なんかちょっと、お灸ってオシャレかも!?

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最近、書店でお灸のガイドブックがたくさん出ているのを目にする。これまでお灸といえば、肩凝りや腰痛、膝の痛みなどに悩むおじいちゃんおばあちゃんがやるもので、「お灸をすえる(=おしおきする)」という言葉があることから、「熱そう」「やけどしそう」「跡が残りそう」というネガティブなイメージを持つ人も多かったのではないだろうか。

中でも目を引いたのが、お試し用のお灸付きムック、「はじめてのお灸レッスン」(成美堂出版)。ハーフっぽいモデルさんが登場して室内でお灸をしながらくつろいでいたり、ガラス瓶の中にお灸を入れるなどして、まるでかわいい雑貨でもあるかのようにスタイリングしていたり……。なんかちょっと、お灸ってオシャレかも!?と思ってしまいそうなイメージ戦略がなされているのだ。

版元の担当者さんにお話を伺ってみたところ、発売以来、爆発的にというわけではないが重版がかかるなど売れ行きは好調とのこと。昨年くらいからNHKの健康番組でお灸が取り上げられるなどして注目が高まっていたらしい。一度試してみたいと思いつつ、「どこで売っているのかわからない」「初めてなので、正しくできるか不安」というビギナー向けに気軽に手にとってもらえる内容をめざしたという。

「ビギナー向けではありますが、きちんと東洋医学の先生に監修してもらっていますので、関心があったけれど今まで詳しく知る機会がなかったという方にもご満足いただける内容になっていると思います。ターゲットは20代〜40代の女性と幅広いのですが、実際に手にとっていただいているのは30代くらいの方が多いようです。ナチュラル志向の人のあいだで、今、“冷えとり”をされてる方って多いですよね。その一貫としてはじめるケースも多いようです」とのこと。


なるほど、「リンネル」とか「天然生活」などを愛読し、夏でも靴下を三枚くらい重ねてはき、玄米を中心としたマクロビ的な食生活を心がけている……みたいな女性だろうか。
本書によれば、お灸の主成分はよもぎ。火を点けて燃やすことにより、40〜60度くらいの熱が皮膚からじんわり、体の奥深くまで伝わっていくのだそう。体に熱を加えることで体内に「ヒートショックプロテイン」といわれるたんぱく質が増加、これにより免疫力を高めることができる……というわけなのだ(ちなみに、ヒートショックプロテインはお灸だけでなく、お風呂や岩盤浴等でも増やすことができるという)。


当然のことながら症状によってお灸を置くべき「ツボ」もいろいろなのだが、気になった項目は「肩凝り」「腰痛」「月経トラブル」「貧血」「便秘」「不眠」「低血圧」「肌荒れ」「白髪」「薄毛」などなど。妊娠中、逆子がお灸で治ったという例もあるそうで(ただし、鍼灸の専門家の元で適切な治療を受けた場合)驚きである。たとえば肩凝りのツボだからといって肩にあるわけではなく、手の甲など意外な場所にあったりするのもおもしろい。

そんなわけで、私もおっかなびっくり初めての「お灸体験」をしてみたところ、思っていたよりかなり熱い……だが気持ちいい! 最近、クーラーや冷たいものの摂りすぎのせいか体調がいまいちなので、お灸や入浴で体を温めることで夏バテ回復したいところ。
日本人とのお灸の関係はかなり古く、吉田兼好の「徒然草」や、松尾芭蕉の「奥の細道」などの古典文学にもお灸にまつわる記述が出てくるそうで驚きである。あなたも先人の知恵、お灸で体をあたため、酷暑を乗り切る一助としてみてはいかが?
(まめこ)