放送開始前からSNSで注目されているドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』。BS プレミアムとBS4Kでいよいよ5月14日から放送がスタートします。このたび、主演の河合優実さんが本作への想いをたっぷりと語ったコメントが届きました。

パワフルで独特なユーモアを持つ岸本七実の10年間を演じ切った河合さんが今、感じることとは--?

長いようで短いようで、不思議な濃さのある時間だった

<あらすじ>
岸本七実(河合優実)は高校生。学校では、きらきらした一軍女子たちの輪に入れずに、今日も同じ三軍同士、天ヶ瀬環(福地桃子)と授業でペアを組まされていた。いささか自意識をこじらせながら暮らしていたある日、母のひとみ(坂井真紀)から連絡が入る。ダウン症の弟・草太(吉田葵)が万引きをしたかもしれないというのだ。七実の、ありえないことが次々と起こるてんやわんやな日々が続いていく…。大好きだった父・耕助(錦戸亮)の死、あまりにマイペースな祖母・芳子(美保純)との生活など、さまざまな出来事と向き合い、必死で笑い飛ばし、時々涙しながら、七実は「作家」としてブレイク……する予定?

--台本を読んだ印象を教えてください。

河合優実さん(以下、河合):こんなに面白いと実感できる台本も中々ないというのが最初の正直な印象でした。連ドラをがっつりやったことがなかったので、映画より長いスパンで主人公が展開していく感じというか、話が変わるごとに次へと転んでいく感覚が新鮮で、面白かったです。

--ドラマでは10年近い期間を3ヶ月間で演じますが、これまでそのような経験はありましたか。

河合:これだけ年数が飛ぶことも、3ヶ月間撮影に入ることも初めてでした。この作品を発表するときにコメントを出した際、「七実と一緒に成長していく気持ちで演じようと思います」ということを言ったんですけど、今振り返ってみるとその通りになったなと思います。劇中で 20 代後半に差し掛かったとき、高校時代を演じていたときには思ってもみなかった気持ちとか家族の状況に直面したり、フィクションとして演じているんですけど、本当に年を重ねている感じが自分の中に起きてくるんだなっていうのは今までに無い発見でした。最初の頃を思い返すとすごく昔に感じますし、子どもだった気もするし、3ヶ月なんですけど長いようで短いようで不思議な濃さのある時間でした。

岸田家と会って決意したこと

--岸田奈美さんの原作を読んだ感想を教えてください。

河合:私の感覚で言うと七実よりもご本人の方が底抜けに明るいかもしれないです。原作からは離れて、ドラマ上の七実を作っている感覚なので、若干の違いはあるんです。でも岸田さんが持っているエネルギーと家族に対する愛は本当に受け取るものがありましたし、すごくエネルギッシュな文章で、読んでいるだけで100以上伝わってくるというか。人物像っていうよりもエネルギーみたいなものを受け継いだ感じです。

現場にお母さんと弟さんと3人でいらしてお会いしたときに、本当に思った通りの、手を取り合って生きてきた3人、明るく温かく生きてきた3人を体感しました。その日を境に、どんな結果になっても、何を描いたとしても、本当に岸田家に胸を張って心をこめて一生懸命家族のドラマを作りましたって言えるようにはしたいと、強く思うようになりました。

--ダウン症のある吉田葵さん(七実の弟・岸本草太役)との共演を通して、吉田さんの印象を教えてください。

河合:彼がダウン症のあることを忘れちゃうくらい、本当に楽しく一緒に弟として接しているし、自然に関係を築きあげてきていると思います。クランクインする前に家族のキャストみんなで会う時間がありました。私はそれまでダウン症の方とお芝居したこともないし、ちゃんと面と向かって会話したこともなかったので、構えるフィルターはありましたけど、部屋に一歩入って挨拶したところから、本当に葵くんと仲良くなりたい、葵くんとおしゃべりしたいっていうことしか思わなかったですね。

本当に最初の数秒で構えはなくなりました。それは人と人として私が吉田葵くんに惹かれたから、面白いと思うから、可愛いと思うから、それしかないですね。

でも葵くんにとって、苦手だったり時間がかかることがあるのは事実なので、彼に演じてもらうっていうのはすごく大きなことで、やっぱり簡単なことじゃなかったです。ドラマでこういうことをしている作品をあまり見たことがないし、日本の映像作品の中では大きな一歩で、みんなそこに対して努力をしたと思います。葵くんができないこと、立ち止まってしまっていること、時間がかかっていることに対して、みんな思いやろうと努めています。本来それは葵くんに対してだけじゃなくて、みんながみんなに対してすることだっていうのは考えますね。そしてこの作品で葵くんが希望や勇気を与える人が日本中にどれだけ居るか、それを誇りにさえ思います。

大九監督が開けてくれた新たな扉

--大九監督の演出はいかがでしょうか。

河合:思ってもみなかったような動きを突然要求されたり、このカットって何?みたいな、今なにを撮っているの?みたいな、分からないことに乗っていくのがすごく楽しかったです。

特に七実が幼くて、人を笑わせるということを純粋に楽しんでいた時代を撮影しているときの、大九さんの生き生きとした演出はめちゃくちゃ楽しかったですね。どうなってもいいからとりあえずやろうと思って。私も面白がってもらうことは好きだから嬉々としていろいろ試してしまい、そのサービス精神が行き過ぎていないか、「ちょっと待って、冷静になろう」という瞬間はありました。

個人的にも、関西弁でここまでしゃべりまくって、笑ってほしい、褒めてほしいっていう役もなかったので、自分のまだ開けたことない扉を開ける感じがしてすごく楽しかったです。

家族を支えて困難に立ち向かっていく主人公を誰かが描くとして、ここまで変でひょうきんでポンコツでダメだっていう、こんな角度からの主人公って大九さんだからだし、岸田さんだからだなと感じました。大九さんと七実の相性がすごく良かったんだろうなって思います。

--ドラマの見どころを教えてください。

河合:最初からこれは面白いものになるっていう気持ちがずっとあって。撮っているときにそういう手応えがあることってなかなかないので。大九さんが編集しないと私もわからない部分がたくさんありますが、感覚的にこの人にゆだねたら自分が現場で感じているよりもっと鮮やかなものができるんじゃないかって思いが日に日に増していきました。

でもいちばん大きかったのは、ちゃんとこの家族を実感できたことです。葵くんっていうものすごい光を持っている弟がいて、素晴らしい先輩方が大きく自由に居てくださって、ちゃんと3ヶ月間家族が関係を築きあげられたと思うんです。沖縄でメインビジュアルの写真を撮影して、それを拝見したんですけど、その写真1枚見るだけで、これはいいドラマになったぞって、本当にそう思いました。大きな言葉を使うと、この家族に愛が生まれたと思います。

作品情報

プレミアムドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』
【放送】5月14日(日)スタート <全10話>
    毎週日曜夜10:00 〜10:50(BS プレミアム・ BS4K)

【原作】岸田奈美
【脚本・演出】大九明子
【脚本】市之瀬浩子、鈴木史子
【音楽】郄野正樹
【出演】河合優実、坂井真紀、吉田葵、福地桃子、奥野瑛太/林遣都、古舘寛治、山田真歩/錦戸亮、美保純 ほか
【制作統括】坂部康二(NHK エンタープライズ) 伊藤太一 (AOI Pro.) 訓覇圭(NHK)