弁護士・柳原桑子先生が堅実女子のお悩みに答える本連載。今回の相談者は柳田真由美さん(仮名・28歳・派遣社員)。

「大学時代からの親友で、心の中を打ち明けて語り合い、信頼していた大親友がいます。彼女は一浪しているから私より1歳年上なのですが、男性にもモテて、仕事もできる自慢の友人です。

彼女は学生時代からとても頑張って、第一志望だった広告代理店に内定を決め、以来6年間すごく一生懸命に仕事をして、大きな契約に結びつけているという話も聞いていました。朝から深夜まで、休日も返上して働いている親友の役に立ちたいと思い、さまざまな協力をしてきました。そのうちのひとつが、私の顔写真の提供です。

自分で言うと変な感じがするのですが、私はいわゆる美人です。パッチリ二重は周囲からも称賛されていましたし、色白で黒目が大きいこと、鼻筋が通っていること、唇が立体的なことなど小さい頃から今まで褒められていました。雑誌の読者モデルなども自己推薦ではなく、編集者からスカウトされてやっていた経験もあります。

ですから、その親友にも顔写真の提供や、グループインタビューの協力も惜しまずやってきました。たまに謝礼が出たのですが、そのときに“私はフリー素材だから”と冗談で話していたのです。しかし先日、実際に大規模な広告キャンペーンの一部で、私の顔写真が使われているのを発見し、びっくりしました。しかも、彼女はその長期かつ大規模なキャンペーンの成功で、ちゃっかり年収アップもしていたのです。かなり大きな額の臨時ボーナスが入った噂も聞きました。親友だったら一言“ごめん、どうしても人数が足りなくて使わせてもらいたい”と言ってくれればよかったのに……と、もやもやが日々大きくなります。

私は裏切られたような気持で、毎日心がふさいでいます。この件に関して、慰謝料か名誉棄損で訴えることはできますか?」

弁護士・柳原桑子先生のアンサーは次のページへ

承諾なく勝手に顔写真を使われた場合、状況によっては、肖像権を侵害されたとして不法行為による損害賠償請求をすることが考えられます。

ただし、相手が友人ということなので、まずは直接承諾していないから削除するよう申し入れをしてはいかがでしょうか。相談内容から判断すると、事前同意があったと相手が判断し、使用した可能性があるようです。

ですからあなたにとって問題点は、使用そのものではなく、プロセスについて不満があるからではないでしょうか。この解消について、相手側から誠意ある対応を求めて示談解決を目指す、というのをまず考慮するのが良いと思われます。

実際、法的に請求する場合、使用方法やその後の状況等の程度によって考慮されます。

※編集部追記・今後の法的請求をしたいと考えるなら、名誉棄損、社会的信用を失う、または大きな誤解を生むなど、実質的な被害をこうむっている証明が必要になるケースもあります。

無名扱いとはいえ、あっという間にネット上の広告で自分の写真が拡散されており、驚きを隠せなかった。



■賢人のまとめ
今後の関係性を考えると、本人同士で話し合って、今後の進展を決めるのが解決の最短距離ではないでしょうか。

■プロフィール

法律の賢人 柳原桑子

第二東京弁護士会所属 柳原法律事務所代表。弁護士。

東京都生まれ、明治大学法学部卒業。「思い切って相談してよかった」とトラブルに悩む人の多くから信頼を得ている。離婚問題、相続問題などを手がける。『スッキリ解決 後悔しない 離婚手続がよくわかる本』(池田書店)など著書多数。

柳原法律事務所http://www.yanagihara-law.com/