仕事に適性があるように、結婚にも向き不向きがある。

どんな爽やかイケメンでも、高学歴・高収入のハイスペ男でも、残念ながら“結婚に向かない男”は存在し、数々の婚活女子を絶望させている。

一時の恋愛を楽しむのなら問題はない。しかし結婚したい女が、結婚に向かない男に割いている時間はないのだ。

この連載では、婚活中のアラサー女子から寄せられた情報を基に、東京に数多生息する “結婚に向かない男”の生態を紹介していく。

先週は拘りすぎるハイスペ男を紹介した。さて、今週は?




【今週の結婚に向かない男】

名前:孝太郎
年齢:32歳
職業:総合商社
住居:目黒

【報告者】

名前:真子
年齢:29歳
職業:外資系化粧品会社
住居:恵比寿


結婚に向かない男File No.2:女を不幸にする男


「後悔してます。好きになるんじゃなかったって。彼とは、友達のままでいるべきだった」

キラリトギンザ12階の『PLUS TOKYO』。窓に広がる夕暮れの銀座を背景に、今回の報告者・真子は切ない吐息を漏らした。

質の良い黒カーディガンに、白のプリーツスカート。一粒ダイヤの華奢なネックレスがよく似合う、清楚な女性だ。

白くて透明感のある肌に、艶のある栗色の長い髪。“彼女にしたい女性”を具現化したような真子だが、つい先日、2年付き合った彼氏に別れを告げたばかりなのだという。

「正直に言えば今でも彼のことが好き。彼も別れたくないって言ってくれました。でもダメなんです。これ以上一緒にいると、私が不幸になるから」

彼女はそう言って、きゅっと堪えるように唇を結んだ。美しい切れ長の目からは、今にも涙が溢れそうだ。

「魅力的であることと結婚向きかどうかって、どうして両立しないのかな…」

か細い声で呟く彼女の言葉は、質問というより諦めに聞こえる。

愛らしい真子をこれほど苦悩させているのは、一体どんな男なのだろう。


男としては魅力的。しかし真子の彼は、女を幸せにしない男だった


誰もが羨む好物件。最初は自慢の彼氏だったが…


「彼…コウちゃんとの出会いは3年前。ニューヨークでした」

しばらく口を噤んでいた真子は、何かを吹っ切るようにコウちゃんこと、孝太郎との馴れ初めを語り始めた。

彼女はニューヨークが大好きで、もうかれこれ5年以上前から年に1度は必ず訪れているのだという。

友人と行くこともあるが、学生時代の友人が住んでおり部屋に泊めてもらえるため、一人で行くことも多い。

仕事に出かける友人を見送った後、昼間はひとり好き勝手に観光やショッピングを楽しむ。そして夜だけ合流しディナーに出かけるのがいつものパターンだった。

「ね、今からひとり合流してもいい?」

ある夜、ACE HOTEL内のダイニングバーで食事をしていると、友人に突然そう尋ねられた。

「え?うん、いいけど…」

友人曰く、ニューヨーク駐在中の商社マンを紹介したいと言う。なんでも現地に住む別の友人経由で知り合った男らしい。

「見た目も爽やかだし、すごく面白い人だから真子に会わせたくて。しかも来月、日本に戻るらしいのよ」
「え、ホント?楽しみだな」

キャッキャと盛り上がる二人の前に現れたのが、孝太郎だった。




ああ、この人モテるだろうな。孝太郎と初対面し、真子はすぐにそう思ったという。

「見た目も素敵だし、何よりサービス精神があってすごく楽しいの。駐在中に出会えたのがラッキーだったと思う。東京にいたら、きっと目ざとい女の子たちがすでに捕獲しちゃってたと思うから」

来月、東京に戻ったらまた会おう。ワイワイと楽しく過ごした後、そんな口約束をしてその場は別れた。

真子は彼からの連絡を、過度な期待をしないよう自分に言い聞かせながら待っていた。すると約束どおり「帰国したよ!」と連絡があったのだ。

「でも、デートの誘いではなかったんです。学生時代の仲間と皆で飲まない?って。つまり、お食事会ですね(笑)。可愛い子連れて来てね、なんて言われてガッカリしたけど…また会いたい気持ちが勝って誘いに乗りました」

