先月29日、三船美佳と高橋ジョージの離婚がようやく成立しました。17年ものあいだ連れ添ったカップルの離婚は世間に衝撃を与えました。年始から立て続けに週刊誌によって著名人の「不倫問題」が暴かれたこともあり、「離婚の危機」や「破局か」といった言葉を目にする機会が多かったと思います。

「3組に1組が離婚」はウソ!?

では一体、どれくらいのカップルが日本で離婚しているのでしょう?

調べてみると「3組に1組が離婚」という衝撃的な数字を目にします。とはいえ、芸能人の「不倫騒動」を思い浮かべてみても、自分の周囲を見回してみても、それほど多くのカップルが離婚をしているとは思えない。それが普通の人の実感ではないでしょうか?

実はこの「3組に1組が離婚」という数字が正確ではないという声が多数上がっています。いくつかのネット記事でも指摘されていますが、今回は一番新しいデータをもとにこのトリックを読み解いていきましょう。

数字のトリックを解く

今年の4月5日に公開されたばかりの、平成27(2015)年度の「人口動態統計調査」では、婚姻件数57万5743件に対し、離婚件数は20万6205件。単純に離婚件数を婚姻件数で割れば、確かに「約3組に1組」が離婚していることになります。

しかし、これはあくまで、「調査した年に結婚したカップル」と「調査した年に離婚したカップル」の対比でしかないのです。現在、日本では婚姻数自体が減少傾向にあります。分母である婚姻数が毎年減少している一方で、分母は調査年の何年も前に結婚したカップルのうちで離婚が成立した件数なるわけです。これでは離婚した人の割合が大きく見えてしまうのは当然です。
 

離婚率を正確に調べるには

例えば、2015年に結婚したカップルがその後、何割離婚したかという追跡調査であれば、正確な離婚率が判明するでしょう。しかし今のところ、そのようなデータは存在しないようです。

実は、離婚件数だけで見れば、日本では2004年を境に年々減少傾向にあります。婚姻数が低下し始めたのが2001年頃なので、3年ほど遅れて離婚件数も連動して減少していったことがわかります。

「熟年離婚」はブーム以前から増えていた

離婚といえば、「熟年離婚」の問題も気になるところです。一時期、メディアなどで多く取り上げられたシニア夫婦の離婚。今はどうなっているのでしょうか?

「熟年離婚」という言葉が定着したのは2005年頃。テレビ朝日でドラマ『熟年離婚』が放映されたのが同年の10月で、これを機にこの言葉が大ブレイクします。

しかし、実際に熟年層の離婚率が増えてきたことが問題視されたのは1990年頃。過去の「人口動態統計調査」を見ても、同居期間が20年以上の夫婦で離婚率が増えたのは1990年からで、その割合は離婚者数全体の13.8%。1980年の7.7%に比べ、爆発的に増えていることがわかります。

では近年はどうかというと、2013年の調査結果では16.4%と数字はいまだ増加傾向にあります。言葉がブームになった時期から時間が経過し、少し落ち着いたかのように思われた「熟年離婚」ですが、緩やかにその数は増え続けているのです。

一番離婚率が高いのは30〜34歳の女性

では、今最も離婚しているのはどの世代なのでしょう?

2014年の「同居をやめた時の年齢別の離婚率」を見てみると最も割合が高いのは、実は30代なのです。なかでも30〜34歳の女性は3万283件で最多となっています。

 なぜ、この年代で離婚をする女性が多いのでしょうか?

ヒントは先ほどの同居期間別の離婚率にあります。2013年の調査では同居期間が5年未満で離婚する割合は全体の32.1%。次に多い同居期間5〜9年の離婚率の20.9%と比べ、およそ11.2ポイントも高い結果になっています。

現在、初婚年齢の平均が29歳であることを考えると、結婚から5年以内の34歳までで離婚数が多いのは自然といえるかもしれません。  
 

女性が経済的に自立すると離婚が増える?

「離婚」が増えることは、しばしば女性の「経済的自立」とも関連して語られます。平成27(2015)年度の厚生労働省の「人口動態総覧」を見てみると、女性の自立が進むアメリカ(女性の就労率69.2%)では人口1000に対し、婚姻数が6.8件。一方で離婚数が2.8件となっています。イギリス(女性の就労率73.4%)では婚姻数4.5件に対し離婚数が2.0件。どちらも高い数値といえるでしょう。

また、女性の就労率が82.5%ともっとも高かったスウェーデンでも離婚率は高く、女性の自立と離婚率の関係性が伺えます。

ロシアの離婚率は日本の2.5倍

しかし離婚率が高い理由の全てが「女性の経済的自立」であるわけではありません。離婚率が高いことで知られるロシアでは1000人に対し婚姻件数は8.5で、離婚件数は4.5。同調査では日本の離婚件数は1000人に対し1.8件なので、およそ2.5倍の人たちがロシアでは離婚していることになります。

このロシアや旧共産圏の国の離婚率が高い理由として、「貧困」が関係しているとする向きもあります。現在、ロシアの貧困率は16%。経済的に安定していないと結婚生活を続けるのは困難ですし、貧困が原因でパートナーがアルコール中毒になり、DVの被害を受けて離婚せざるを得なくなる場合もあります。

また、貧困率17%で格差の広がるアメリカでは、富裕層の多い都市部の離婚率よりもワーキングプア層の離婚率が高いとされています。 

「生活費を渡さない」が離婚理由として増加中

 
2014年の調査では日本の離婚理由のトップは男女ともに「性格の不一致」。しかしよく見てみると、妻の側の離婚理由として「生活費を渡さない」は28.5%。実は2007年以降、この割合は増加の傾向にあるのです。

経済的に自立しているからこそ、「離婚」という選択肢が取れる場合もあれば、経済的に立ち行かないから「離婚」という選択肢を取らざるを得ない場合もある。

近年、日本ではシングルマザーの貧困の実態が明らかになってきました。離婚やシングルマザーへの偏見はなくなりつつありますが、就業面、経済面ではまだ問題が山積み。離婚という選択をしても女性が活躍できる社会が求められているのではないでしょうか。

(安仲ばん)