おはぎ八色セット/小多福

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「おはぎ八色セット」(1390円・箱代別途必要)が名物である、京都市東山区の「小多福(おたふく)」。笑顔が優しい店主の川崎加津子さんがおはぎを作り始めたのは、30年ほど前のこと。

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もとは川崎さんが5歳の時に戦死したお父さんの好物だったという(発売中の「京都 珠玉のおやつ」より再構成)。

■ 贈る相手の笑顔が浮かぶ

「父が眠るフィリピンに行くことになって、お供えしたいと思ったのが最初でした」。そのころは、あんこ、きなこ、青のりの3種類だけだったが08年に店を始めるに当たり種類を増やして、気付けば8色もそろっていた。

黒ごま、備中の白小豆を炊いた白餡、梅、青梅、古代米と色のみならず味のバリエーションも幅広い。

なかでもユニークなのは、甘酸っぱいおはぎという斬新な食体験ができる梅と、紫色でプチプチッとした食感にしっかり塩けを効かせた古代米。どちらもやみつきになる味わいだ。

■ 時間がたってもふっくら、の不思議

また、川崎さんのおはぎは、時間がたっても硬くならずふっくらと柔らかいままなのが特徴。どうやらもち米の蒸し方に秘訣があるようだ。

毎朝3時ごろから仕込みを始め、8つの鍋に作った生地でこしあんを包んでいく。いとおしむように手のひらであんを丸める姿に、川崎さんのおはぎに対する思いが透けて見える。

ひととおり作り終えたら、ゆっくりと丁寧に包装し、「お帰りになったら冷蔵庫に入れてくださいね」と接客。一挙一動に心を込めて作業する川崎さんを見ていると、なにか大切なことに気付かされるようなひと時だ。【関西Walker「京都 珠玉のおやつ」編集部】(関西ウォーカー)