牛乳を飲んだら太る!?現代女性の「痩せすぎ」も社会問題に!第55回メディアミルクセミナー
東京・丸の内にて一般社団法人 Jミルクによるメディアミルクセミナーが開催。女子栄養大学栄養生理学研究室教授 上西一弘さんが登壇し、現代日本人が抱える「低栄養」、若い女性の「痩せ」、小中学生の「栄養不足」など、現代社会における健康課題に関する講座が行われました。政府でも重要視されている栄養問題に対処するべく、カルシウムやミネラルなどが豊富な牛乳をはじめとした「乳製品」に注目が集まっています。
深刻化する女性の「カルシウム不足」
上西先生は、栄養生理学の中でも特にヒトを対象としたカルシウムの吸収・利用に関する研究の第一人者。先生によれば、若い女性のやせは低栄養によるものであり、次世代の健康状態にも影響するといいます。
40歳以下の女性の約20%が「やせ型」。低栄養の中でも、新型栄養失調という「特定の栄養素だけが足りない」状態が続く人も増えています。たんぱく質や脂質、炭水化物など、エネルギー減となる食物の摂取量が減ったことで、カルシウムの摂取量も年々減っています。
カルシウムは吸収率が低い栄養素の1つで、吸収率は25%程度。吸収率を上げるためにはビタミンDも関わっていて、ビタミンDの摂取量も、必要量の半分量しか取れていないという調査結果が出ています。
若いうちはビタミンDが不足していても、健康状態に現れづらく、高齢者になった時に骨粗鬆症や骨折の頻度が高まることが心配されています。
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学校給食がなくなったら、カルシウムの量は?
国民生活基礎調査の結果を見ると、介護が必要になる主な原因の3位に「骨折・転倒」という項目も。人生100年時代とも言われる現代では、高齢者の健康管理も大切になってきています。女性の骨量は閉経などをきっかけに大きく減り、若いうちに骨量が足りていないと骨量の低下がさらに早い段階から起こる可能性もあるのだそう。
また、出生時に2500g未満で生まれてくる子どもは、将来生活習慣病にかかる可能性が高いといいます。妊産婦の痩せもその要因の1つ。
小中学生の場合は給食で必要な栄養を補っていますが、土日や長期休みなどで、カルシウムの不足傾向が強まっており、青少年時代にカルシウムが不足すると、青年期以降や高齢期の骨密度が不足する可能性が高まります。
カルシウムの推奨量が最も増えるのは12~14歳ごろで、母親となる世代の女性よりも多くのカルシウムを摂取する必要があるのです。
学校給食にも、昔はなかったとある問題が。「残さず食べる」指導はなされなくなり、給食を残す子どもが増えていて子どもの栄養不足はさらに深刻化しています。牛乳も給食がない日は飲まない子どもが多く、子どものカルシウム不足はなかなか改善されません。
さらに、国民栄養調査成績のカルシウムの食品群別接種構成比を見てみると、乳類から接種するカルシウム量は多いものの、学校給食が終わった世代はカルシウムの摂取総量そのものが減ってしまうのです。
現在は給食における牛乳を“選択制”にという案も出ているそうですが、子どもたちの将来のためになることかどうか、大人による判断が求められています。
意外なメリットも多い牛乳で、健康をサポート
これらの健康課題への対策として、若年層や女性が牛乳を飲むメリットは多いと、上西先生。牛乳はカルシウム以外にも多くのミネラル、ビタミンを含むため、さまざまな栄養素の寄与率が上がります。
たとえば、タンパク質を3食に分けて摂取するのは難しいですが、牛乳はタンパク質の供給源にもなります。牛乳を一本飲むと200mgのカルシウムを摂取でき、現在カルシウム不足に陥っている人たちが一日一本の牛乳を飲むだけで、不足者は2割にまで減少します。
吸収率の低いカルシウムの中でも、特に牛乳は吸収率が高く、小魚や野菜よりも効率的です。
それに、牛乳はとても栄養バランスのいい食品です。牛乳を日々の食事にプラスすることで、1日の食事バランスも整います。「牛乳を飲むと太る」という話ですが、実際のエネルギー寄与率は6.1%程度で、お菓子や甘いものなどと比べるとかなり低い値です。
おやつをやめて上手に牛乳を取れば、むしろ体脂肪率が低くなる可能性も。最近は、熱中症の予防としても牛乳が注目されているといいます。糖度が高いポーツドリンクよりも、健康的に熱中症を予防できるのです。
現代日本人の健康課題や栄養の摂取不足について知ってみて、いかがだったでしょうか。カルシウムの摂取水準をあげれば、社会全体における骨折者・介護者などを減少できます。牛乳を摂取することで、私たちの健康状態は改善されていくでしょう。カルシウム以外にもいろいろな栄養を含んでいる牛乳を上手に活用しましょう。