菅生新樹Instagramより
 菅生新樹は「見た目と中身」について「自分も今、ちょうど悩んでいるところでした」と語ったことがある。2026年1月期放送の主演ドラマ『人は見た目じゃないと思ってた。』(テレビ東京系)記者会見(2026年1月7日)での発言だ。

 人は見た目ではない。中身だと思っていた主人公がファッション誌の編集部に配属され、初めて自分の見た目と葛藤する役柄だった。配信中のNetflixシリーズ『喧嘩独学』では、俳優としての葛藤も乗り越えたようでもある。

 その間、菅生新樹は野球部員役を繰り返し演じることでキャリアを成長させてきた。“イケメン研究家”加賀谷健が解説する。

◆菅生新樹の背中と本名の魅力

 菅生新樹のテレビドラマ初出演作は、坂元裕二脚本で全編にミステリアスな雰囲気を漲らせた『初恋の悪魔』(日本テレビ系、2022年)だった。第8話ラストで初登場する。菅生が演じたのは、警察署長・雪松鳴人(伊藤英明)の息子である雪松弓弦。

 父が帰宅したところに、息子が玄関から出てくる。「ちょっとコンビニ」と言って出掛けていく。父が見送る、息子のたくましい(が、初々しい)背中が印象的だった。はっきり何かを語るわけではないが、視聴者の興味を十分引き付ける、菅生新樹の背中……。

 菅生新樹とはひとまず、背中が魅力的な俳優ということになる。そして菅生新樹という力強くもしなやかな名前もいい。やや珍しい姓名だが、れっきとした本名だ。一枚岩のように存在感ある背中が、彼の演技の名刺代わりだとするなら、菅生新樹という名前は俳優としてのスタイルそのものだ。

◆兄たちに対するアイデンティティ

 菅生新樹には2人の兄がいる。誰もがその名を知るスター俳優・菅田将暉と、2024年に大バズりしたシングル曲「はいよろこんで」を引っ提げ、第75回紅白歌合戦に初出場したこっちのけんとだ。そんな兄たちに対して、菅生新樹だけが本名を使っている。

 朝日新聞掲載(2024年)インタビューでこう言っている。「『菅生新樹』という名前がみんなに読んでもらえるように。自分の名前は自分にしかないので、大切にしたい」と。菅生新樹という固有名詞、そしてその署名性が何より彼のアイデンティティであることを示す発言だ。

 菅生はこうした署名性を背中に託して演技している節がある。たとえば、橋本環奈主演の連続テレビ小説『おむすび』(NHK、2024年)。第3週第11回で、ギャル仲間とカラオケで話し込んでしまった主人公・米田結を、菅生演じる幼馴染みの古賀陽太がアシストする場面を確認してみる。

◆野球部員役で成長してきたキャリア

 結は門限を過ぎてしまった。最寄駅に戻り、自転車置場に急ぐ。すると後ろから偶然を装った陽太がやってくる。陽太は結に恋心を寄せている。これを好機と捉えた陽太が「俺に任せり」と言うのだが、分厚い背中が何とも頼もしい場面だった。

 陽太役は野球部員ということもあり、『初恋の悪魔』当時よりずっと大きな背中になっていた。背中で見せる演技が、ここぞという場面で菅生の持ち味を引き出す。彼にとっての背中は俳優としてのアイデンティティでもある。

 鈴木亮平主演のTBS日曜劇場『下剋上球児』(2023年)でも野球部員役を演じた。さらに主演ドラマ『人は見た目じゃないと思ってた。』では、菅生演じる主人公の初期設定が野球部員だった。しかも第1話冒頭は背中のアップから始まる。菅生は野球部員役で成長してきたキャリアがあるのだ。

 同作記者会見では「見た目と中身」について「自分も今、ちょうど悩んでいるところでした」と言っている。さらに、現在配信中のNetflixシリーズ『喧嘩独学』のインタビュー(デイリー掲載)では「自分の中の殻を破って得た物がありました」と語っているように、動画配信に活路を見出す高校生役で顔の演技(見た目)と背中の演技(内面)をうまく使い分けている。

<文/加賀谷健>

【加賀谷健】
イケメン研究家 / (株)KKミュージック取締役
“イケメン研究家”として大学時代からイケメン俳優に関するコラムを多くの媒体で執筆。アーティストマネジメント、ダイナマイトボートレース等のCM作品やコンサートでのクラシック音楽監修、大手ディベロッパーの映像キャスティング・演出、アジア映画宣伝プロデュースを手掛ける。他に、LDHアーティストのオフィシャルレポート担当や特典映像の聞き手など。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業。
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