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【写真】晩酌で楽しんだカネマラハイボール 本人提供写真

飲むと言ったらわが家一択……!カクテルコンペティションにて特別賞を受賞し、バーテンダーの経験もあるYouTuberむぎが氏。YouTubeでは連日、晩酌の様子を配信し、「朴訥(ぼくとつ)とした語り口に癒やされる」「手際のいい調理は見ていて気持ちいい」「画面からお酒の味が伝わってくる」など話題沸騰中。お酒を愛し、お酒に愛されたといっても過言ではない彼女による、ワンルームで楽しむ晩酌エッセイ連載。連載第4回は、秋の夜長を楽しむ創作秋グルメ晩酌をご紹介!

■失敗だらけの秋のグルメ晩酌

仕事終わりの帰り道、今日の晩酌は何にしようかなと考えていたら、ふと金木犀の香りが漂ってきた。

毎年ありがたいことに金木犀の香りで秋を感じる。どこかノスタルジーで寂しげな香りに引き込まれて、夢と現実の狭間にいるような感覚になる。そこに、夕方に流れる童謡のチャイムがなれば、もうそれをつまみに公園で一杯飲めるよね。

金木犀で秋を感じ、今日はせっかくなので、秋の味覚を堪能するグルメ晩酌をやろうと決めた。いきつけのスーパーに入ると野菜コーナーにどしっと構えてる松茸様を発見。キノコにしては流石な大きさで堂々たるその姿に拝みたくもなる。そんな松茸様の価格は、1パックで4000円を超えている……。これはエンゲル係数が爆上がりしてしまいますね。

誰かと一緒に食べる予定があればるんるんで買うが、1人だし松茸の捌き方あんま知らないし、今年も遠くから拝むだけで見送ることにしよう。果たしていつか誰かと松茸を楽しめる秋が来るのであろうか。

別コーナーに置いてある見慣れたエリンギ1パック138円を見ると、実家のような安心感を得る。なんとなく形的に松茸に似ている。松茸の赤ちゃんみたいなツヤツヤ感もある。ということで、本日の秋の味覚堪能グルメ晩酌の主役はエリンギに決まりました(どの時期でも食べられるのはいいね!)。今日は普通にエリンギを楽しむのではなく、ちょこちょこっとアレンジを加えちゃって、秋っぽくして食べます。エリンギの創作料理をしちゃいましょう!(気合いMAX)

インスタント味噌汁コーナーに移動し、「松茸のお吸い物」128円を購入。この子を使ってエリンギを垢抜けさせてやる!……と、気合いを入れたものの、エリンギ創作おつまみだけでは少々物寂しいので、秋の味覚の魚部門代表!「秋刀魚(さんま)」を購入。秋刀魚は魚焼きグリルで焼くだけだし簡単に秋の味覚を堪能できる。毎年、この時期になると食べたくなる魚だ。

そして、秋刀魚といえば、すだちが欲しい!すだちのない秋刀魚なんて……す、すだちのない秋刀魚なんて……。すみません、あまり良い例えが思い浮かびませんでした。

日も暮れて、少しだけ肌寒い風に黄昏ながら思い耽る。春はポカポカの昼(特に昼寝)が好きで、夏は長い夜が好きで、冬は朝が好きで、秋は夕暮れが好き。だからなんだよって話ですが。

豪邸(私のお家)に着き、早速秋刀魚の下処理をする。と言っても、軽く水洗いして包丁で秋刀魚を軽くなぞって鱗を剥がす(スーパーとかに売ってるのは鱗はあまりないらしい)。そして、塩をかけて15分くらい放置するだけだ。放置している間は、もちろんお酒の準備をしましょうか。

本日のお酒は「カネマラ オリジナル」!カネマラはアイルランドのクーリー蒸留所で作られるアイリッシュウイスキーです。アイリッシュウイスキーでは珍しくピート(泥炭)を焚いて麦芽を乾燥させて作られます。主にスコットランドのアイラ島という島で良く作られる方法で、ピートを使用することでスモーキーな癖が楽しめる味わいになります。

グラスに氷を入れて、軽く混ぜグラスを冷やす。溶けた水を流しに捨て、カネマラを30ミリリットル入れ、氷とウイスキーを馴染ませるように優しく混ぜて炭酸を注ぐ。すると、カネマラハイボールの出来上がり。

それでは、1日の疲れを取りましょう。いただきます。口に含むとほんのりとスモーキーな風味が広がり全体的にすっきりと飲め、どこか森のような広大で自然な印象もある。実は今日のおつまみは和食系だし、ジャパニーズウイスキーにしようかなと思ったのだが、カネマラの落ち着きのあるピートと森のような自然感が、もしかしたら合うのではと思いカネマラにしたのであった。

秋刀魚を放置する時間を測り忘れたが、多分15分くらい経ったので秋刀魚を水洗いしてキッチンペーパーで水気を切り、高級なお塩をかける。そして、ちょっとお洒落に切り込みも入れちゃう!居酒屋さんで、秋刀魚の塩焼きを頼むと、お洒落に切り込みが入っていてそれに憧れているんだよね。

本日は居酒屋むぎが、秋の味覚堪能グルメコースでお洒落にやらせていただきます。高級お魚グリルにくっつかないアルミホイルを敷き、秋刀魚を2本綺麗に並べる。グリル時間はとりあえず5分くらいかな、強火は焦げるのが怖いので弱火に設定。秋刀魚さん、ちょっと強めな岩盤浴にイッテラッシャイ!

