2年前にレイプ被害にあった28歳の女性が、加害者の不起訴処分を不服とした申し立てをしたということに関して、実名・顔出しで記者会見を行ないました。

女性が美人だったこと、相手が著名人だったこともあって、ネットでは大きく報道されています。

政治と権力と女ーー。まるで、仲間由紀恵がゲスト主演する『相棒-2時間スペシャル版』のシナリオです。
様々な利害と思惑が交錯しているのでは、とレイプ被害の告発そのものよりも、誰が何のために動いているのか、ということのほうに注目が集まっている気さえします。

その中で、彼女は集中砲火を浴びています。

「美人だからしょうがない」
「自分から相手にコンタクトを取ったくせに」
「コネで就職しようとなんて思うから悪い」
「売名行為」

彼女が記者会見のときに着ていたシャツの胸元のボタンが開いていたことを指摘して、「スキのある女だ」という声も聞こえてきます。
「もともと、そういう女なんだから、こういうことになっても自業自得」

そうでしょうか。
彼女はジャーナリストだそうです。職業柄、どういう映像や言葉が、どうやって伝わるのかは十分知っているはずです。そうでなくてもレイプ被害者の告発が、どのように扱われるかは、素人でも知っています。
セカンドレイプは必ず起こる。

その上で、彼女は実名、顔出しに優位性があると判断したのだと思うんです。

「自分に非がある女はレイプされてもしょうがない」という意見は必ず出てきます。むしろ、非がひとつもなくても、「何かあったんじゃないか」と当然のように疑うのが世論です。
でも同時に、私のような「どんな理由があってもレイプしていいことには絶対にならない」という声もあがります。

だっておかしいでしょう? イヤなものはイヤに決まっているじゃないですか。人格や行動は、レイプとは関係ないですよね。

胸元のボタンについても、揶揄されることは織り込み済みだったのではと実は思っています。指摘して彼女を攻撃する意見に対して「レイプされたくないならまず服装に気を付けろという考えはおかしい」と反論するには、きっかけが必要だからです。
そのきっかけの誘いとしての「開いたボタン」だったのかもしれませんよ。

女性側には相当な覚悟があるはず……

実名、顔出しには、相当な覚悟があったんだと思います。本当にレイプは絶対に許されないことなんだと、改めて確信させられました。

もちろん、最低限の危機感は持つべきと思います。でも、部屋から一歩出たら何されるかわからないよ、されたらお前のせいだからって、一生ビクついて生きることを強いるのはどうなんですかね。性的被害にあうと、そういう気持ちになっちゃうんですよ。

すごく、すごく辛いことなのに、彼女のように密室2人きりのときなんて、合意があったかなかったかっていう、もう、言った言わないの世界みたいなことでしか被害のジャッジがしてもらえない。

仮に、相手側の言い分が正しいとしても、相当もやもやします。
既婚者が、23歳も年下の、就職の相談に訪れた同業女性に対して「キミのような美人に仕掛けられたらしかたないでしょ」って。いったい理性はどうなっているんだ。

実際、痴漢や社内セクハラの被害にあっても、誰にも言えない人は多いですよね。
どんな程度であっても、性的被害は体だけじゃなく心に大きな傷を与えます。相手が知人なら、なおさらです。でも、言えない。

あなたにも責任があるのでは?お互い様じゃない? と一蹴される気がするし、性的な被害にあったことが噂にでもなったら恥ずかしいし人生詰む、と思ってしまうからです。

性的被害だけでも辛いのに、セカンドレイプにも怯えて……下品な言葉で恐縮ですが、やられ損です。

やはり、こんなのおかしいんです。
私たちは被害者にならないように気をつけると同時に、絶対にセカンドレイパーになってはいけないーー。「こういう事件が報道されるたび、イヤな世界に生きているんだと思い知られてゾッとする」。その2では、あずき総研が働くアラサー&アラフォーに聞いた性的被害と告発に対する意見を紹介します。

知人を告発した女性を非難する人も多いと聞くと、やりきれない気持ちになる。