11〜12月はみかん収穫の最盛期。畑には濃いオレンジのみずみずしいみかんがズラリ

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みかんの産地として知られる和歌山県海南市(かいなんし)。みかん農家で収穫のお手伝いをするために、県内県外からそこにやって来た男女がお付き合いするケースがあるという情報をゲットし、早速取材に出かけた。

FROM FARMの大谷さん夫妻。FROM FARMは金・土・日曜限定でカフェも併設

向かったのは海南市下津町(しもつちょう)、紀伊水道に迫るようにそびえる山の段々畑。ところ狭しとみかんの樹が植わっていて11〜12月に収穫期のピークを迎える。しかし農業従事者が高齢化、また後継者不足の中、一時に集中するみかんの収穫作業を農家の方だけでは到底乗り越えられない。そんな背景から農家と期間限定の働き手をつなぐ“蜜柑援農”事業を行う“救世主”が出現した! FROM FARMの大谷浩司さんだ。以前名古屋に住んでいたが、下津にUターン。4年前にスタートした援農キャラバンを引き継ぎ、この事業を立ち上げた。

「農家さんからの需要がどんどん増えていて、援農者は全国からやってきます。シェアハウスで共同生活しながら従事してもらいますが、そこで出会った男女がお付き合いするケースもあるみたいですよ」と大谷さん。

■ 農作業=大変と思うなかれ!すばらしい景色と柑橘の香りに癒される援農体験

「援農」とは、農家を支援することというのは察しが付く。が、実際にはいったいどんな農作業が待っているのか、それを確かめるために援農を体験させてもらうことにした。まずは車に揺られ、ガードレールのない超細い山道をクネクネクネクネ上ること数十分。ついにみかん畑に突き当たり、道がないところまで上り詰めた。さらに“モノラック”と呼ばれるモノレールに乗り込み、山の中腹の畑に降りていく。急勾配の斜面をずんずん下へ進んでいくが、その角度、(体感的には)60度くらいもありそう!?落っこちそうで落っこちないというスリリングさもまた新鮮!

畑につくと手袋とハサミ、カゴを渡され、早速みかんを収穫。慣れないうちは両手を使うが、慣れれば片手だけで素早く採取していく。

農園主の尾崎清治さんによると、「色が赤くて(濃くて)、皮がツルツル、大きいのよりもちょっとちっちゃいくらいがおいしいみかんや」とのこと。

■ 一度の体験に終わらず、翌年も…。ラブちゃんが援農リピーターになったワケ

取材当日農園で出会った若者は、ベンさんとラブちゃん(ともに愛称)。2人ともイケメン、イケ女。とても有能な働き手だ。

「空気も景色もいいから、作業していてなにより楽しい。農家さんがとてもよくしてくれることもあってリピーターになりました!」とは、兵庫県尼崎市出身の2年目の援農者ラブちゃん。確かに、農園から瀬戸内海に浮かぶ淡路島がくっきりと見え、豊かな自然に囲まれたエリアでの作業は都会人には新鮮。「こんな景色に囲まれて毎日みかんを採るのは案外いいかも!」と思えてくる。仕事はそれなりに体力を要するが、農家の方々はとても温かい。県外の人はシェアハウスで援農者同士が交流しながら下津生活を堪能している。もちろんこれはボランティアではなく、働いた分だけしっかり日当が支給されるのも魅力。

人生の基本を支えるのが食。その食を支える農業の大切さを肌身で感じることができることに加え、もしかしたらすてきな出会いを期待できるかも…。そんな体験したい方は、ぜひ“蜜柑援農”を要チェックだ。(東京ウォーカー(全国版)・取材・文=東野りか、水島彩恵)