『マネーの虎』から11年。茅ヶ崎のイタリア料理店「ラ・パットーラ」のその後を追った!

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今回のテーマは…

<横浜のココがキニナル!>
かつてテレビ番組『マネーの虎』で出資を受けて茅ヶ崎に開店したイタリア料理店「ラ・パットーラ」のその後を取材してください(ロイヤルさんのキニナル)

また新たな志願者が現れた。
自信満々だ。
事実、この44歳無職の男が現金980万円を獲得する。

お金の使い道は・・・
「世界一のパスタとピザのレストランチェーンを開業します!」

これは、かつて一世を風靡(ふうび)した日本テレビ系のバラエティ番組「マネーの虎」のひとコマである。
同番組は、「夢はあるけど金がない」そんな志願者たちが、虎と呼ばれる年収億単位の大物起業家たちの前で夢を語り、その実現のための出資を募るという斬新な企画で当時絶大な人気を博した。

多額の出資をめぐる緊張感あるやり取り、虎たちの辛辣な指摘が刺激的で、庶民代表である「ノーマネーの猫」な筆者もテレビの前で志願者のプレゼンにケチをつけながら夢中になって見ていた記憶がある。

そんな「マネーの虎」に熱い思いを持って登場し、株式会社ひばりプロダクション・加藤和也社長に980万円の投資を決意させた男は現在、茅ヶ崎市を中心にイタリアンレストランを営んでいるという。

果たして番組内で語った「世界一のレストラン」になっているのだろうか?

■では、その11年後の姿を見よ!

男が営むイタリアンレストランの名は「ラ・パットーラ茅ヶ崎本店」。JR茅ヶ崎駅南口から徒歩5分の商店街にあった。

店のドアを開けると、迎えてくれたのは「当時44歳無職の男」改め、イタリアンレストラン「ラ・パットーラ」オーナー兼社長・立花洋氏(55)。さりげない立ち居振る舞いで椅子をすすめる。渋みのある声と長年のサービス経験から自然に生まれるスマートで鮮やかな接客が実に印象的だ。

現在は、「ラ・パットーラ茅ヶ崎本店」のほかに、平塚海岸通り店、鎌倉芸術館通り店、「COOPERS cafe(クーパーズカフェ)」の4店舗を経営している。現在、年商2億2000万円、従業員数は50名まで成長をとげた。

彼が伝説の番組「マネーの虎」で980万円の投資を受け、茅ヶ崎の地に「ラ・パットーラ」をオープンさせたのは、2002(平成14)年のことである。当時、番組で彼は言った。「世界一、お客様のことを考えることのできるレストランをつくります」と。

お客様のことを第一に考えるサービス、それは100人いれば100通りであると立花氏は言う。だから、彼の店にマニュアルは存在しない。立花氏はスタッフにお客様の「目を見なさい」といつも話しているという。

例えば、キッチンを見ているお客様がいる。もしかしたら、料理の提供が遅れているのかもしれない。
店内を見回しているお客様がいる。お客様はお手洗いに行きたいのかもしれない。

お客様が何を求めているか。それは、無意識のうちに視線や態度に現れる。そこに気づくためには、お客様の立場に立って考えることが大事なのだ。
 

取材中、店内奥のテーブルが空いた。すぐにスタッフが入り口脇のテーブル席で食事の提供を待つ客に奥のテーブル席が空いたことを告げ、席移動の希望を伺う。

「自分がお客様なら、どうしたいか。出入口付近より奥の方が落ち着いて食事ができる。スタッフはそれを判断しただけ」。

ごく当たり前のサービス。しかし、実際に店側の立場に立つと、席移動のわずらわしさが勝ってしまうことも少なくない。番組の中でも語られた彼の飲食サービスに対する信念、その思いは名刺裏に記載された「『お客様のことを考える事』それが私たちの仕事です」この一言に尽きる。

「ラ・パットーラ」HP上にある彼のブログからは、彼が常にアンテナを張り巡らしさまざまなことに興味を持ち、考え、吸収していることがうかがえる。ブログを通し、ラ・パットーラという店や立花氏という人間に興味を持ち、店を訪れるお客様も少なくない。

■ラ・パットーラのおすすめメニューを実食

お客様への最高のサービス、その中にはもちろん料理へのこだわりも含まれる。
同店のコンセプトは「できたての手作りの味」を提供し、「リーズナブルでサービスのよい居心地よさ」だ。

オススメメニューの紹介をお願いしたところ、立花氏がチョイスしてくれたのは女性に人気のこちらの二品。
 

・「ハムピー」の愛称で人気の生ハム&ルッコラのピザ(924円)
生地はパリパリ。シンプルなだけに、素材の味が生きたピザ。

・ナスのトマトソース メランザーネ(819円)
パスタは本場イタリアでも人気の高品質の小麦を使用した「バリラ」。ツルツル麺で、味が良く癖がないのが特徴。いただいた料理はナスがジューシーでトマトソースの酸味がちょうどよく、さっぱりとした味わい。

「使ってみて」と勧められた自家製の唐辛子オリーブオイル漬け「ペペオイル」は、タバスコの酸味が苦手なお客様の声から生まれたそう。筆者も同意見なので、これは嬉しい!

