現場を知るレスキュー隊員が教える災害対策のコツとは?


【画像で見る】災害時の備えで忘れがち!?支援物資の中でも届きにくいもの

想定外の災害も他人事ではない昨今。防災については、常に気にとめておく必要がありますよね。

数々の災害現場で救助活動を行なってきた、元レスキュー隊員・タイチョーさんに、実際に経験したからこそ知りえた、命を守るための備えについてお聞きしました。

今回は、災害時に本当に怖いものや届きにくい支援物資など、災害現場を知る人が語るリアルをご紹介します。

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タイチョーさん:大阪市消防局にてレスキュー隊員として活動後、防災アドバイザーに。YouTubeチャンネル「RESCUE HOUSE」や講演を通じて、「助かる命を助けるため」の情報を発信している。著書に『消防レスキュー隊員が教える だれでもできる防災事典』(KADOKAWA) 。


▶︎教えてくれたのは

タイチョーさん

大阪市消防局にてレスキュー隊員として活動後、防災アドバイザーに。YouTubeチャンネル「RESCUE HOUSE」や講演を通じて、「助かる命を助けるため」の情報を発信している。著書に『消防レスキュー隊員が教える だれでもできる防災事典』(KADOKAWA) 。

■自分と大切な人の命を運任せにしないで

災害のニュースを見ると、一時的に防災意識が高まるものの、なかなか行動に移せないという人はいませんか? 

「それはきっと災害のリアルな姿を知らないから」と話すのは、元レスキュー隊員のタイチョーさんです。

「皆さんは災害で多くの命が奪われていることを情報として知っているけれど、リアルに感じてはいないと思うんです。でも実際に災害の現場では、家屋の下敷きになったぺちゃんこのご遺体や、津波で流され、原形さえとどめていないご遺体が横たわっている。『災害で人は死ぬんだ』ということを自分事として感じていれば、災害対策をする以外の選択肢はないんです。ぜひ一度、被災者の方の話を聞いてみてください。災害がリアルに感じられるはずです」

加えて、災害現場や避難所の状況も知ってほしいとタイチョーさんはいいます。

「現場のリアルを知ると、取るべき行動や必要なものが見えてくるんです。災害対策をしない=命を運任せにしているようなもの。大切な人の命を守るため、災害に備えてもらえたらと思います」

■災害現場を知る人が語るリアル

■地震はいかに対策しても「避難するしかない」建物もある

家具を固定しても、倒壊する可能性が大きい建物は避難するしかない


「家具の固定をするなど、地震への対策は必要不可欠です。しかし古い建物や耐震性の低い家屋は大きな地震や台風で倒壊する可能性が非常に高いため、避難するしかない場合も。ただし、『どこにどう逃げれば安全か』を知っていれば、自分や家族の命を守ることは可能です。対策プラス、避難場所の確認は必ず行ないましょう」

■災害による「直接死」を「災害関連死」 が上回ることもある

被災後の生活で病気を発症して亡くなる災害関連死も多い


「災害では、家屋の倒壊など災害が直接の原因で亡くなる人が多いと思われがちですが、実は被災後の生活におけるストレスなどで病気を発症して亡くなる『災害関連死』も多いんです。2016年の熊本地震では、災害による死者の4倍を超す災害関連死が報告されています」

■災害時、いちばん怖いのは「パニック」を起こすこと

災害時に怖いのは「パニック」を起こすこと


「パニックに陥ると、人は冷静な判断ができなくなるため、やみくもに駆け出してしまったり、危ない建物の中へ入ってしまったりと、みずからの命を危険にさらす行動を取ってしまうことも。そうならないためには、災害が起こったときに取るべき行動を家族などで話し合っておくことが大切です。それがもしものときに備える訓練となり、パニック防止に役立ちます」

■支援物資で届きにくいのは実は「生理用品」

支援物資で届きにくいのは「生理用品」だった


「災害時の備えで忘れがちなのが、生理用品です。避難所に届く支援物資は、食料や水が優先。生理用品が届くまでには、数日かかります。届いたとしても、数が限られていたり、男性主体で運営されることの多い避難所では受け取りにくいかもしれません。自分の使用期間に合わせた数の生理用品と、入浴できないときのためのウェットシートを用意しておけば、避難所でのストレスも減るはず」

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大きな災害のニュースを目の当たりにすると、どれだけ対策しても無意味...と感じてしまう人もいるのでは? でも、災害の特効薬は必ずあります。自宅に合う対策をきちんと実践しましょう!

イラスト/須山奈津希 取材・文/恩田貴子