恋とは、どうしてこうも難しいのだろうか。

せっかく素敵な出会いをしても、相手に「また会いたい」と思わせない限り、デートにも交際にも発展しない。

仮に、順調に駒を進められても、ある日突然別れを突き付けられることもある。

しかし一見複雑に絡み合った恋愛でも、そこには法則があり、理由がある。

どうしたら、恋のチャンスを次のステップへ持っていけるのか、一緒に学んでいこう。

今回は美人で男の自尊心をくすぐる女なのに男が去って行った理由は?という宿題を出していた。

あなたはこの宿題が解けただろうか?




友理と出会ったのは、僕の会社が主催していた出版パーティーだった。大人数のお客さんがいる会場内でも、スラリとして美人な友理はとても目立っており、僕は思わず声をかけたのだ。

「モデルの方ですか?」

そう話しかけると、慌てて否定する友理。

「まさか。今日は仕事関係で来ただけです。あ、中崎友理と申します」

差し出された名刺には、有名な"キラキラ系"企業の名前が書いてある。

「あ〜このIT会社にお勤めなんですね。どうりでこんな華やかなんですね。僕は・・・」

お互いに名刺交換をし、会話が始まった。だがすぐにクライアントに呼ばれてしまったので、僕はその場を離れなくてはならず、咄嗟に勇気を振り絞って誘ってみる。

「やばい、クライアントさんに呼ばれちゃった。あの、こんなこと滅多に言わないのですが・・・また今度、良ければお食事でもいきませんか?」

こうして彼女を誘うことに成功し、デートすることになった。

一見、何のマイナスポイントもなく、友理は完璧な女性だった。だが2回ほどデートをしただけで、“彼女にはしたくないなぁ”と思うような点がポロポロと出てきてしまったのだ。


可愛いけど遊びでいい。そう思われてしまう女の仕草と行動とは!?


解説1:気遣いが出来ない女だと悟られてはNG


初デートということで、僕は中目黒にあるイタリアンの個室を予約した。

登場した友理は、黒のVネックにタイトスカートという"THE いい女"のような服装で、僕はつい笑顔になる。

「素敵なお店ですね!」
「本当?そう言ってもらえて良かった」

そんな楽しい会話から始まったこのデート。だがこのデート中に、僕はいくつかの引っかかりを覚えてしまったのだ。




「じゃあ友理ちゃんは、企画とかも自分で考えるの?」

食事も進んできたところで、お互いの仕事の話になっていた。

「そうなんです。でも本当に、今の仕事が大好きで」
「へぇ〜すごいね!」

そんな会話をしているうちに、僕は自分のグラスが空になったので酒を頼もうとしたのだが、この個室には扉があるため、オーダーする際は卓上の呼び出し用チャイムを押さなければならない。

しかしそのチャイムは友理の体のすぐ近くにあり、会話を遮ってまで手を伸ばすのは気がひける。

「友理ちゃんみたいに、これだけ可愛いのにも関わらず、仕事も一生懸命頑張っている女性って無敵だよね」
「いえいえ、そんな。直樹さんは、お仕事楽しいですか?」

会話を続けながらも、どのタイミングでオーダーしようか見計らっていると、友理のグラスも空になった。

「ごめん、気がつかなくて。友理ちゃん何飲む?」
「そしたら、同じものを貰おうかな〜」

そう言って、ニコニコと微笑む友理。だが、それ以上何も動かない。

「友理ちゃん、お酒強いんだね。じゃあチャイム押してもらってもいい?」

さりげなく頼むと、ようやく手元のボタンを押してくれた。

別に僕は亭主関白なタイプでもないし、飲みたい人が頼めば良いのだが、“チャイムを押して”と言ってからようやく目の前にあるボタンに手を伸ばした友理を見て、少しだけ違和感を覚える。

ーあれ?この子、言わないと行動しない子かな?

