『Tシャツが乾くまで』咲子はなぜ離婚を切り出した? バツ4の妻が10年抱えていた“意外な恐怖”
失踪癖のある充、バツ4の咲子。理解を得られにくい秘密をお互いに打ち明け、夫婦関係をもう一度再構築していくかに見えた矢先、なぜ咲子は離婚を提案したのだろうか。その背景を考えたい。
9話で咲子の過去を知ったことにより、充は自身が営む喫茶店で提供している咲子の好物・フィナンシェを毎日持って帰るようになったり、連絡不精だったこれまでの態度を改めてこまめに連絡するようになったりなど、咲子に過剰に気を遣うようになる。しかし、咲子はこのことを樹生(中島歩)に「もう、(気遣いを)やらせてるみたいで罪悪感」と愚痴っていた。
ただ、咲子は充について「ふーって吹いたら、どっか飛んでっちゃいそうな? 初めて会ったとき思ったの」と口にしており、充のミステリアスさに惹かれていた印象だ。しかし、過剰に気配りするようになり、ミステリアスさが薄れ、いわゆる“蛙化”させたのかもしれない。
もしくはただ単に失踪中に気持ちが離れており、いざ充と向き合い、日常生活を再開させるも、かつてほどの愛情がなくなっていたことに気付いたのではないか。
◆咲子は男性に合わせて染まりやすい?
とはいえ、咲子の離婚提案は他にありそうだ。そもそも、咲子は自分にとにかく自信がない雰囲気である。
9話で咲子がトレーディングカードのように歴代“旧姓”の免許証を並べるシーンがあったが、そこに写る咲子の写真は、苗字だけではなくビジュアルも別人のように変わっていた。咲子が“相手の好みに染まりやすい性格”であり、言い換えれば「素の自分では自信が持てない」という不安感が強いように思う。
そして、過去4人は全員相手から離婚を切り出されており、それぞれ理由は異なるとは思うが、咲子が素を見せないことに愛想を尽かしたパターンもあったのではないか。もしくは素を出したことで、関係がギクシャクして別れを告げられたりなど、そうした経験が咲子を殻に閉じこもらせていったのかもしれない。
◆充との結婚生活は「罪滅ぼし」
それでは、なぜ充とは長続きしているのか。友人の結婚式で親への感謝の手紙を読み上げるシーンで退席するほど、咲子は“親子愛”に忌避感のようなものを抱いており、充がそこに共感してくれることに強い感動を覚えていた。

