妊活中の人も、これからの人も、妊活って何するの?と言う人も。認定不妊カウンセラーの笛吹和代さんから、妊活や女性の悩み、もやもやについてアドバイスをいただく妊活入門。今回は、「妊活と仕事の両立」について聞きました。

仕事をしながら妊活できる?

結論を言いますと、妊活と仕事の両立はもちろんできます! 妊活のとらえ方にもよりますが、あまり大袈裟に考えず、前回お話したように、妊活とは避妊しないで性交渉することですから、ほとんどの人は仕事しながら妊活していると思います。

妊活中は、ふつうに栄養バランスの取れた食事をし、適度な運動をし、十分な睡眠を取る。つまり健康的な生活を心がけることが大事ですが、これは仕事しながらできることですよね。シフト制で夜勤があるとか、仕事柄、徹夜が多い、という方もいらっしゃると思いますが、できる範囲で栄養バランスのよい食事、適度な運動、睡眠時間を取りましょう。

年齢によりますが、30歳前後であれば、1年くらい、タイミング法で様子を見ましょう。排卵日前後だけでなく、コンスタントに性交渉することが大事です。あまり排卵日にこだわると、「その日だけ」になって、パートナーともどもストレスに感じてやりにくくなったりするからです。特に男性側がストレスから避けるようになるという話はよく耳にします。当たり前といえば当たり前なのですが、性交渉の数は多いほうが妊娠の確率は高くなることを忘れずに。

信頼できる社員に伝えておくこと

仕事との両立が気になってくるのは、多くの場合、不妊クリニックへの通院が始まってからです。「どの段階で、職場に不妊治療を行っていることを伝えるのがよいか」という質問もいただきます。いくつかのケースがあります。

まだ通院しながらも治療のステップ1である「タイミング法」を試している段階であれば、伝える必要は特にないと思います。なぜなら通院の日時はある程度、自分で決められるからです。ステップ2は「人工授精」ですが、これはそれほど頻繁に通院する必要はありません。(もちろん人によっては頻繁に通院が必要になるケースもあります。)

問題は、通院のタイミングが事前に決められないときです。たとえば、排卵誘発剤を使った治療の場合。ステップ1でもステップ2でも治療内容によってはあり得ますが、多くはステップ3「体外受精」の治療に入った場合です。排卵予定日が近づくと、採卵日を確認するために受診することになりますが、場合によっては「今日はまだわからないから明日また来て」「そろそろだけど明日の午前中に来て」ということになります。明日の予定を変更できるかといったらけっこうむずかしい…という職場の場合、上司やそれに当たる先輩社員などに事前に伝えておいたほうがいいでしょう。また採卵日もだいたいの目安はわかるものの、確定するのは直前です。

不妊治療と仕事の両立について、最近は社会的な関心も高まっています。すでに不妊治療に適用できる有休制度をつくっている企業もあります。ただ、そうした先進的な取り組みをしているのは大きな企業が多いです。ほとんどの中小企業では、まだまだ職場ごとに個々に対応している状態かと思います。

ただ、制度的に整っていなくても話し合いをする余地はあります。会社に何も伝えず、相談せず、ひとりがんばるより、上司や信頼できる先輩、同僚も含め、不妊クリニックに通院しはじめたことを伝えて、ご自身の状況や希望を伝えておくことがベターかと思います。

職場や仕事内容によって、どれだけ自分の希望が通るか、ケースバイケースで何とも言えません。シフト制の仕事なら、直前の変更はやはりむずかしいでしょう。

部署の異動が可能なら、そうした勤務時間がキッチリ決まっている仕事や、営業など対外的なアポイントが多い仕事ではない部署に異動させてもらう。自分の裁量である程度スケジュールが組める仕事に変えてもらう、といったことが考えられます。

ちょっと先走った話かと思いますが、将来、もし不妊治療を受けるようになったら、もし体外受精をすることになったら。あなたの職場には、それを相談できる上司はいますか? 先輩や同僚は? 不妊治療に使えそうな制度はありますか? 今のうちにざっと職場環境をチェックしておくこともいいですね。

仕事と妊活はどちらも大事。

■プロフィール

妊活の賢人 笛吹和代

働く女性の健康と妊活・不妊に関する学びの場「女性の身体塾」を主宰する「Woman Lifestage Support」代表。日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー。臨床検査技師でもある。化粧品メーカーの開発部に勤務中、29歳で結婚。30代で不妊治療を経て出産。治療のために退職した経験から、現在は不妊や妊活に悩む女性のための講座やカウンセリングを行なっている。著書に『あきらめない妊活〜キャリアと不妊治療を両立させる方法』がある。