「今日もまゆみは飛び跳ねる〜自閉症のわが子とともに〜」より

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知的障害+自閉スペクトラム症の長女とイヤイヤ期の次女の育児に奮闘しながら、自閉症育児の悲喜こもごもを発信しているにれ(@nire.oekaki)さん。子どもの成長への不安や悩みを赤裸々に描いていて、大きな反響を呼んでいる。

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ウォーカープラスでは「今日もまゆみは飛び跳ねる〜自閉症のわが子とともに〜」と題して、にれさんが新たに描き下ろした漫画に加えて、エッセイと共に配信。人によっては「あるある」と共感したり、これまで知らなかった新発見があったり、ほっこりしたりもしてしまう…。そんなエピソードをお届けします。

■「フツーの赤ちゃん」に思えていた0歳のころのまゆみ

まゆみの成育を振り返ったとき、身体面の成長はむしろ早い方で特に心配した点はありませんでした。精神面の発達の遅れに気づいたのは1歳になるころです。0歳のころのまゆみは、親の目には「ごくフツーの赤ちゃん」に見えていました。

自閉スペクトラム症を持つ赤ちゃんの特徴として、よく「目が合わない」「無表情」「後追いしない」というようなことが挙げられます。

現在、もうすぐ5歳になるまゆみは誰が見ても「あの子、何か障害のある子かな」と察するくらい言動に特性がにじみ出ていますが、0歳のころは発達障害のチェックリストを見ても「うちの子には当てはまらないな」と思っていました。当時のまゆみは目も合い、ニコッと笑うときもあり、ハイハイが始まってからは猛牛のような後追いで数秒たりとも離れることを許してくれなかったからです。立とうとするだけで大泣きするので、家事はもちろんトイレへ行くことにも困る生活でしたが、生来のんき者の私は「いや〜愛されて困っちゃうな〜」とまんざらでもない気持ちでいました。

数年後、第二子を産んで驚きました。下の子のあずさは、目が合う頻度も笑う頻度もまゆみの赤ちゃん時代より格段に多かったのです。あずさが生後4カ月を迎えて感情表現が豊かになり始めたころ、2歳10カ月になっていたまゆみに自閉スペクトラム症と知的障害の診断がつきました。日増しに笑顔が増えるあずさとは対照的に、このころのまゆみは身内で『仏頂面のまゆみ』の呼び名をほしいままにしており、「初めての子どもだったからわからなかっただけで、実は赤ちゃんのころからこんなに違いがあったのか!」と愕然としたのを覚えています。あずさは親の働きかけに応じて微笑みを返してくれるのに対し、まゆみは親が何もしなくてもひとりでに笑っていたなと、後になって気づきました。

「0歳児ってこんな感じなのかぁ」と思い込んでいた当時の私にはチェックリストの核心部分を悟ることができませんでしたが、『こちらの働きかけに対して反応を返してくれるかどうか』が重要で、単に目が合うからOK、笑ってくれるからOKというわけではなかったのです。

まゆみの例からもわかるように、チェックリストはあくまでも目安であって、自閉症児みんなが項目にあるような特徴を持つわけではありません。まゆみを育てる中で発達障害について少し知識がついてきた今だからわかるのですが、あの激しかった後追いも「ママが恋しい」というより「いつもいる人がなぜだか離れていく!」という同一性保持の欲求から来ていたものなのだろうと思います。自閉症児は身の回りのコンディションをいつも同じ状態に保つことに執着することが多いため、四六時中一緒にいる母親が離れていくのはさぞ耐え難かったことでしょう。

なお、あずさはあずさで少し特性のある子だと最近になってわかったのですが、特性をグラデーションの濃淡で例えると『まゆみはくっきり、あずさはうっすら』くらいの濃さです。特性の有無や表出の仕方にかかわらず、すべての子どもたちが自分らしく生きやすいような世の中になってほしいと切に願い、ほんの少しでも自分にできることがあればとペンを取っています。