「高い食材を使えば美味しい料理ができるのは当たり前。気軽に食べられる価格の中で、お客様にいかに満足していただくか」。
「ラ・パットーラ」は、オイルも自家製にこだわるなどそのためのひと手間は惜しまない。レストラン3店舗経営の利点を生かし良い素材を大量仕入れでコストを抑えることもできる。だから、手ごろな価格で、クオリティの高い料理を提供することができるのだ。

料理を提供するのは店長。立花氏は接客メインだという。

「従業員には、自分の好きなことを高めなさいと言っている。僕は接客で120点。店長は料理で誰にも負けないよう120点をとりなさいと。」
 

彼の堂々たる話し方からは、順調な経営ぶりが伺える。しかし、10年の間には、リーマンショックや東日本大震災と、その後の計画停電など営業もままならない時もあった。そんな時、スタッフには、「いつでも営業できるように準備をやれ」と話していたという。

一般的に飲食店の基本とも言われる「Q(Quality・品質)S(Service・サービス)C(Clealiness・衛生)」。

品質とサービスが提供できない環境の中、せめて衛生面だけは徹底し、次のお客様を向かえる準備をする。営業はできなくても、常にお客様のことを考えた。

利益のない状況の中スタッフの雇用を継続することは、数字上マイナスでしかない。それでも、彼は蓄えを切り崩しスタッフの雇用を守った。「楽しく働けなければ世界一とはいえないでしょ?」と彼は言う。
 

「お客様の笑顔」を守り、そして「お客様を笑顔にさせるスタッフ」を何があっても守りぬくこと。彼にとって、それが楽しく働くことのできる「世界一のレストラン」なのだ。「世界一」は100点満点中、何点? という問いには、「30点」と答えた。

「みんな頑張っているからぎりぎり合格ラインだけど、まだまだお客様のことを考えなくてはいけない。人を育てるという点ではまだまだ。もっとレベルを上げられるよ」とより高みを目指していることがうかがえた。
 

■ノーマネーの猫、マネーの虎・加藤和也社長に電話取材!

ここで、実際に番組出演した際の様子を立花さんに聞いてみた。

「午前中にテレビ局に呼ばれて、実際に収録が始まったのが16時くらいだったかな。ものすごい緊張感の中で5時間待ち。それで、一発本番。2時間半くらいずっとしゃべり続けるんですよ」

極度の緊張感の中でも彼はひるむことなく、自らの夢を語り続けた。理想のサービスを語る彼に、並み居る虎たちは半ば呆れ気味の表情を浮かべた。「それじゃあ、商売は成り立たない」「立場が変われば人は変わる」、厳しい言葉が次々に浴びせられた。

そんな中、ひとりの虎の言葉がその場の重苦しい空気を断ち切った。

俺、出してもいいかな、この人なら―。
発言の主は加藤和也社長(当時31歳)。彼だけが唯一立花氏を見出したのだ。

加藤社長は44歳無職の男のどこに980万円の価値を見たのだろうか?
お忙しい中、「電話取材ならOK!」と快く取材に協力してくれた加藤社長。

―「マネーの虎」に立花氏が出演された時のことを覚えていますか?

「もちろん、覚えてますよ。“マネーの虎”の話は今でもいろんな方からされますね。その度に立花さんの話になるんですよ。今や4店舗のオーナーでしたよね。僕も鼻が高い思いで(笑)。

立花さんへの投資は、開始5分で決めてました。飲食サービスでの経験値も高い人だし、何より話し方から『実直さ』が伝わってきました。この人はチャンスがあればできる方、そう思いましたね。」

立花氏にはサービス業一筋で培った大きな実績と経験があった。ファミリーレストランでの接客サービスを10年、一流ホテルでの経験を10年。さらに、起業や業務拡大をサポートした経験も含めればその経験は30年にわたる。

しかし、立花氏の周りにはコストを抑えてとにかく利益追求に重きをおくオーナーしかおらず、お客様のことを本当に考えている人はいなかったという。常に自らの店を持つという目的があった立花氏は、「利益」ではなく「お客様」への思いを熱く語り、その思いが、加藤社長に投資を決意させたのだ。
 

「実際、僕は何もしてないんですよ。すべて一人でできる方でしたからね。“ラ・パットーラ”さんがここまで大きくなったのはやはり立花さんの企業努力の賜物。立花さんには5店舗、6店舗と頑張ってほしいですね。」

980万円を投資して、一切口出しをせずに立花氏を信頼して任せた加藤社長。彼との出会いがなければ、今の「ラ・パットーラ」は存在しえなかったであろう。

ちなみに、投資金はすべて完済。当時、加藤氏は「俺を銀行だと思え」と言い、それ以上の口出しは一切しなかったという。
 

■取材を終えて

あれから11年。あの日、立花氏が虎たちに語ったサービス理念に変わりはない。

一方で、お客様のニーズも時代の流れの中で少しずつ変化していく。現在、「ラ・パットーラ」では料理メニューのフルモデルチェンジを検討中とのこと。メニューのリニューアルチェンジが今から楽しみだ。

「来年あたり5号店出そうかな。もちろん湘南周辺だよ。スタッフの顔と名前がちゃんとわかってさ、『元気〜?』って店に顔を出してさ。そういうのって楽しいでしょ? やっぱり楽しい方がいいよね」。

彼が作りあげた「世界一のレストラン」は、その信念や想いはそのままに、まだまだこれからも進化し続けることだろう。


LA・PA. TTOLA(ラ・パットーラ)
住所/ 神奈川県茅ヶ崎市共恵1-7-2 グレイスビル1F
電話/ 0467-87-2456
営業時間/ 11:00〜23:00

※本記事は2013年10月の「はまれぽ」記事を再掲載したものです。

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