25歳女子の10人に6人が… 自分のカラダ、わかっていますか?

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執筆:渡邉優希(医療ライター)
監修:太田郁子(医学博士)
生理がやってくると、生理痛や吐き気、頭痛、疲労、脱力感などに悩まされる人も多いのではないでしょうか。こうした症状のことを“月経困難症”といい、健康保険による治療の対象になります。

またこのような症状の陰には、子宮内膜症や子宮筋腫などの疾患が潜んでいる場合も少なくなく、将来の不妊などを防ぐためにも放置せずに診察を受けることが重要になります。実は知っているようで知らない、月経困難症についてみていきましょう!

特に原因が見つからないケースでも、実は初期の子宮内膜症ということも


月経困難症とは、生理にともなって起こる症状のことで、下腹部痛や腰痛、腹部のふくれ感、吐き気、頭痛、疲労感、脱力感などのことをいいます。
下腹部痛(一般的に生理痛と呼ばれるもの)は、ガマンできないほどの痛みでなくても、痛みがあれば月経困難症と診断されます。

月経困難症の原因には、特に原因がみつからないけれど症状があるものと、原因疾患があるもの(子宮内膜症や子宮筋腫、子宮腺筋症など)に分けられます。

特に原因がみつからない月経困難症の原因は、子宮の過剰収縮や卵管からの月経血の逆流などによって起こるとされていますが、実は“検査をしても病気が見えないだけ”というケースが多くあります。

特に子宮内膜症は、初期の場合は超音波エコー検査やMRI検査でも発見できないこともあり、“すでに発症しているけれど初期で見つけられないだけ”ということもありえます。子宮内膜症は10人に1人の割合で発症する非常にポピュラーな病気です。
“毎月痛み止めを飲むような生理痛”がある場合には、定期的に婦人科で診てもらうことをおすすめします。

また生理前になると、イライラや気分の浮き沈み、憂うつ感などに悩む人も多いと思いますが、これはPMS(月経前症候群)と呼ばれます。
どちらも原因はまだよくわかっていませんが、排卵期から生理前までの女性ホルモンの急激な変動によるのでは?とされています。

月経困難症を伴う場合は月経困難症の治療薬が処方されるケースがあり、この場合は健康保険が適用となります。日常生活に支障があるような場合には、1人で悩まず婦人科で相談してみましょう。

“ちょっと生理痛が強い”25歳の子が10人いたら、6人は子宮内膜症!?


年代別によく見られる症例をご紹介します。

A子さんのケース


月経困難症は昔からあったけれど、25歳で卵巣のう腫が見つかる。生理痛や卵巣のう腫の原因は、実は子宮内膜症だった。現在は結婚して妊娠を希望しているが、子宮内膜症が原因の不妊症で、なかなか授からない。治療は、子宮内膜症の手術を受けてから、不妊治療を継続中。

B子さんのケース


高校生の頃より生理中はもとより、生理以外のときも下腹部の鈍痛に悩まされてきた。20代で子宮筋腫(多発筋腫:筋腫が複数できる)が見つかり、子宮筋腫だけを採る手術をした。しかし35歳で筋腫が再発。最初にできた筋腫より大きく、不妊治療をしながら、再手術の時期を考え中。

「外来で診察を受ける方をみると、“生理痛がちょっと強い” 25歳の方が10人いたら、そのうち6人はかなり進行してしまった子宮内膜症というケースに遭遇します。将来の妊娠・出産のためにも、生理痛などの症状があったり、昼間でも夜用のナプキンを使わないといけないほど経血量が多いことがあれば、放置せずに受診することが大切です。

また「子宮内膜症のうち2割は、まったく症状がないといわれます」と太田先生。
年に一度は検診をかねて、婦人科でチェックを受けたいですね。

少しでも痛みがあれば婦人科へGO!


月経困難症というと、「死ぬほど痛くないと診てもらえないのでは?」と思い込んでいる人がいますが、そんなことはありません。生活に支障がある痛みやそれに伴う症状があれば、立派な月経困難症で治療の対象になります。

生理痛があっても治療を受けずにガマンしたり、仕事を休んだりすることで、日本全体での1年間の経済損失額は6828億円にものぼると推計されています。この金額は沖縄県の年間予算額にほぼ匹敵します。

生理痛は、女性の生活の質をとても低下させ、症状によっては将来の不妊にもつながりかねません。“生理痛ぐらいで・・・”と思わず、気軽に婦人科で相談してみてください。

文/医療ライター:渡邉優希

監修者プロフィール:太田郁子先生



倉敷平成病院婦人科医長
医学博士
日本子宮内膜症啓発会議実行委員