マリー・ティルマンさんはアメリカのシカゴに暮らし、夫とともに5人の子どもを育てるワーキングマザー。彼女は5年前、通常は女性たちが育児にあてる産休期間を使って、起業することを決意。「仕事と家庭の両立」は働くお母さんたちにとって永遠のテーマですが、マリーさんが起業した背景にも、このテーマが大きく関係していたそうです。

小さな赤ちゃんを育てながら、彼女はどうやって新たなビジネスを始めたのか。そこには一体、どんな思いがあったのか。マリーさん自身が綴ったキャリアストーリーを、<marie claire>から紹介します。

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“As I take time to reflect on this year and look forward to 2018 I want to say thank you for supporting us and for helping me show my kids that with a little persistence, a lot of hard work, and what sometimes feels like magic, dreams can come true.” Read more of our founder and CEO’s year in review on our blog! #macmiastyle

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子どもを出産して間もない時期は、新しい仕事に手を広げるには適さないと誰もが思うでしょう。でも「思い立ったが吉日」で、その時にやらなければ、2度と行動に移せないこともあるのです。

皮肉なことに、私が5年前の産休中に立ち上げた子ども服のショッピングサイト<Mac & Mia>の構想を思いついたのは、まさに娘のフランキーを妊娠する少し前でした。当時、我が家は夫も私もフルタイムで働いており、妊娠前の数カ月間、私は1人目の実子と3人の義理の息子たち(年齢は2歳〜13歳)の面倒を見るのに苦労していました。そこで私が取った方法は、日常生活の効率化を図ること。食料は配達してもらい、家事に必要な用品はすべてネットで注文するようになりました。目まぐるしい日々の中で、時間は最も貴重な財産であり、その貴重な時間を買い物に追われるために使いたくなかったのです。

しかし1つだけ、どうしても効率化を図れないことがありました。息子たちのクローゼットに体型に合った質の良い服を常に揃えておくことが、なかなかできなかったのです。服を買っても子どもたちはあっという間に成長してしまい、すぐに新しい衣類を買い足さなければならないような状況でした。この頃から、子どもたちを連れてショッピングモールに行ったりネットで何時間もかけて服を検索したりする以外に、何かもっと良い方法があるんじゃないか? と感じ始めました。子どもそれぞれにぴったり合う服を選んでくれて、梱包して発送してくれるようなサービスがあればいいのに――そしてそれを求めているのは私だけじゃないはずだ、と思ったんです。

その後、娘が生まれたのですが、彼女はとてもよく眠る赤ん坊でした。お昼寝をすれば数時間は起きません(1人目の息子の時にはなかった贅沢です)。そこで娘がお昼寝をし、息子たちが学校に行っている間に、私は思い切って自分自身が求めていたサービスを立ち上げることにしました。娘を抱っこしながら子ども服の展示会に出掛け、商品を購入してくれるお客様たちのニーズを考えながら、ベビー服や小さなドレス、パンツ、Tシャツなどを買い付けました。ガレージに在庫の棚を置き、ホームページを作り終えたら、友人や身内に「<Mac & Mia>のサービスを試して、評判を広めてほしい」とお願いしました。

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With these bold graphics and fun styles, there’s a rainbow of possibilities! 🌈 #macmiastyle #rainbow

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やがて産休が明け、私は元の仕事に戻りました。それからは赤ん坊と4人の息子たちの面倒を見ながら、夜の時間と週末を使って商品を梱包し、注文に対応しました。次第にそれは、家族一丸となっての作業になりました。仕事をする間、娘には隣に置いたキャリーで眠ってもらい、夫は在庫の棚を組み立て、商品の発送をしてくれました。息子たちにも商品の荷解きを手伝ってもらい、時には写真のモデルになってもらうこともありました。彼らの助けにとても感謝しています。

最初の1年間、<Mac & Mia>の従業員は私1人で、スタイリングも、お客様対応も、経理もすべて自分でこなしていました。スローペースで事業を拡大していったんです。自宅をオフィスにしていたことが、業務を比較的コントロールしやすくしてくれました。

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Mac & Mia founder, Marie Tillman, is gearing up for an exciting partnership with @baublebar launching next week as a part of our Mother’s Day celebration. This offer will be exclusive to Mac & Mia customers. Be sure to sign up now so you’re in-the-know! . . . . #mothersday #macmiastyle #baublebar #earrings #fashion #jewelry #accessories #kidsstyle #womenstyle #womeninbiz #womenentrepreneurs #womenfounders

