国宝や重要文化財も!根津美術館で特別展「名画を切り、名器を継ぐ」

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美術品の鑑定でよくある「もし、傷がついていなかったら○○万円だったのに」なんていうシーン。でも、日本人の美意識がスゴイのは、「この金継ぎが素晴らしい!」などといって、修理の仕方まで作品の価値として評価してしまうところ! そうして修復され、あるいは新しく作り変えられた名作ばかりを集めた展覧会を楽しめるのは、私たち日本人だけかも!?

9月20日(土)から11月3日(月・祝)まで、根津美術館で開催されている新創開館5周年記念特別展「名画を切り、名器を継ぐ ―美術にみる愛蔵のかたち―」では、補修や作り変えによって美しさを進化させた古美術品が約100点も登場! なかには、国宝4件と重要文化財35件も含まれるというから、その価値は変わらないどころか、バージョンアップしているはず。

例えば、豊臣秀吉が継がせた青磁の花瓶など、歴史的にもバリューのある名器はもちろん、関東大震災で壊れて破片となった名器をもとに再生した茶碗なども展示。傷や破損がもとになって、新しい命が吹き込まれた器は、手をかけて愛されてきたプロセスが見えてくるよう。そのほかにも、破損した絵巻物から切り取られてトリミングされた平治物語絵巻や、美を分かち合うために切断された三十六歌仙の絵巻物など、作り変えることで新しい価値を得た美術品がずらり!

「名器には、時代背景とともにさまざまなストーリーが備わっています。でも、壊れて捨ててしまったら二度と同じものは手に入りません。だからこそ、大切に修復し、その繕いまで見どころにしてきたのだと思います。名品を受け継いだ人たちの、古美術品に対する愛情を感じていただければ、嬉しいですね」と、広報担当者さん。

もしかしたら、生まれ変わった名品たちは、完璧な状態のときより手を加えられたぶんだけ身近に感じられるのでは? こういうアートの鑑賞法も、ちょっと新鮮で新しい!