そして帰りのエレベーターでも、僕は同じことを感じてしまったのだ。

店を出て二人でエレベーターに乗っていると、途中で人が乗ってこようとした。

しかしその瞬間、友理は階数ボタンの前にいたのにも関わらず、“開”ボタンを押すこともなく、ただ笑顔で突っ立っている。

-え!?そこは、“開”ボタン押さないの!?

少し驚きながら、僕は慌てて“開”ボタンを押したのだ。


更に決定打となった、友理に欠けていた要素とは!?


解説2:相手に対する想像力と気遣いが欠けている


そんな小さな違和感を抱えたまま、彼女と2度目のデートをすることになった。恵比寿の創作和食屋に現れた友理は、今日も抜群に可愛い。

「本当に、友理ちゃんってそこらの芸能人より綺麗だよね」

思わず口に出してそう言ってしまったほどだ。だが、このデートで僕は、“やっぱり顔だけじゃダメだ”と悟ることになる。

実は入稿作業が続いていたせいか、この日は少しだけ体調が悪かった。

「どうしたんですか?何か今日は静かですね」

友理はデート開始早々たくさん話してくれるのだが、正直そこまで話が頭に入ってこない。だが一生懸命話してくれるのに申し訳ない気持ちもあり、僕は素直に謝った。

「本当?ごめんごめん。ちょっと風邪ひいたみたいで。でも大丈夫だから」

だが、この後の友理のセリフに、一瞬耳を疑ってしまった。

「え〜大丈夫ですか!?そしたら、何食べますか?一応、ここの推しメニューはこの唐揚げみたいなので、唐揚げは頼みつつ・・・後は何かありますか?」

-体調悪い人に、いきなり“唐揚げ”オーダーする!?

別に僕は、体調不良アピールをしたい“構ってちゃん”ではないし、心配を求めているわけではない。しかし普通に考えて、“体に良さそうなもの”という発想はないのだろうか。

疑問を抱きつつ、デートは進んでいく。

そして食事中、どんなにグラスが空いていようが、目の前のお皿が汚れていようが、友理は全く気にしない。その都度、僕が店員を呼んで、お皿をかえてもらったりドリンクを注文したりしていた。

“すごいですよね”と褒められたが、至って普通の行為ではないだろうか。

-この子、本当に気遣いが出来ない子なんだなぁ。

僕はそう悟った。そして、極めつけの出来事が起こった。

「友理ちゃんって、兄弟はいるの?・・・って、ごめん!蹴っちゃった?」

不意に僕の靴が友理の足とぶつかったのだが、なんと、彼女はテーブルの下で靴を脱いでいたのだ。




「蹴っていないから大丈夫ですよ〜足が痛くて、私の方が脚を伸ばしていたので」

「女性って、大変だよね。男は楽だけど、そんな細いヒールで長時間歩くと脚も痛くなるよね」

そう言いながらも、“飲食店で、しかも食事中に靴を脱ぐなんて、どういう育ちをしてきたんだ?”とつっこまずにはいられない。あまりにマナーがなっていなくて、こっちが恥ずかしくなってきた。

自分一人の時は勝手にしてくれたらいいが、デート中は別だ。しかし彼女には、“一緒にいる相手がどう思うか”などという想像力は皆無なのだろう。

「友理ちゃんってモテるでしょ?男性が放っておかない感じがするもん」

きっと、周りの人たちは何も言ってこなかったのだろう。可愛いしスタイルも良く、お姫様扱いをされているうちは、気遣いなどしなくてもいいから。

「そんなことないですよ〜全くです」

ちょっとした気遣いができるかどうか。相手が何を思っているのか。ほんの少し考えられるだけで、関係性は変わってくる。

-可愛いけど、彼女にはしたくないなぁ。

本命の彼女は、やっぱり“いい女”でいて欲しい。だがそれは外見のことだけでなく、さりげない気遣いが出来て、相手を思いやる気持ちのある女性のことを言うのだと悟った。

こんなことを言っている僕は、女性に対して理想が高すぎるのだろうか?

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