きゃんぱち用品を装備したホンダの軽自動車バモス ホビオ

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寒さも和らぎ、アウトドアが気持ちのよい季節。海や山でキャンプをするのに好適なのが、車中泊ができるキャンピングカーだ。しかし、車両の大きさや価格、普段の使い勝手などで二の足を踏むのも事実。そんな方には、八千代工業の「きゃんぱち」シリーズを検討してみてはいかがだろうか。

【写真を見る】バモス ホビオの後部がフルフラットのベッドスペースに!

八千代工業は、1972年から本田技研工業から軽自動車の受託生産を手掛ける企業。人気のスポーツカーS660をはじめ、バモス、バモス ホビオ、そしてアクティ・バンなどを製造。さらに、ホンダ車をベースとした福祉車両や特装車の架装事業も行っている。

その八千代工業が2014年末から発売するキャンピングカー用品が「きゃんぱち」だ。ユニークなネーミングは、1台の車で、通勤、送迎、荷物運び、買い物、車中泊、プチキャンプ、プチ旅行、趣味という8つのことができる(=Can)という意味からつけられた。もちろん、八千代工業の8もかけているのはいうまでもない。

きゃんぱちは、同社が生産するホンダのバモス ホビオを、簡単にキャンピングカーへと変える。ラインアップは、防虫ネット、カーテンレール、カーテン、クッションマット、キャビネットの5種。予算や必要に応じて段階的に組み込むことができ、日常使いのクルマに、少しプラスするだけで、快適な車中泊が楽しめる1台となる。

本格的なキャンピングカーの場合、業者に依頼し車内に手を加える場合が多い。しかし、きゃんぱちの場合は、ユーザー自身の手で着脱が可能。逆に言えば、自動車を売却する際、ユーザー自身の手で車両購入時と同じ状態に戻すこともできるのだ。

実際にきゃんぱちフルセットを装備したバモス ホビオを見たが、ちょっとした車中泊には必要にして十分。車内は大人二人が十分寝ることができる広さで、しかも6枚のクッションマットを並べるだけで、フルフラットのベッドが出来上がることに驚いた。室内全周を覆うカーテンは遮光性が高く、昼でもぐっすり眠ることができるだろう。小型ながら収容力十分なキャビネットも魅力的。2人分の食器や調味料を入れても、ちょうどいい収納力で、軽食を取ったりパソコンなどの軽作業をしたりするテーブルとしても活用できそうだ。秀逸なのは防虫ネット!窓枠にピッタリと収まるので、夏場に窓を開けたままでも、害虫に悩まされることは少ないだろう。

なぜ自動車を生産受託する企業が、キャンピングカー用品を手掛け始めたのだろうか。同社広報に話を聞いた。「自分たちが作る自動車を、より幅広く、楽しく使って頂きたいという願いと、福祉車両をはじめとする車体架装のノウハウを、より多くの自動車ユーザー様のために生かしたい、という思いから始めました。実際に、どのような物がいいかと検討したところ、設計の一人にキャンピング好きの人間がいまして(笑)。そこから企画が進んでいきました」と語る。

製品を練り上げる際は、実際にキャンプ場や道の駅などで、設計者自らユーザーの意見を色々と聞き回ったそうだ。こうして出来上がったカーテンレールは、ホームセンターなどで販売する「径28φの汎用パイプ」が後付けできたり、キャビネットは走行中、不意に扉が開かず、とはいえ開けやすいロック機構とするなど、ユーザーフレンドリーな細かな配慮が見うけられる。

安全性については、自動車部品と同等の試験を行っているため、安心して欲しいとのこと。自動車を生産するメーカーが作るものであるから、生半可なものではない。メーカーの純正オプションに近い安心感がある。

さて、気になる販売店やメンテナンスは、Honda Cars三重と三重北のみ。遠方の方は、電話で注文し届いたパーツを自らの手で取り付ける。取り付け方法は、八千代工業のWebサイトに動画が掲載されているので、それを参照すればよい。二人いれば、難しいものではないハズだ。アフターサポートも、同販売店が実施し、修理や不明点があれば、問い合わせに応じるとのことだ。

実際にどのようなユーザーが購入されているのだろう。広報担当者は「子育てが終わった、いわゆる“セカンドライフ”を楽しまれる方が求められているようです」と分析する。「子育てが終わると、クルマをダウンサイジングされる方が多いですが、いっぽうで、夫婦で快適なアウトドアライフをエンジョイしたいという要望があります。そのような方が、軽自動車のバモス ホビオを選び、きゃんぱちを取り付けられているようです。また、独身の方からも問い合わせが多いですね」とのこと。軽自動車なら維持費や経費は安く、1人や2人が車中泊やキャンプをするにちょうどいいスペースと装備がある。軽自動車を手軽にキャンピングカーへと変えるきゃんぱちは、合理的な選択肢といえるだろう。

八千代工業は、主にキャンピングカーなどのイベントに積極的に参加し、きゃんぱちを出展していく予定だという。気になる方は、ぜひ会場に足を運んで頂きたい。完成度の高さ、便利さに、思わずうなってしまうことだろう。

「クルマには色々な楽しみがあることを、製造者の立場から提案し続けたいです」と、広報担当は熱く語る。現在はバモス ホビオ用がメインであるが、今後、同社が生産する自動車を中心としたアイテムを出していく予定とのこと。自動車メーカーとは着眼点の異なる、製造メーカーの“純正オプション”に注目だ。【東京ウォーカー】