探偵歴10年以上、浮気調査に定評があるリッツ横浜探偵社・山村佳子が目撃した、男と女の浮気事情をご紹介。

パートナーがいる男女の恋愛の詳細について、多くは語られないものです。気になるその詳細を美人探偵・山村佳子がその事件簿から解説します! 

浮気がバレた後の夫婦関係、浮気調査のポイントはどこなのかも紹介。

☆☆☆

今回の依頼者は、誰もが知る一流企業に勤務をしている須賀芳江さん(34歳・仮名)。彼女は結婚5年になる旦那様がここ1年間ろくに家に帰ってこないということで、私達に調査を依頼してくださいました。

昼の3時にかかってきた依頼の電話も理路整然としていました。大抵、みなさん取り乱して電話をしてくることが多いのに、とにかく冷静。”5分前に簡潔に概要をまとめたメールを送りましたのでご確認ください”と言い、電話は切られました。

それにはパワーポイントのファイルが添付されており、表紙には「須賀真一郎 資料」とありました。広告代理店が作成するプレゼンシートのようです。ファイルを開くと、取材対象者の生い立ちや出身大学、服の好みが簡潔にまとめられていて、旦那様を前後左右から撮影した写真、交友関係、実家の場所と両親の顔写真なども貼り付けられていました。その内容は的確で、かゆいところに手が届くような仕事っぷり。探偵家業を10年以上続けていますが、パワポで調査対象者の概要を送ってくださった方は初めてです。

後に分かったのですが、彼女は私大の名門をトップクラスの成績で卒業し、有名企業の営業職として手腕を発揮。役員候補として嘱望されているという、超キャリアウーマンでした。ちなみに、旦那様とは大学で知り合ったそうです。

面談はその資料を見ながら進めたいということで、2日後に依頼者・芳江さんがカウンセリングルームに来るのを待っていました。

約束の18時30分丁度に、カウンセリングルームのインターホンが鳴りました。芳江さんは、トレンチコートに黒のパンプス、紺色のシャツワンピースを着ていて、どれも高価そう。思わずどこのものかを聞いてしまったら“有名なファストファッションのものなんですよ”と笑顔で即答。

口は笑顔でも、切れ長の目は全く笑っていません。細面で鼻が高く、おでこが広く、聡明を絵にかいたような美貌。ほっそりとした手にはパープル系のグラデーションネイルが施され、アクセサリーは左手の薬指のみ。時計はフランスの宝飾ブランドの有名なモデルです。バッグはドイツの質実剛健ブランドのものでした。

帰宅恐怖症になってしまった夫は、実家に帰っていた

「また会社に戻らなくちゃならないので、早速依頼内容を説明します。先日、お送りした資料がすべてです。夫は多忙で知られるコンサル会社に勤務していますが、ここ2年間、仕事を理由にほとんど家に帰ってきません。土日しか家に帰って来ていないというのが正直なところ。もちろん、その間夫婦生活はありません。自然妊娠が叶いやすい年齢が33歳と聞いて、焦り始めて夫に帰宅を促したら、“担当になったクライアントの対応で、終電で帰れないことが多い。仕事の拘束時間が長すぎてメンタルをやられた。東京都・吉祥寺にある家まで帰れないから、都心の神谷町にある実家に帰っている”と言うんです」

依頼者・芳江さんはブラック企業的な働き方をさせている会社が悪いということで、旦那様が勤務するコンサル会社の総務部に電話するも、“そんな事実はありません”と体よくあしらわれてしまいます。それに激怒した彼女は、会社に怒鳴り込みに行ったそうです。

「総務部の女性に、“今の目的は、私たち夫婦に子供ができることです。それには残された時間は少なく、せめて終電で帰れるようにすべき。夫本人の意思であるとはいえ、過重な勤務時間を会社側が奨励するような態度をとっているなら、法的手段をとります”と言いました」

そうしたら、会社の総務部の女性は、そんなハードに仕事をさせている事実はないと、勤務表を見せながら説明してくれたとか。

「確かにハイストレスなクライアントを担当しているそうですが、そんな過密な仕事はしておらず、21時には帰社していると。私からの最初の電話も、いたずら電話だと思ったそうです。となると、無趣味な夫に女性がいるに違いない。ずっと信じていましたが、女性がいるという視点から夫の行動を考えると、すべて腑に落ちます。目的は高額な慰謝料を得られる離婚です。予算は150万円以内でお願いします。必ず証拠を押さえてください」

芳江さんの理想の家族は、夫婦+子供2人。出産・育児のために残された時間が少ないことから、夫が早く帰宅してほしいと願う。

※本連載はプライバシーに配慮し、体験内容を変えない程度に一部書き換えています。

中目黒の古いノベーションマンションの、古びた表札がかかる一室に、秘密があった……〜その2〜に続きます。