春から初夏にかけての大気中にはアレルゲン(アレルギーの元になる物質)がいっぱい!スギやヒノキの花粉だけでなく、黄砂やPM2.5も気になります。寒暖差アレルギーが出やすい季節でもあります。アレルギーのある人にとってはユーウツな季節……。

ここでアレルゲンに負けないよう、のどの免疫を維持する健康法のひとつとして「飲み込む力」に注目。呼吸器内科・アレルギー専門医の大谷義夫先生(池袋大谷クリニック院長)の「のどトレ」法をうかがってきました。かぜではないのに咳やのどの痛みがつづく人も、“のど力”に注目!

池袋大谷クリニック院長の大谷義夫先生

のどの力が弱ると咳ぜんそくの原因にも

はじめに、なぜ「飲み込む力」が重要なのでしょうか?

「のどはウイルスや細菌などの異物、花粉やハウスダストなどアレルゲンを外に吐き出す重要な役割をしています。春から初夏にかけてはアレルゲンや空気の乾燥、咳や鼻づまり、唾液不足によって、のどの粘膜が荒れやすく、ダメージを受けやすいんですね。のどの力が弱くなると異物を外に排除できなくなり、免疫低下につながります。アレルゲンを排除できないと、アレルゲンを気道に吸い込んで、咳ぜんそくや気管支ぜんそくを生じる可能性があります。

また、飲み込む力が弱ってしまうと、口腔内細菌を含んだ唾液が、のどから下の気管に入ってしまうリスクがあります。口腔内細菌を含んだ唾液が気管に入ってしまうと気管支炎、肺に入ってしまうと肺炎になってしまいます。肺炎は命に関わる重大事です」(大谷義夫先生)

飲み込む力は30代から低下を始める

ここで、のどの力=飲み込む力が大事になってきます。唾液を飲み込むことで、のどの乾燥予防にもなります。誤嚥性肺炎は高齢者に多く見られる症状ですが、ひとたびなれば重大事。この点からも、今からのどの力を鍛えておく意味は大いにあります。 

「のどまわりにも筋肉があり、飲み込む力はその筋力と関係があります。のどの筋力はほかの部位と同様、筋力は20代がピーク。30代からだんだん低下していきます。私は40代のとき、初めて咽せました。誤嚥の始まりです。今のうちからのどの力を鍛えておきましょう」(大谷義夫先生)

まず、のどの力チェック!

<のどの力のチェック法>

30秒間で何回つばを飲み込めるかチェックします。のど仏に人差し指を置いて、カウントしてみましょう。

唾を飲み込む回数をカウント。

判定:

8回以上→飲み込む力に問題なし

3〜7回→飲み込む力が落ちないよう注意が必要

3回未満→飲み込む力が低下している

20歳〜60歳の平均は7.4回なので、8回以上は問題ないといえます。7回以下の方はそろそろ注意が必要です。3回以下の方には「のどトレ」をおすすめします。

次に、のどトレ法です。

<のどトレ(1)のどトレ発声法>

のど仏のまわりの筋肉を鍛えるトレーニングです。

口を横に開いて発声。

鼻で深呼吸したあとに「イイーーーーッ」と発声。口を横に開き、歯を食いしばるように力を入れて発声します。5〜10回を1セットとして、毎日行ないましょう。

<のどトレ(2)のどトレ舌出し>

飲み込む力は口腔内から始まっています。舌を大きく動かすことも筋力トレーニングになります。

鼻呼吸をしながら、舌を動かしてみましょう。

鼻呼吸をしながら舌をできるだけ出して、できるだけ大きく前後左右に動かします。1日2回を目安に行なってください。

「のどの力には発声するときに使う筋力も関係しています。ですから、話すことも“のどトレ”になります。加えて、咳やくしゃみ、後鼻漏などのアレルギー症状のある方には、のどを鍛える食材をおすすめします。たとえばコーヒーには気管支を広げる作用と抗炎症作用があり、はちみつには咳止め作用があります。こうしたエビデンスのある食品をふだんから取り入れることはのどを鍛える上でも有効です。私はコーヒーにはちみつを入れて飲んでいますよ」」(大谷先生)

のどトレでのどの力を鍛えて、アレルギーのシーズンを乗り越えましょう!

(データ協力:山田養蜂場)