だが結果的に、この誘いに応じたことが二人を急接近させた。

「彼、慶応内部生なんですけど。長い付き合いだという友達もみんな感じの良い人ばかりだったし、何より仲間の中にいるコウちゃんが楽しそうで。皆に愛されてるんだなっていうのがわかって、ますます好きになりました」

好感を抱いたのは、孝太郎の方も同じだったようだ。この食事会のあと、今度は二人きりでデートに誘われた。

「六本木ヒルズで映画を観た後に彼の買い物に付き合ったんですが、私が新作のマノロ・ブラニクに見惚れていたら買ってあげるよって。驚いたけど、素直に嬉しかった」

ショッピングの後は、彼が予約してくれていた『サッカパウ』へ。素敵なデートだった、と呟き真子は頬を赤らめた。

それからほどなく、孝太郎から正式に「付き合おう」と言われた真子。

爽やかで会話も楽しく、エスコートも手慣れている。さらには慶応内部生の商社マンで、父親は某大企業の役員、実家は四ツ谷。

誰もが羨む好物件。やっと素敵な人に出会うことができたと真子は浮かれた。

「真子ちゃん、いい人いないの?」とさりげなく探りを入れてくる両親も、彼なら文句なしに喜んでくれるだろう。

当時、孝太郎は真子に、告白の決め手をこんな風に語ったと言う。

「彼の友達とも気さくに仲良くしてくれたのが決め手だった、と言われました。その時は気に入って貰えてよかった、嬉しい、としか思いませんでしたが…今思えば、この言葉にすべてが詰まっていた気がします」


一緒にいて楽しい、自慢の彼氏。しかし次第に明らかとなる、彼の本性


大好きな彼女が相手でも、自分のペースは崩さない


「コウちゃんはそんなことないって否定したけど…彼にとっては多分、私の存在なんて二の次なんです」

真子はそこで一度言葉を切り、悲しげに口元を歪めた。

彼女の話によれば、孝太郎の発言や行動の端々から、次第に「俺のペースを乱すな」という無言の圧力を感じるようになったという。

「例えば彼の家にお泊まりして翌日一緒に出かける時、私の身支度が遅いとあからさまに機嫌が悪くなっちゃう。だから私は彼の様子を観察しながら、先に準備を終えるよう必死でした」

この他にも、自分はしょっちゅう待ち合わせに遅れるのに真子の遅刻は許してくれないなど、数え上げれば様々な例があるらしい。

「大事にされていないわけじゃないんです。友達と一緒にいる時なんかは私のことをすごく気にしてくれるし。…だけどそれは、私が彼に合わせてあげた上での話なんです」

彼女には自分のペースに合わせてもらいたい。束縛もされたくない。しかし逆に、孝太郎が真子に合わせることはない。

-私、コウちゃんと一緒にいると不幸になってしまう-

彼女いわく、そのことに気がついた象徴的な出来事があったという。




「少し前に体調を崩したんです。何年かぶりの高熱で意識が朦朧としちゃって。一人じゃ病院に行くどころか飲み物を買いに行く体力すらなかったから、仕方なくコウちゃんに頼ったんです。でも助けに来てくれなかった。…週末だったのに、ですよ」

真子は孝太郎にLINEを送り、病院に付き合ってくれないかと頼んだ。

“大丈夫か?”などと、彼女を心配するメッセージを送ってはきた。しかし続いて届いた言葉は“悪いけど先約がある。他に頼める友達いない?”というものだったのだ。

「これまで私はずっと彼に合わせてきたし、尽くしてきたつもり。それでもコウちゃんは私のワガママを聞くどころか、こんな緊急事態でも自分が優先なんだって。そのことを突きつけられた気がしました」

孝太郎は魅力的な男だ。スマートでセンスもいい。しかし彼には唯一、女を幸せにする種類の“優しさ”が欠けていた。

女を幸せにするのは、素敵なデートじゃない。高価なプレゼントでもない。

そばにいて欲しい時に寄り添ってくれる優しさであり、どんなワガママだって許してくれる大きな器なのだ。

こうして真子は、泣く泣く孝太郎に別れを告げたのだった。

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