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昔から、自分がいつか起業するような気がしていました。私の父は起業家で、大学卒業後の仕事探しに苦労していた私に、彼は「自分でビジネスを始めたらどうだ?」と言ったことがありました。当時、私はまだ22歳で会社を興すスキルも自信もありませんでしたが、やはり私にも起業家の血が流れているんでしょうね。アイデアを考えるのが好きだったし、新しいビジネスを思いついては、それについてあれこれと想像を巡らせていました。そして<Mac & Mia>のアイデアが浮かんだ時は、「これだ!」と確信が持てたんです。タイミングもピッタリでした。

ビジネスは軌道にのり、最初の1年間は数百人だった顧客が、その後の4年間で何万人にも増えました。会社が成長するにつれて、労働時間と移動時間、ストレスは増えましたが、同時にとてつもなく大きな喜びと興奮、そして誇りを手に入れることができました。でも、成長中の企業と家庭を両立するのは、本当に骨折りな作業です。男性も家事に参加する今のような時代になるまで、仕事と家庭の両立について多くを語らなかった女性たちには、本当に頭が下がります。過去の概念を覆し、新たな一歩を踏み出すことに力を注いできた女性たちに拍手を送りたい。働く母親が抱える罪悪感を打ち消しながら、気丈に立ち回る女性CEOの話を聞いたときには、心から敬服しました。仕事と家庭のバランスを取るのは本当に難しいことです。私が一緒に居られなくて悲しむ子どもたちを見る時は、今でも罪悪感を覚えます。将来同じような課題に直面するであろう娘に、お手本を示すためだといくら自分に言い聞かせても、「これで良かったの?」と思うことが多々あります。

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Because we all need a little help sometimes. 😂 Photo by @erinkonrath

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時間は今でも変わらず貴重なものです。最近、ようやく立ち止まって一息つけるようになった気がします。子どもが生まれる前は、嬉々として出張に出かけていたし、行った先でのんびりとルームサービスを楽しむこともありました。でも今は、出張に行っても飛行機で日帰りして、できる限り家族と一緒に過ごせるようにしています。

実は数カ月前、こんなことがありました。その日は遅い時間に帰宅したのですが、子どもたちはすでに寝ていたので、おやすみのキスをするために彼らの寝室に行ったんです。寝室の小さなライトに照らされた娘の顔を見下ろしたとき、過去5年間の記憶がおぼろげなことに気づきました。あんなに小さかった娘の体が、子ども用のベッドにぴったりと収まるようになっていて、頬の丸みも消えていたのです。もはや赤ん坊の顔ではなくなっていました。いつの間にこんなに大きくなったの? 私は今までどこにいたの? という疑問が頭に浮かびました。答えは明確で、私は仕事をしていたのです。このビジネスによって、私のように忙しいお母さんたちが、少しでも子どもと過ごす時間を増やせるようにと願いながら。

<Mac & Mia>を立ち上げたとき、顧客だけでなく、未来の従業員たちも働く母親を想定していました。私が母親になった時、同時に周りの友人たちも子どもを持ち始め、その多くが仕事と家庭を両立できずにキャリアから遠ざかるのを見てきました。だから、会社の成長に伴ってスタイリストを雇うことにしたとき、うちでは他の会社と違う働き方を提案できるはずだと思ったのです。そこで、家にいながらパートタイムで仕事をするという、柔軟な働き方を設けました。そうすれば、「やるかやらないか」なんて究極の選択をしなくて済みます。子育てであれ、ボランティア活動であれ、マラソンの練習であれ――私は昔も今も、「人は私生活が充実してこそ、仕事で最大限にパワーを発揮できる」と信じています。

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Twin day at the office ✌ #denim #chambrayfordays

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働き方について、まだ完全な答えを見出せたわけではありません。でも意識的に変えていくことが、パズルを完成させる方法だと思っています。産休中にビジネスを始めたことについて、クレイジーだと言う人がいるかもしれませんが、私はあえてそれを選択したのです。遅くまで起きてプレゼンの準備をしたり、商品を梱包するのも私の選択。仕事が山のように残っているにも関わらず、家で家族と過ごす時間を優先する時も、私がそれを選択しているのです。時に選択を間違えることもありますが、選択肢があることへの感謝は尽きません。もし<Mac & Mia>が世の中に何かをのこせるとするなら、働くすべての人々に人生を充実させるための選択権があるという概念を、広めることであればいいなと思います。選択権をどう活かすかは、あなた次第なのです。

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We’ll be the first to admit it: children are hilarious. Their carefree spirit and fun personalities make the BEST stories.  Today on our story we’re featuring some of our stylists’ favorite quotes from their kids.  What’s the funniest thing your child has ever said? Comment below! 👇🏽 #macmiastyle

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※この翻訳は、抄訳です。

Translation:伊藤 由佳里

MARIE CLAIRE