社会人経験も10年目を迎え、そろそろ「中堅」と言われる年代になると仕事に対する意識や価値観も20代の頃と変わってくるのではないでしょうか。

知識や技術だけでは測れない、「仕事ができる」と言われている人が持っている“能力”のようなもの--。

仕事センス、ある?

今回、企業・行政・自治体等の人材育成支援を手がける「産業能率大学総合研究所」(東京都世田谷区)は、現在就業中の社会人歴2年目の男女(新卒2年目社員)、6〜12年目の男女(先輩社員)を対象に「仕事センスに関する意識調査」を実施しました。

まず、職場に知識やスキルは高いにもかかわらず仕事を上手く進める「センス」がない人がいるか聞いたところ、6割の人が「いる」と回答しました。

男女別で見ると「いる」と答えた人が女性は66.7%、男性は53.3%で、女性のほうが「仕事のセンス」の評価に厳しいということがわかりました。

仕事センスって何?

それでは「仕事センス」って具体的にどのようなことを言うのでしょうか?

「仕事センスがある人」に見られる特徴をたずねたところ、全体では「自分で判断して行動する力がある(208人/69.3%)」が最も多い回答となりました。

経験を重ねると「人柄重視」は減少

さらに女性に絞り、先輩社員と新卒2年目にそれぞれ「仕事センスがある人」の特徴を聞きました。

先輩社員が「仕事センスがある」と思うのは、「自分で判断して行動する力がある」が73.3%、「相手に明確に説明することができる」が64.0%、「相手の言動から状況を察知できる」が40.0%、「人柄のよさ」が38.7%、「関係者を調整することが得意」が34.7%、「適切な質問をすることができる」が21.3%、「できないことにNOと言うメンタルの強さ」が17.3%、「ストレスに耐えることができる」が10.7%という結果に。

一方、新卒2年目は、「自分で判断して行動する力がある」「相手に明確に説明することができる」「人柄のよさ」が54.7%と同列に。次に「相手の言動から状況を察知できる」が44.0%、「関係者を調整することが得意」が38.7%、「ストレスに耐えることができる」が22.7%、「適切な質問をすることができる」が18.7%、「できないことにNOと言うメンタルの強さ」が9.3%、その他が2.7%になりました。

注目するポイントは、「人柄のよさ」という項目で新卒2年目と先輩社員の間には16ポイントのギャップが見られた点。年数を重ねていくごとにパーソナルな部分ではなく実際に仕事を遂行する能力を「仕事センス」として重視する傾向があることが明らかになりました。

また、「できないことにNOと言うメンタルの強さ」に関しては先輩社員は17.3%、新卒2年目は9.3%で8ポイントの差が。仕事の経験年数を重ねていくうちに「できない」ことに対してははっきりとNOと言うことも大事という意識の変化が見られました。

自分の仕事センスには自信がない?

これらの結果を踏まえて、全体に「自分に仕事センスがあるかどうか」をたずねたところ、「あまりない(39.3%)」「ない(15.4%)」と、2人に1人が仕事センスに自信がないことがわかりました。特に女性に限定すると「ある」と答えた先輩社員はわずか2.7%と非常に低い結果になりました。

産業能率大学経営学部の齊藤弘通准教授は「6年目以降になると、さまざまな部署との調整や事前に言っておかないと後々大変なことになる、などプロジェクトに入って仕事をしたり、他社との商談をしていくなかで失敗も含めた経験を積んできたことによって、仕事センスがある人とはこういう人という人物像がアップデートされている。その結果が『関係者との調整をうまくできる』『相手の言動から状況を察知できる』人が、仕事センスが高いと答えているのではないか」と話しています。

【調査概要】
調査の方法: WEBアンケート方式
調査の対象: 社会人2年目(男性75名・女性75名)、社会人6〜12年目(男性75名・女性75名)
有効回答数:300
調査実施日:2017年4月14日(金)〜4月18日(水)

ウートピ編集部