女性誌『Suits WOMAN』で注目を集めた「貧困女子」。これは普通の毎日を送っていたのに、気がつけば“貧困”と言われる状態になってしまった女性たちのエピソードです。

今回お話を伺ったのは、現在、アルバイトをしながら病気療養中の今井真知子さん(仮名・39歳)。彼女は八王子にある大学を卒業後、ロースクールに通い弁護士を目指すけれど、24歳で結婚し勉強を中断。その後、10年間専業主婦をしていたそうです。

「34歳で離婚したのですが、職歴がないから、どこも就職できないんですよ。PCも使えないし、そもそも仕事って何をどうすればいいかわからない。大学を出て弁護士まで目指していたのに、私ができる仕事は、製造スタッフや店員さん、清掃スタッフなど別に大卒じゃなくてもできる仕事ばかり。一応、中学校の社会科の教員免許と図書館司書を持っているのですが、20代のうちに採用されない限り、持っていても意味がなかった。だって募集すらしていないんですから」

真知子さんは、小柄でふっくら体型、目が大きく童顔。セミロングヘアを無造作に黒ゴムで無造作に縛っています。ベージュ色のサマーニットと、コットンのガウチョパンツ、帆布製のエコバッグはフリマアプリで買ったものだとか。

「お金がないから、フリマアプリを使い倒しています。買い物だけでなく、彼からもらったシルバーのアクセサリーとか、東京都八王子市の実家から持ってきた服とか、元夫と離婚するときに失敬してきたブランドものの名刺入れやタイピン、ボールペンなどもいい値段で売れるんです」

仕事や生活について伺うと、“仕事らしい仕事はしていない”と即答

「34歳のときに離婚してから5年間、ほぼまともに働いていません。今住んでいるところは、友達の実家が持っている東京都杉並区内の古い木造アパートで、家賃は4万円です。これもホントに一人では借りられなくて大変だったんですよ。仕事はうつ病の療養をしつつ、日雇いのアルバイトをしています。フリマアプリの分を足しても、年収は180万円くらいでしょうか。毎月15万円くらい稼げれば、なんとか生きていけると思います」

実家が都内にあるけれど、そこには住めない事情がありました。

「離婚の時、夫に激怒されて家から放り出され、実家に行ったら母親は別の男と暮らしていたんです。仕方がないから、山梨県にある父方の祖母の家に行って、仕事を探そうと思ったのですが、滞在2か月で、父の妹……つまり私の叔母の旦那さんが迫ってきて、つい深い仲になってしまって、家に居づらくなって出て行くことになったし。一時期は漫画喫茶に住んでいましたからね。ホントに私って男運がないというか、これは母親譲りだと思います」

真知子さんのお父様は、10年前に胃がんで亡くなったそうです。以前から、真知子さんのお母様は多くの男性と浮名を流していたとか。

「今でも覚えているんですが、小学校の頃、学校を早退した時に、家に帰ってきたら鍵がかかっていたんですよ。庭側のサッシ戸から入ろうとしたら、母が父とは違う男性と抱き合っていたのが見えたんです。子ども心ながら、見てはいけないものを見てしまったと思い、学校に引き返しました。そういう血が流れているから、私もダメなんだと思いますよ」

話している間、爪の先で自分の口の周りの産毛を抜く真知子さん。おそらく無意識に行なっているのでしょう。

「一時期は本当に悲惨な生活をしていて、毎日ドリンクバーとお菓子だけだったので、皮膚の表面がぼろぼろ剥がれていって、ツーンとする嫌な臭いの汗が出て、耳の後ろの毛が円形脱毛症みたいにごっそり抜けちゃって。人間の三大欲求って、食欲・性欲・睡眠欲といいますが、私は“愛され欲”というか“誰かと一緒にいたい欲”があると思うんですよね。あとはお金。お金がないと不安になって、不安の泥沼に引きずり込まれるように病むんですよ。善悪も判断できなくなって、“あそこにいるおばあさんの財布を奪ってしまおうかな”と思って、ハッと我にかえったことがありました」

真知子さんの現在の彼は服数人いて、平均年齢は70歳前後だといいます。

真知子さんの離婚の理由、現在の本当の仕事は、欲望に依存しているものだった……〜その2〜に続きます