような条件があることが多いでしょう。

・告知義務を果たしている

・他の病気で給付金を受け取っていない

・治療のための入院である  など

うつ病の治療のために上記の条件を満たした入院であれば、入院給付金が支給されることがほとんどです。

また、医療保険によっては、特約で就業不能保障をつけられる場合があります。

精神疾患の治療は長期に及ぶことも多く、収入が途絶えてしまうリスクもありますが、就業不能保障は、うつ病の治療で働けない期間に保障を受けられるため、治療費と生活費を備えることも可能です。

まとめ

わたしたちの暮らしの中で、病気やケガなどのリスクはつきものです。そのようなリスクにおいての経済的な負担を軽減するために、日本ではすべての人が公的な医療保険に加入しています。

そのため、病院の窓口で保険証を見せるだけで1〜3割負担で診療が受けられるのです。

しかし、公的な医療保険では、通院費や保険外診療、先進医療、差額ベッド費用などは対象外となります。

そこで助けとなるのが民間の医療保険です。

民間の医療保険は、診断が下った時点で一時金として給付金がおりたり、先進医療の保障があったり、と公的な医療保険ではカバーできないところを補うことができます。

ただし、保険商品や特約などの種類が多く、よくわからないまま契約してしまうと、いざ病気をしたときに給付金が出なかった…ということも起こりかねません。

保険選びの際には、まずは必ず、自分はどのような保障を民間保険に希望するのかを、ある程度明確にしてから商品探しをするようにしましょう。

文 / 小林 愛加