M・ナイト・シャマラン監督の映画『スプリット』多重人格者を演じたジェームス・マカヴォイにインタビュー

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『シックス・センス』『サイン』『ヴィジット』を手掛けてきたM・ナイト・シャマラン監督が手掛ける最新作映画『スプリット』が2017年5月12日(金)に公開される。

シャマランらしいホラー&ミステリー

シャマラン監督と言えば、決して派手ではないけれども、ジワジワと背筋が凍りついていくようなホラー&ミステリーが醍醐味。『スプリット』では、23の人格を持つ主人公ケヴィンがある日、パーティー帰りの3人の少女を拉致・監禁するというところからストーリーが始まる。ケヴィンの精神科医によると23人の他にもっと危険な人格を持つ24人目の存在がある…というもの。果たして3人の少女たちはケヴィンから逃げ切れるのか・・・

そして過去にはシックスセンスをはじめ、びっくりどんでん返しストーリーが注目を集めてきたが、今回はどんなオチが待っているのだろうか?

主演ジェームズ・マカヴォイにインタビュー

主演を演じるのは、ジェームズ・マカヴォイ。『X-MEN』シリーズではプロフェッサーXを演じ、また、『ラストキング・オブ・スコットランド』『つぐない』と幅広い演技が人気。今回、様々な人格を表現した演技が既に絶賛されている彼に、映画『スプリット』の舞台裏やそのテーマについて、インタビューを行った。

主人公のケヴィンは多くの人格を持つという設定で、挑戦しがいのあるキャラクターだったと思います。キャラクターを作り込む際にシャマラン監督からのリクエストはありましたか?

監督からは、ヘドウィグという男の子を演じる時はちょっと話し方を舌足らずにして欲しいと言われたので、それは自分が演じるとき非常に役立ちました。また、撮影前1週間ぐらい話し合い、それ以外でもSkypeやfacebookでやり取りをして、監督と自分でお互いに意見を出し合う共同作業を行いました。その中で融合されていったものを演技に持ち込むことができましたね。

監督も、脚本も素晴らしい環境で、目指している部分がとても高かったので大変はありましたが、良い意味での挑戦になりました。

マカヴォイさん自身がキャラクターに肉付けしたアイデアがあったら教えてください。

自分自身が肉付けをしたキャラクターとしてはヘドウィグと、女性のパトリシアです。ヘドウィグにいたずらっ子っぽい側面を加えたり、パトリシアに宗教的な印象や、頑なさ、変態さを入れたりしました。

シャマラン監督作品の魅力はどんなところにあるでしょうか?

彼の作品の魅力は、奇妙さを持つところ、どこか変わった作品であることだと思っています。メインストリームとしてハリウッドで成功した作品でも、どこか変なところがあって。またそれがストーリーだけではなく、そのスタイル自体も驚きに満ちているので見る人が引き込まれていきます。

ヘドウィグ、パトリシアなどケヴィンの中にいる多くの人格はもちろん、登場人物の多くはそれぞれいろんな悩みを抱えています。マカヴォイさん自身が共感する悩みはありますか?

生きていく中で、悪いことが起こった時の状況については共感する部分が多いですね。私たち人間は、どうして悪い状況に影響され、定義づけられ、下に引きずり落ちてしまうのか?もしくはそこから力を得てさらに強くなれるのか?そのどちらになるのか、という局面があると思っていて、映画の中ではそういったテーマが登場します。

時には悪い状況に陥ることがあると思います。マカヴォイさんご自身は自分で壁にぶつかったりした時、どうやって現状を打破していますか?

自分は肉体を使うタイプでして、運動など体を動かすことで上手くいくことがあります。でも、それは問題を解決することにはならないんですよね。鎮痛剤を打つことと一緒で、悩み自体は無くならないけれど、症状は緩和することができる。消すことができる、と言うのでしょうか。

例えば歯を食いしばってグッとそれが過ぎるまで我慢する、待つということもありますし、もしそれが自分の失敗なら、気持ちを再調整、整理して自身の価値観や目標みたいなものを考え直すこともあります。

映画『スプリット』で観客に注目してほしいところは?

主要のキャラクターたちそれぞれが苦しんでいるところは、注目して欲しいところですね。私自身が演じるキャラクターはもちろん、他の登場人物も孤独であったり、苦しんでいる。同情できるところも多くあり、観客のみなさんには感情移入して頂けると思います。

こうしてみると、映画『スプリット』は、サイコホラーとしての怖さと、多くの人が共感するテーマが合わさっていますね。マカヴォイさんが考えるこの作品の怖いところは?

怖い要素は極端な行動でしょうね。私たちが住んでいるこの社会は法律、法令があり、警察がいる。誰もがきちんと税金も納めていて…ちゃんと生きているのですけれど、私たちは極端な行動に出る人を認めることができない。だからこそ作品で描かれている強烈な行動は、観客のみなさんに恐怖を感じさせるでしょう。

映画『スプリット』はジェームスさんにとってどんな作品ですか?

自分自身をストレッチできる素晴らしい機会を与えられた作品。それは、とてもハードなトレーニングだったのですが、役者としても非常に鍛えられるところがありましたし、自分にとっては非常にいい体験で、満足度の高い冒険になりました。『スプリット』が、多くの方々に、たくさんの驚きをもたらしてくれると、とても嬉しく思います。

ストーリー

女子高校生3人組が挙動不審の男に拉致された。密室に閉じ込められた3人はやがて、この男が“ひとり”ではないことを知る。神経質で潔癖症の青年デニスから、社交的で人懐っこいナイスガイのバリー、9歳の無邪気な少年ヘドウィグ、さらにはエレガントな女性パトリシアへ…ひとりの人間の中で激しく入れ替わる人格。そう、彼は23もの人格を持つ男だったのだ!そして、驚くべき24番目の人格の発覚が彼女たちを絶望に陥れる―。

作品詳細

『スプリット』
公開日:2017年5月12日(金)
監督:M・ナイト・シャマラン
脚本:M・ナイト・シャマラン
出演:ジェームズ・マカヴォイ、アニャ・テイラー=ジョイ、ヘイリー・ル・リチャードソン、ベティー・バックリー
(c) 2017 Universal Pictures


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