あつめて、ならべて!東京都美術館で、物集めが好きな絵本の主人公・キュッパの美術展

写真拡大 (全4枚)

子どもの頃、お菓子のリボンやきれいな貝殻など、お気に入りのものを詰め込んだ「ひみつの宝箱」を持っていたという女子も多いはず。物を見つめて、集める、調べる、並べるという行為は、人間の素直な喜びに通じるのかもしれない…。そんなことを思い出させてくれる、ちょっと変わった展覧会をご紹介。

2015年7月18日(土)から10月4日(日)まで、東京都美術館のギャラリーA・B・Cで開催される「キュッパのびじゅつかん―みつめて、あつめて、しらべて、ならべて」。展覧会のテーマは「物を見つめ、集め、並べてみることから始まる、私たちの住む世界とのコミュニケーション」なのだとか。

展覧会の出発点となった「キュッパ」は、ノルウェーの新進作家オーシル・カンスタ・ヨンセンが描いた絵本「キュッパのはくぶつかん」に出てくる、物を集めるのが大好きな丸太の男の子。このキュッパのお話をベースにしながら、物を集めるときのワクワクした気分が伝わるようなコレクションやアート作品を展示するそう。

「まずは最初のブースでキュッパの絵本の世界に入り込んだ後に、標本箱づくりやアーティストの作品をじっくり楽しんでいただけたら嬉しいです。参加型の作品もあるので、どうぞ時間に余裕を持ってお越しください」と、広報担当の山崎さん。

「キュッパの部屋へようこそ」というコーナーでは、絵本の物語を映像で紹介するほか、キュッパのように何かを集めたコレクションを展示する。例えば、日本の郷土玩具を集めた「アチック・ミューゼアム・コレクション」、宮沢賢治が収集した「石のコレクション」、植物種子・キノコの標本、タイルのコレクションなど並ぶ。


また、ヒノキで作られた幅12m、高さ8mの巨大な収蔵棚が登場する参加型展示のスペースも。床に広がる1000種類以上の未整理の「物」を、自分なりに分類して棚の中に収めると、そこは「物を通してコミュニケーションをする空間」になるのだとか。

毎日開室時間終了後、いくつかの標本箱は元に戻すので、来場者はいつでも1000種類以上のものから標本箱をつくることができるそう。

このほか、並べられた陶磁器に加えて、観客が不要になった陶磁の器を足していくことで作品が次々と膨らんでいくという観客参加型のインスタレーション作品も。


今回は、展覧会限定のオリジナルグッズも充実。「KUBBE(キュッパ)」の世界観を形にした「トートバッグ」(2700円〜)や、絵本の作者・オーシル・カンスタ・ヨンセンが「上野」にインスパイアされたイメージをエッチングにした美術館限定販売の作品(21600円〜)などもあるので、こちらもチェックして。

ノルウェーから、東京・上野へやってきた丸太のキュッパ。同じように物を集めた経験のある女子なら、展覧会を見終わる頃には、懐かしい友だちのような気分になっているかも。

画像 中:アチック・ミューゼアム・コレクション 国立民族学博物館 所蔵
画像 下:日比野克彦 《bigdatana-たなはもののすみか》 2015年
Courtesy British Council Collection (C)Alan Kane