「特製つけ麺」(1,200円)。“特製”のネーミングが付いているがこれが基本のメニュー。低温調理した牛・豚・鴨の3種のチャーシューがのる

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今や東京屈指のラーメン激戦区になっている銀座に、注目のニューカマーが登場した。手がけるのは、長野と東京を中心に人気店を複数展開している「ボンドオブハーツ」の塚田兼司氏。日本のラーメン界を代表するカリスマが、東京ならではの食材を使ったワンランク上のつけ麺を提案する。

【写真を見る】スープはサラリとしているがオイリーな鶏油が効き、平打ち麺としっかり絡む。表面がなめらかで、ツルツルと喉を通っていく

■ スープの主役は東京湾で捕れるシジミ。その数なんと約30個!

2018年5月28日、銀座の一等地にあるビル2階にオープンした「江戸前つけ麺 銀座 魄瑛」。東京では「信濃神麺 烈士洵名」(春日)や「チラナイサクラ」(御徒町)などの直営店を経営する塚田氏がプロデュースする。

今回のテーマは「東京ならではのつけ麺」。また、東京のつけ麺界は濃厚魚介豚骨系が主流だが、あえてその逆を行くサラリとしたタイプにし、それでいて旨味をしっかり感じられるスープを目指した。

それらを具現化したのが、看板メニューの「特製つけ麺」(1,200円)だ。ベースのスープは国産の丸鶏100%。清湯(チンタン)と白湯(パイタン)のちょうど中間くらいの色合いで、上品な鶏の旨味がたっぷり溶け出している。

そのスープに合わせるのが“東京ならでは”の食材。それが東京湾で捕れるシジミだ。「江戸前のシジミは小粒でそのまま食べるよりもダシを取るほうが適しています。事実、シジミは旨味成分のコハク酸が豊富だからです」と店長の早坂洸哉さん。注文を受けてから鶏スープを小鍋に入れ、そこに大量のシジミを加えてひと煮立ちさせている。一杯につき約30個分のシジミをたっぷり使っているのもこだわりだ。

【ラーメンデータ】<麺>中太/平打/ストレート <スープ>タレ:塩 仕上油:鶏油(チーユ) 種類:丸鶏+魚介(貝類)

■ ムースを麺に絡めるとシジミの風味がさらにアップ!

鶏とシジミの旨味が詰まったスープを引き立てるのが、「ボンドオブハーツ」の秘伝の塩ダレ。さらに赤鶏の鶏油で風味付けしたスープは、立ち上る芳醇な鶏の香りが食欲をいっそう誘う。

麺は国産小麦100%の中太平打ちストレート。表面はツルツルですすりやすく、のど越しが抜群。一方で加水率は低めで、しっかりとした食感も併せ持ち、噛むと小麦の豊かな風味が感じられる。スープがサラサラなので一見麺と絡みにくそうだが、オイリーな鶏油が橋渡しとなり、しっかりと絡む。

麺をつるりとすすると、スープの上品な鶏のコクのあとに、シジミの旨味の余韻が口の中に残り、その絶妙なバランスにうっとりさせられる。

さらに、麺の上に添えられたシジミのムースを麺に絡めると、よりシジミの風味がアップ。食べ進めるにつれて、スープに溶け出していき、旨味が増すよう計算されている。

そして具で目を引くのがチャーシュー。和牛、カナダの銘柄豚「七色豚」、そして合い鴨の3種のロースで、それぞれ異なる方法で低温調理している。どれもしっとり柔らかで、肉の旨味を堪能できる。

スープ、麺、具とすべてにこだわったハイグレードな“大人のためのつけ麺”。そんな贅沢な一杯を銀座で味わってみてはいかがだろう。(東京ウォーカー・取材・文=河合哲治郎/撮影=岩堀和彦)