SNSがポピュラーになった昨今、業務でLINEを使う機会も増えてきました。

今回は、IT関連会社に勤める佐々木裕子さん(仮名・32歳)からの質問です。

「勤務時間外にも仕事の連絡をLINEに送ってくる人がいてすごくイヤです。やめてほしい場合はどうしたらいいですか」

さっそく鈴木真理子先生に教えていただきましょう。

返事をしている限り、相手はLINEを送ってくる

電話がかけられないときや、パソコンのメールに件名をつけてまで送るほどでもない業務報告、あるいは、すぐに返事がほしいとき、LINEだけでなく、facebookのメッセージを業務に使うという人も増えてきました。

コンプライアンス的に禁止している企業もありますが、そうでない場合には、効率よく作業ができるツールは積極的に使ってもよいと思います。

でも、勤務時間外に送られてくるものは困りますよね。

それは本当にすぐに対応しなければいけない案件なのでしょうか。

最近、至急の連絡にも関わらず、件名に【至急】と書いたり、ひどいときには、本文を読み進めていくと下の方に「至急ご連絡ください」と書いてあったりするメールで済ませる人が増えています。

しかし、メールは相手がいつ読むかわからないものです。至急の場合には、電話なりで直接話したうえで、確認をとるのがマナーです。

LINEにしても同じです。勤務時間外に対応しなければいけない至急の案件があるなら、LINEで連絡するのではなく、電話をかけるべきなのです。

例えば、結果待ちの案件をやきもきしながら待っている相手に、可否の連絡をする程度なら勤務時間外でも喜ばれるかもしれません。でも、基本的には、勤務時間外に仕事の相手に仕事の連絡をLINEでするのはマナー違反。

もともと業務で使っている人が、うっかり勤務時間以外でもやりとりにつかってしまい、だんだんとそれが恒常的になってしまった、という場合、いやだなぁと思っても相手に言いにくいですよね。でも、返事をしていると、相手はあなたのことを「LINEを利用することに了承しているんだな」と受け取ってしまいます。まずは返事をしないことです。スマホなどのトップ画面に、LINEが届いた場合に文章まで表示される設定にしておけば、既読マークもつきませんね。

もちろん、「今後、仕事の連絡は一本化したいと思いますので、要件は会社のメールアドレスに送ってください」とキッパリと伝えてもOKです。でも、ちょっとこれは相手を拒絶するような雰囲気になってしまいますから、社外のお客様などには言いにくいですね。そんなときには、

「先日LINEに届いた仕事の連絡を見落としてしまいまして……。○○さんにご迷惑がかかるといけないので、今後は、XXXXのアドレスにお願いできますか?」

と自分のミスを引き合いに出して、相手を思いやるトーンで書いたり言ったりするとよいでしょう。その場合にも、既読マークがつかないように設定しておく必要はあります。

また、勤務時間外の連絡だけ欲しくない場合には、「勤務時間外ですと、LINEに要件を送っていただいてもすぐに対応できない場合があります。緊急の場合は、お電話をいただいてもよろしいでしょうか……。直接お話いただいたほうが理解度が高まりますので……」とやんわりと”勤務時間以外にどうでもいい業務の連絡をしてくるな”という思いを伝えましょう。

コンプライアンス的には、緊急に連絡をとりたい場合でも携帯電話番号を使ったショートメールメッセージのほうが正解。



■賢人のまとめ
「LINEに気づかなくて」と自分のミスにすることで、まろやかに断ることができます。

■プロフィール

女子マナーの賢人 鈴木真理子

三井海上(現・三井住友海上)退職後、“伝える”“話す”“書く”能力を磨き、ビジネスコミュニケーションのインストラクターとして独立。セミナー、企業研修などで3万人以上に指導を行う。著書は『ズルいほど幸せな女になる40のワザ』(宝島社)のほか、近著『もう必要以上に仕事しない!時短シンプル仕事術』(明日香出版社)、『絶対にミスをしない人の仕事のワザ』は7万部に迫るヒットとなる。 

(株)ヴィタミンMサイトhttp://www.vitaminm.jp/