日本三大住吉の1つにして、長い歴史を宿す格式高き神社

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福岡市の中心部、博多区にある「住吉神社」は、大阪の住吉大社、下関の住吉神社とともに「日本三大住吉」の1つに数えられる古社。全国に2129社ある住吉神社の始源と伝えられており、底筒男神(そこつつのおのかみ)、中筒男神(なかつつのおのかみ)、表筒男神(うわつつのおのかみ)の住吉三神を御祭神とする。

【写真を見る】黒田長政が造営した「住吉造」の本殿は国の重要文化財に指定

およそ8000坪もの広大な敷地内には、国指定重要文化財の本殿や市指定有形文化財の能楽殿、古代力士像など、さまざまな施設やパワースポットが点在。大相撲11月場所(九州場所)の前には「横綱奉納土俵入り」が行われる神社としても知られ、全国から多くの崇敬を集めている。

「住吉神社」の起源は古く、創建は1800年以上前に遡ると伝わる。現在の本殿は元和9年(1623)、初代福岡藩主・黒田長政により再建されたもので、「住吉造(すみよしづくり)」という神社建築史上最古の特殊な様式を用いており、国の重要文化財に指定。

また、御祭神である住吉三神は航海・海上の守護神。「こんな内陸で海の神様?」と不思議に思ってしまうが、実はこのあたりはかつての那珂川の河口付近、つまり海に面していた場所。聞けば納得、歴史ロマンを感じずにはいられない。

相撲の神様として信仰されていることもあり、本殿そばには筋骨たくましい「古代力士像」が仁王立ち。右手の手相が「力」という漢字に見える事から、その手に触れると力をもらえるといわれている。右手からみなぎるパワーに触れ、開運・立身出世のご利益にあずかろう。

その他、境内には数々の摂社・末社が点在するが、そのなかの1つ「志賀神社」の前にある「福分小判」は、宝くじに当籤した参拝者が、その御礼として、また「福を皆で分かち合いたい」と奉納建立したもの。驚くことに、その当籤した人の名はなんと「志賀」さんなのだとか!単なる偶然とは思えない事実に、編集部も思わず絶句。

神社はJR博多駅より徒歩10分、最寄りのバス停からも徒歩2分という好立地。都心とは思えないほど豊かな緑に包まれる境内は、古くからの自然が手付かずで残されているせいか、心癒す木々の彩りの中にも、どこか気高い静けさが漂う。

太古より悠久の歴史を紡いできた住吉神社。今も静かに博多の街を見守り、鎮座する。

[住吉神社]福岡県福岡市博多区住吉3-1-51 / 092-291-2670 / 9:00〜17:00 / 無休

【九州ウォーカー編集部/取材・文=前田健志(パンフィールド)、撮影=鍋田広一(パンフィールド)】(九州ウォーカー・前田健志)