将来を見据えて堅実に節約し、お金を貯めている30代、40代でも、「このままで大丈夫かな」というお金の不安が常につきまといます。すでも立ち消えになりましたが、「老後2000万円足りない騒動」が勃発したときには、多くの堅実女子が「自分も何かしなくてはいけない、のかも……」という漠然とした気持ちになったものです。

「お金を貯める」から一歩進んだ行動が「お金を運用する」というもの。それが「投資」です。「投資」には不動産投資、仮装通貨、FXなどさまざまありますが、今回は、もっとも耳慣れている(であろう)株式投資について。「株のお姉さん」の異名をもつ、元カリスマ証券レディーで現在SBI証券投資情報部 シニア・マーケットアドバイザーの雨宮京子さんに、株式投資の基本のキを教えていただきます。

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堅実女子こそ株式投資をはじめるべき!

株式投資とは、上場している株式会社に、証券会社を通じてお金を預け、出資者となること。書店などでは、株式投資で〇億円稼ぐ!というような書籍も多く並んでいることもあり、億万長者を夢見た人もたくさんいます。

「私は、株式投資とは企業を応援することである!と思っています。株式投資の儲け方にはふたつの方法があります。ひとつはキャピタルゲインといって、株の価格が買った値段よりも高くなったときに売って得る株式売却益。そして、インカムゲインという、配当金や株主優待です」(雨宮さん:以下「」同)

配当金とは、出資した企業が得た利益の一部を、株主へ還元するお金。0円の企業もある一方で、出資額の5%、6%といった配当がある企業もあります。また株主優待とは、企業から株主になってくれたお礼として送ってくれるプレゼント。これも、ある企業とない企業があります。

「しかしながら、株の価格が自分の買ったときの値段より下がってしまえば、当然損失になりますし、売買には手数料がかかります。つまり、手数料を引いても利益がでるほど価格が上がらなければ、いわゆる“儲け”にはならないのです」

それでも、雨宮さんは、「堅実女子こそ投資をすべき」と言います。

「消費だけを続けていれば、確実にお金は減ってしまいます。また、お金を貯めていても、銀行などの利息は微々たるものですし、コンビニエンスストアなどのATMで引きだせば、手数料でポンっと利息が飛んでしまいます。一方、投資は、“お金が勝手に自分で働いて利益を出してくれる可能性がある”ものです。必ず〇億円儲かるというものではないですが、せっかく稼いだお金を遣うだけで終わらせてしまったり、眠らせて目減りさせてしまうくらいなら、株式投資にチャレンジしてみる価値は大いにあると思います。社会・経済に目を向けるきっかけにもなり、自分のお金に対して、よりシビアになる目をもてるようにもなるはずです」

とはいえ、雨宮さんにも、「株式投資に手を出してはいけない、向いていない人はいる」と言います。それはどんな人なのでしょうか。

株式投資に向いていない人とは?
1:絶対にソンをしたくない人

「説明した通り、株式投資のキャピタルゲインは、株価が自分の買った値段+売買手数料以上になってはじめて利益となります。現在では比較的少額から投資でき、利益が出たときには大きいですが、絶対儲かるという確約があるわけではありません。あくまでも、“可能性”なのです。買った株価が下がるかもしれないというリスクがとれない、下がったときに “応援した企業がうまくいかなかったのは残念だけど、これも勉強だ”と前向きに思えないという人は、株式投資に手を出すべきではないでしょう。

それでも、何か投資をしてみたいというのであれば、株式投資よりも利益率は低いけれどリスクも低い投資信託やiDecoなどを選択肢にいれてみるといいと思います」

2:頑固な人

「株式投資の売買には、柔軟な対応が必要になります。実際、株の値動きというのは、N.Y.市場だったり、世界情勢だったり、ウワサ話だったりなどで、不条理なことも多いのです。それにしなやかに対応できないと、絶対に“儲け”にはつながりません。しかし、性格が頑固だと自分が間違っているはずがない!という気持ちになりがち。売るタイミングを逃して損失を大きくしてしまうという傾向が高いのです」

3:優柔不断な人

「決断力のない人も、株式投資には向いていないといえます。基本的に株式投資は自己責任。自分で売買のタイミングを決めなければいけません。しかし、優柔不断な人だと、今なのかな……、まだなのかな……とやっているうちに勝機を逃すという事態に陥りやすいのです。パパっと決断して、瞬時で売る、買う、ということができないと株式投資は難しいでしょう。

4:ネチネチした人

「決断ができたとしても、その決断が間違っていた場合に“自分で決めたんだから仕方がない”という潔さがもてない人も、株式投資向きとはいえません。あのときに売っていればもっと儲かったのに……、もっと早く売っておけばよかった……などと悶々としてしまったり、そもそもあの会社は最悪だ、ダメだ、などとSNSやネット掲示板に書き込むような人は、株式投資とは相性がよくないといえるでしょう。よし、次に行こう!次はちゃんともっと勉強して株式を選ぶぞ!という気持ちになれず、ただ過去を振り返っているだけの株式投資生活では、お世辞にも精神衛生上よいとはいえません」

株式投資は「捨ててもいいお金」で始める

株式投資には、資金だけでなく、決断力、そして潔さが必要ということ。もともと備わっていないからわたしには無理かな……と今まさに諦めてしまった人もいるかもしれません。ちょっと待ってください。物理的に決断力と潔さを手に入れる方法があります。

それが、「捨ててもいいお金で始めること」です。捨ててもいいお金なんてない!という人がほとんどでしょう。そうですよね。なので、こう考えてみてください。「今の生活の中で、なくてもいいものはないかな?」と。

「たとえば、1回分の飲み代、あるいは定期的に通ってしまっているヘアサロンやネイルサロン代。あるいは、月謝だけ払っているけれど全然通えていないジム代や、効果はよくわからないけれど惰性で飲んでるサプリ……。それらは、本来、飲み会や美容代として消えるべきもの。そう考えれば、少しはネチネチも優柔不断も薄まるのではないでしょうか」。

まずは、自分の生活を整理して、株式投資に使えるお金を試算してみてください。

消費から投資へ。となりの彼女はもう始めてるかもしれないよ。


SBI証券投資情報部 シニア・マーケットアドバイザー (相続診断協会認定 相続診断士)
雨宮京子

元カリスマ証券レディー。日興證券時代は全国トップの営業実績を持つ。32年株式市場をウォッチ。「株のお姉さん」として簡単・分かりやすく解説!ラジオ短波(現ラジオNIKKEI)、長野FM放送アナウンサー、『週刊エコノミスト』(毎日新聞社)記者、日経CNBCキャスター、テレビ東京マーケットレポーター、ストックボイスTVキャスターなどを経て現在に至る。2014年Yahoo!株価予想最高11連勝,勝率94%達成。『夕刊フジ』株-1グランプリ2018年4月度優勝(銘柄のパフォーマンス108.8%)で平成最後の年間グランドチャンピオン王者に!主な著者本『株の教則本』『はじめての人の株入門塾』『税金ゼロ!ローリスクで儲けるNISA株入門』◆SBI証券

文/簗場久美子