さて、お次はエリンギ創作おつまみを作りましょうか。居酒屋むぎがは、休む暇ない!厨房はいつでも戦争よ!エリンギを縦に好きなだけ切る。フライパンにお酒を大さじ1.5くらい入れ気持ち温める。そして松茸のお吸い物を1袋入れて弱火で遊ばせる。キリの良いところで切ったエリンギを入れ、蓋をして蒸す。これで松茸の香りがエリンギに移り、エリンギが松茸風味になるという算段だ。

そうしているうちに秋刀魚が焼けたよと、高級お魚グリルが教えてくれた。普段は軽くおつまみを炙る程度にしか使わないお魚グリルで秋刀魚を焼くのは初めて。ワクワクしながら開けると……

な に か ち が う !

あれれ〜おかしいぞぉ?想像では皮がパリパリで秋刀魚の表面にこんがりと美味しそうな焦げがついてるのを想像していたのだが、実際は皮は破けお腹の下の身が弾け飛び、想像とまったく違っていた。失敗の原因は、お洒落切り込みを入れた時に深すぎたのか、もしくはひよって弱火にしたのがいけなかったのか……。とはいえ、香りは香ばしく見た目以上に食欲をそそる。とりあえず秋刀魚にはすだちを置いておけば少しはそれっぽくなるだろう。

秋刀魚とすだちをお皿に盛り付け、エリンギ創作おつまみにも目を配る。蓋を開けると、松茸の上品な香りが広がり水分もなくなっていい感じ。こちらもお皿に盛り付け完成。居酒屋むぎが、秋の味覚堪能グルメコースを楽しみましょう。

本日のおともは、秋刀魚の塩焼きに松茸風エリンギ


秋刀魚にすだちを絞り、まずは食べやすそうな下の方の身をいただきます。少し崩れながらも、箸でつかみ口に運ぶ。くぅぅぅぅーー……!苦味が癖になる……!ほろ苦く渋い味わい!焼くのは下手くそだったが、さすがは秋の魚部門のボス!渋い味わいで、ハイボールが進む。しかもカネマラのほんのりスモーキーな味わいに秋刀魚の苦味がいい感じにマッチ!完全に大人のおつまみですね。

秋刀魚の背中の方の身も食べてみる。こちらは甘味があってさらに美味しい。ちょうど良い塩加減とすだちの酸っぱすぎない酸味がとてもいい感じに効いていて、ほっくほくで最高。想像通りの焼き方ではなかったが、食べてみると満足。次回、秋刀魚を焼くときは、お洒落な切り込みを入れないで中火くらいで焼いてみようと思った。

さて、お次は松茸風エリンギ。酒と松茸のお吸い物でエリンギを蒸した秋のおつまみであるエリンギを一口食べる。松茸の香りがふんわりと香り、少し固めな歯ごたえ。悪くはないが、少しだけだしの味が濃い。酒飲みは濃い味を好むが、想像以上に濃かった。とはいえ、松茸の上品な香りがエリンギに移り、少しだけ松茸に近づいた。失敗といえば失敗だが、これはある意味理想の松茸風エリンギに一歩前進。もう少し水を入れて蒸せば、理想の味に近づけそう。これは研究のしがいがある!

実は私はしっかりとした本物の松茸を食べたことがない。それはある意味幸せで、この松茸風エリンギを「松茸とはこんな味なんだ!」と思いこめば、私の中でそれが松茸となる、はずだ。まさかエリンギもこういう食べ方をされるとは予想もしていなかっただろう。エリンギよ、今日から君はジェネリック松茸となるのだ。そう思いながら、カネマラハイボールをゴクッと飲む。

松茸風エリンギを食べ続けると、香りが本当に香ばしくて、クリアしなければいけないのは味の濃さだけだということに気づいた。食感は少しだけ固めだが、本物の松茸の食感を知らないので、特に気にはならない。もし松茸風エリンギのレシピがビシッと決まれば、私は松茸業界から干されてしまうかもしれない。だけど、エリンギを松茸にすることが今の私の夢だ。人の夢は終わらないですね。

秋刀魚は骨が柔らかく、骨までポリポリペロッと食べられた。秋刀魚とカネマラハイボール、なかなかよきな組み合わせ。渋い秋刀魚とポップな外見のカネマラは一見相容れない組み合わせに思えたが、意外と相性が良かった。自分が結婚相談所の相談員になり、2人をマッチングして、後日結婚しました!とご報告された時のような喜びがある。知らんけど。そんな、2024年秋の晩酌でした。

秋刀魚を下手に焼いてしまったり、松茸風エリンギは味付けが濃く、失敗ばかりで自分の料理の未熟さに落ちこんだりもしたけれど、私は元気です。今度お家に友達がきたら、松茸だよって言って松茸風エリンギを振る舞おう。

【写真】晩酌で楽しんだカネマラハイボール