女優のエマ・ワトソンさんが主演するディズニー映画『美女と野獣』が公開されました。

“人と違う”ことを受け入れ、かけがえのない自分を信じる村娘のベルと、“人と違う”外見に縛られ、本当の自分の価値を見出せずにいる野獣の出会いと愛を描いたストーリー。

「物語の普遍的なテーマは、物語が書かれた18世紀でも、今日でもなお、大いに妥当性のあるもの」と話すビル・コンドン監督に話を聞きました。

ベルは型破りなヒロイン

(C) 2017 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.

--運命に時には逆らって、自分の道を切り開いていくヒロインは現代だからこそ多くの女性に訴えかけるメッセージがあると思います。今、この映画を作った意味についてどう考えていますか?

ビル・コンドン監督(以下、コンドン監督):ベルは誰かに救われるヒロインではなく、運命をコントロールしていく女性。自立していて強くて勇敢な女性です。1991年にアニメーション版が公開された時にも典型的なディズニープリンセスではないと言われました。

今回ベルを演じたエマ・ワトソンもアニメーションを見て、影響を受けて今の自分の一部になっていると言っていました。彼女が強い女性に育ったように、この映画を初めて見る若い女性や女の子にも何か与えることができればと思います。そういう意味でも今、この映画が作られたことはとても重要なことだと思います。

--女性問題に精力的に取り組んでいるエマ・ワトソンがベルを演じたのも必然的だと思いました。

コンドン監督:私が(ベル役にと)即座に思い浮かんだ名前がエマ・ワトソンでしたし、ディズニーも同様でした。問題は彼女の興味と適合するかどうかということでした。これはミュージカルですから、彼女には歌のテクニックも求められますが、彼女はそれを持っていました。

エマがとても知的で、世間を知っていて、洗練された人物であることは、誰もが知るところです。それはベルの人物像とは違いますが、ベルがそうなりたいと思っている人物像なのです。つまり、エマがこの役に吹き込んだのは、そういう先天的な知性でした。それは実写映画を作るにあたって必要不可欠な要素でしたね。それが彼女をキャスティングした最大の理由です。

男性にとっても呪いがある

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--本作のテーマの一つが「呪い」です。野獣は魔女から呪いをかけられてしまいますが、野獣自身も自分で自分に呪いをかけてしまっている部分があると思います。「自分は人を本当に心から愛することができない」と。

映画の中だけではなく、私たちも「どうせ自分はダメだ」と呪いをかけてしまう部分があると思います。自分で自分に呪いをかけてしまっている人にとってもこの映画はヒントになると思います。

コンドン監督:男性にとっても呪いがあると思います。社会からの期待や「男性だからこうでなくてはいけない」「こうしなくてはいけない」とか。映画の野獣は自分で囚われの身になっている。愛に値しない人間であると思い込んでしまっている。この物語は、ベルからそうではないということを学んでいくストーリーでもあるんですが、野獣は自分自身を守るために、勇ましく男らしく振舞っている部分もあるんだと思います。

物語の普遍的なテーマは、物語が書かれた18世紀でも、今日でもなお、大いに妥当性のあるものです。それは「表面的な美しさや目の眩むような事物に惑わされるべきではなく、本当の美しさとは内部から湧き出てくるものだ」ということ。そのメッセージは、特に今日こそ、特に子供たちに、伝える価値のあるものです。この素材で仕事ができるチャンスをもらえたことは、ものすごく幸運だと感じています。

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(聞き手:ウートピ編集部・堀池沙知子)