「暑いからあまり歩かないほうがいいよね。もし嫌じゃなかったらだけど、そこのカラオケはどう?」

付き合っていない男性と、カラオケのような個室でのデートは嫌がる女性もいます。エミさんもカラオケじゃない方がよかったそうですが、その日は猛暑日。とにかく暑いし、タケシさんが気を使ってくれる男性なので大丈夫だと判断し、カラオケに行くことに。

◆初デート後、優しい彼を「即ブロック」した理由は

カラオケ店はエアコンの冷房が効きすぎていて寒かったそうです。空調の温度を上げたのですが、なかなか適正な温度になりません。

タケシさんは「寒い?」と聞いてきました。「大丈夫だよ」と言ったのですが、彼は着ているシャツを脱いで、エミさんの肩にかけてきました。

タケシが好意で気を使ってやってくれたことは分かりますが、そのシャツは汗臭く湿っていたそうです。

ぬるく湿って臭いシャツが肌に触れて、ものすごく気持ち悪かったのですが、エミさんは場の雰囲気から断りにくく「ありがとう」とお礼を伝えました。

◆相手のための気配りと、好かれたいための押しつけは違う

エミさんはカラオケ店から出て、タケシさんをブロックしました。

この記事を男性が読んでいたら「嫌なら断ってくれればいいのに」と思うかもしれないけれど、数秒の間で相手を傷つけない断り文句を言えるような女性は、ほとんどいないと思います。

エミさんはタケシさんがやってくれたことを「重い」と感じました。シャツをかけてくれたのは相手のためというより、好きになってもらう“見返り”を期待しているように見えました。もっと言えば、圧力や、支配されそう、という印象を受けたそうです。

◆自分も元彼たちに同じ思いをさせていた?

「タケシさんが、すごく優しいのに、重いと言われて元カノから断られた理由が何だか分かりました。シャツの件は、嫌がらせを受けたとかでもないし、好意でやったようにも感じるし、やめてとも言いにくかったんです。私の憶測で勘違いかもしれないけど、元カノはそれで色んな言えない気持ちを『重い』と説明して、お別れしたのかなって思いました」

この件でエミさんは、もしかすると自分も元彼に対して、「コントロールされそう」と感じさせてしまったのかも……と考えるようになりました。

何かをやってあげて、相手が「ありがたい」と思うか、「お返ししづらいほどもらってしまった」と受け取るか、ここの差は大きいです。

恋愛する気持ちはその人の自由です。相手に無理やり自分を好きにさせることは、どうしたってできないのです。

※個人が特定されないよう一部脚色してあります。
<文/菊乃>

【菊乃】
恋愛・婚活コンサルタント、コラムニスト。29歳まで手抜きと個性を取り違えていたダメ女。低レベルからの女磨き、婚活を綴ったブログが「分かりやすい」と人気になり独立。ご相談にくる方の約4割は一度も交際経験がない女性。著書「あなたの『そこ』がもったいない。」他4冊。Twitter:@koakumamt